Hackney Picturehouseでダニエル・クレイグ版ジェームズ・ボンドの最終作『ノータイム・トゥ・ダイ』を観賞。007映画は一応大画面で見たいので、近隣の映画館の中で大型のスクリーンが階段状の観客席から近いHackney Picturehouse にした。案の定今回も世界遺産で名高いイタリアのマテーラ洞窟住宅や、ノルウェーのアトランティック・ロードなど風光明媚なロケーションの連続なので、大スクリーンで正解だった(と言っても日本の映画館なら普通の大きさかも)。あらすじは…

 

 ボンドは諜報活動から引退し、ジャマイカでマドレーヌ(レア・セドゥ) と静かで穏やかな日々を楽しんでいた。だが、平和な日常は長くは続かなかった。旧友CIAのフィリックス(ジェフリー・ライト)が現れ、助けを求められたのだ。与えられた任務は誘拐された科学者の救出だが予想以上に危険で、最新技術で武装した謎めいた敵の痕跡を追うばかりだった…(Universal Pictureより引用)

 

 2時間43分と長い映画なのに、緊張感が連続して飽きさせない。ダニエル・クレイグ版ボンドの最初の作品『カジノロワイヤル』以来の面白さだった。だからストーリーとテンポは悪くないけれど、各場面のセット背景はツッコミどころ満載。まず初頭のノルウェーにあるマドレーヌの家だが、熱伝導率が高いガラス窓だらけで、寒冷地の建物として、あり得ない。たとえ大金持ちだとしても…インフラが整備されない程離れた場所にある一軒家だから燃料はプロパンガス?太陽光発電?あの天気で?いくら暖房しても暖まらないぞ…能面を被った悪役が外から内部を窺う様子を強調したいのは分かるけれど。一方、科学者が捕まる場面のガラスのカーテンウォールの研究所も、光線でガラスを切って侵入しているけれど、ガラスの厚みがまるで数ミリであるかのような描写。(他の映画でも主人公がぶつかって高層ビルのガラスを割って侵入することがあるけれど、そもそも人体で割れるような硝子は使っていない。) 更に千島列島の一部の島に移動してから、元日本だからと擬似日本風の庭やら畳などを使っているがその仕様はお粗末。畳はどう見ても本物ではなく厚み半分のスタイロ畳である上に、畳のへりが安っぽい。日本風にするならば水平方向を強調するために天井を低くするべきなのに、高い吹抜け天井の下に畳で、まるで「体育館の一部が柔道場」のようなデザインで超がっかり。ハリウッド映画ってどうしていつもこうなってしまうのだろうか。

 

 ところで世界遺産マテーラ洞窟住宅でのカーチェイスをイタリア人はどう思うのだろう?今度南イタリア出身の友人に会ったら、聞いてみよう…