ロックダウンで地下鉄[チューブ]に乗る機会がめっきり減って、年始の帰国時以来初めて乗ったときのこと。チューブが入線してくるタイミングでプラットホームに居る小さい人(フードまで被っていたので子供だと直ぐには分からなかった)がジャンプしながら手を振っていた。「誰に向けて?」と思う間もなく、チューブが横を走りながら「ピー」と汽笛を鳴らすではないか。「チューブにも汽笛があったんだ」と驚くと同時に、ジャンプしていた子が振り向いてお母さんに満面の笑顔。こっちも笑顔になっていたら、私の横に立っていたイギリス人のおじさんも笑っている。皆気がついたのだ。この子は多分何度もこれをやっていて、高い確率でドライバーから汽笛の返事があることを。

 

 昔パリでは全く違った光景を目撃した。若い男性がメトロに飛び乗ろうとしたが、間に合わず扉が閉まりかける。でもドライバーの計らいでもう一度扉が開いたとき、この青年はすかさずドライバーに投げキッス!「さすがフランス男、なんてラヴリーな」とお国柄にも唖然。こんなことが瞬間的にできるなんて。これが日本だったら「やれ」と言われても恥ずかしくて出来ないだろう。

 

 久しぶりの外出もこの出来事でちょっと楽しい思い出に変わった。

 

 

地下鉄Finsbury Park駅の円筒型の壁にはひっそりと気球のモザイクが施されている。実は結構素敵。きっとデザイナーはそれなりの時間をかけて図柄を考えたに違いない。スマホでは上手く撮れなくて残念。