展覧会『Vanbrugh: The Drama of Architecture』ジョン・ソーンM
ホルボーンにあるサー・ジョン・ソーン・ミュージアムで開催中の英国バロック建築家として有名なSir John Vanbrugh / ジョン・ヴァンブラ(1664-1726)の没後300年記念展に行った。展覧会のタイトルが何故「建築のドラマ」なのか、と疑問だったが会場で彼が元々劇作家だったと知った。ワイン商人から始め、東インド会社で働き、従軍、フランスでスパイ容疑で逮捕されバスチーユ監獄へ、釈放後フランスから出国が許されず、仏建築を沢山見学したらしい。その後イギリス海軍に入隊、ロンドンに戻った後はヘイマーケット劇場の設計と経営、劇作(彼の結婚劇は今でも上演される)、おまけにブレナム宮殿の設計と多忙を極めたとか。何と多才な。これだけドラマチックな人生だったから「建築のドラマ」なのかも。 展覧会で紹介された主な建物は以下の通り Castle Howard,North Yorkshire, commissioned in 1699 The HaymarketTheatre, land purchased in 1703 Blenheim Palace,Oxfordshire, commissionedin 1704 (後にウィンストン・チャーチルが生まれた宮殿) Vanbrugh Castle, Greenwich, around 1719 (親族及び自分の家族のための館) ヴァンブラはロンドン大火(1666)の2年前に誕生したので、大火後のロンドン計画やセントポール大聖堂の設計者クリストファー・レン(1632-1723)より一世代下、レンの弟子だったニコラス・ホルクスムーア(c. 1661– 1736)と同世代。建築実務経験が浅いヴァンブラをホルクスムーアがサポートすることでハワード城やブレナム宮殿は完成した。展覧会ではホルクスムーアの図面も展示されている。 1810年の王立アカデミーの講義で、恐らく当時アカデミーの校長だったジョン・ソーン(1753-1837)は「彼(ヴァンブラ)の作品を研究することで、芸術家は大胆で型破りな空想力を身につけるだろう」と述べ、ヴァンブラを「建築家のシェイクスピア」と呼び「ミケランジェロとベルニーニの持つ情熱と力が彼にはあった」とも。ただ、イタリア人巨匠たちの作品を思い返すと最後の言葉は盛りすぎかも。米建築家ロバート・ヴェンチュリ(1925-2018) とパートナーのデニス・スコットブラウン(b.1931)もヴァンブラの影響を受け、二人の息子ジム・ヴェンチュリとアニタ・ノートン共作のドキュメンタリー映画も上映中(見忘れたけど)。展覧会は2026年6月28日迄、入場無料。サー・ジョン・ソーン・ミュージアム外観 ブレナム宮殿(全体) ブレナム宮殿 ジョン・ヴァンブラ肖像画ヘイマーケット劇場 ヴァンブラ城,グリニッジ『Vanburgh: The Dama of Architecture』は本の題名。著者である建築史家C.S. Smithによる解説