今年はLondon Film Festival (LFF)の参加映画のほぼ半分がオンライン配信に移行した上に、パンフレットさえない状況(あるいは発行部数が少なかったか)。ダウンロード用PDFもLFFのウェブサイトにないということはスポンサーがつかなかったのかもしれない。パンフレットの為にサウスバンクのBFIまで行ったのに空振りでがっかり。またコロナ禍でもフェスティバルが開催されていることに気づいた時には映画館の券は既に売り切れ。代わりにオンライン配信のようなBBC iPlayerで『縞模様のパジャマの少年/The Boy in the Striped Pyjamas』(2008, Mark Herman監督)を観たら、ホロコースト映画ならではの予想可能な結末で見終わって落ち込んでしまった。あらすじは…

 

 8歳の少年ブルーノはナチスの将校である父親の仕事の都合で母や姉も一緒にベルリンから農村地域の屋敷に引越す。実は父の任務は屋敷の裏にあるユダヤ人の強制収容所の監督だったのだ。ある日ブルーノは部屋の窓から見える奇妙な農場のような場所へ探検に出掛け、同じ歳のシュムエルと出会う。シュムエルはユダヤ人で他の人と同様にパジャマのような服を着て、常にお腹を空かせている。母親の目を盗んでシュムエルの為に食べ物やオモチャをフェンスの傍まで持っていくブルーノ。シュムエルから「パパが居なくなった」と聞いたブルーノは思いがけない行動に出る…

 

 原作は小説なので実際どこまで現実味があるのか疑問。例えばホロコーストのフェンス。8歳の子供がどうにか出来てしまうほどだったら、収容された人たちだって簡単に逃げ出せるのでは?本物は電気が流れていたり、二重だったり、もっと頑丈そう。収容されたユダヤ人が外部の人と交流できること自体にやや無理があるような…と言っても過去に映画『サウルの息子ライフ・イズ・ビューティフル『シンドラーのリスト』を見たり、ベルリンのユダヤ博物館(建物は傑作)に行った程度なので、それほど知識があるわけではないけれど。ただ、これらの映画の方がこの映画より「深い」と思う。ところで、ブルーノ役のエイサ・バターフィールドは何処かで見たことがある子だな、と思ったら『X+Y』の天才少年君だった。