前の日曜日、講義用の写真撮影を目的として、ウェリン(Welwynと書いてこう読む) ガーデン・シティに出掛けた。ガーデン・シティ[田園都市]の発案者であるエベネザー・ハワードが生きている間に実現したのはレッチワース(1902)とこのウェリン(1920)のみ。ハムステッド・ガーデン・サバーブも設計したレイモン&アンウィンが手がけたので、デザイン的にはレッチワースの方が評判がよい。10年ほど前私がレッチワースに行ったのは、日本の都市計画系教授陣のお供として、であった。皆さんレッチワースに行きたがり、「ウェリンは別に」という。レッチワースの印象といえば、閑静で緑に溢れ、建物の配置は円形のところもあれば、不規則に並んだ「自然発生的な村」のところもあり、とても清々しい街。地平線が見えそうな丘にも隣接し、イギリスの自然を満喫した覚えがある。

 

 大学で「都市」の講義を受け持つようになって既に3年過ぎたのに、サボっていて未だウェリンに行っていないのはさすがにマズイと反省し、自宅近くを走る電車(オーバーグラウンド)の終点がウェリン・ガーデンシティであることに最近気づいたので、重い腰を上げることになった。 グーグル・マップで調べたところ、駅はハワード・センターという名のビルに接続しているので、「何のビルだろう?」と興味をもったところ、着いてみたら英国内どこにでもある店で構成された普通のショッピングモールでがっかり。無意識に観光地のようなインフォメーション・センターがあるのではないか、と期待してたのだ。センターを抜けると、両袖の煉瓦造の建物に挟まれて、長い公園が続いている。しかし、公園は道路に囲われ、駐車場かと思うほどの路駐の車が続く。ウェリンは車生活が必要な街らしい。冬が始まったような気候のためか、それとも普段からこうなのか、日曜日だというのに人影は疎ら。ハワードの描いたダイアグラムにある通り、公園の端には図書館、大学、映画館。半円形の道路に面して配置されている。図書館に行けば、日本のそれのように郷土資料館のようなものがあるかも、と思ったが肩透かしだった。本職の速記者の仕事から退職後、ハワードはウェリンに住んだとかつて読んだ本にあったので、ネットを元に彼の家(写真)、公園内にある記念碑や、建物デザインを担当した建築家のルイ・ド・ソワッソンの頭像などを見に行った。

 

 日暮れになったので、帰途についたところ、何と電車内の検札で罰金を取られた(£20)。オイスターカード(日本のスイカのようなもの)を改札でタッチしたのだが、改札口は元々空いていたので、そのまま通り過ぎてしまった。しかし、実はウェリンはオイスターカードの利用範囲外だった、とのこと。改札に係員は居なかったし、範囲外の表示もないので、気付きようがなかったのに・・・(涙)

 

 

  

ショッピングセンター    を抜けると公園

  

ハワードの家              記念碑

 

建築家の頭像         戦前のポスター