観劇 ヘンリック・イプセン原作『海の夫人』『ヘッダ・ガーブレル』
先週イプセン原作『海の夫人/The Lady from the Sea』をロンドンでは新しい劇場とみなされるBridge Theatreで観賞した。実は7月に同イプセン原作『ヘッダ・ガーブレル』も観ている。オフィスの同僚が実は半分役者さんで、アマチュア劇団で主役のヘッダを演じたのだ。偶然なのだが、イプセン版夫のことがあまり好きではない妻を二回も見せつけられて、イプセンは相当女性に悩まされ続けた人なのではないか、と勘繰ってしまうほど。またこの二つの芝居で主役女性の影響力にも考えさせられた。『海の夫人』の夫人役は映画でも『エックス・マキナ』(2014)『トゥームレイダー』(2018) 等で有名なデンマークの女優アリシア・ヴィキャンデル。両方の劇を一緒に観た友人とも意見が一致したのだが、ヴィキャンデルは儚すぎて線が細く、主役を張るのは難しいかも。他の役者さんたちの中で埋もれてしまっていた。一方、『ヘッダ・ガーブレル』の主役だった同僚は堂々とした演技で際立っており、アマチュア劇団とは思えないほど、吸引力のある芝居を観せてくれた。さて、それぞれのあらすじは…『海の夫人』裕福な医師(アンドリュー・リンカーン)との結婚生活に安住しすぎたのではないかと恐れるエリダ(アリシア・ヴィキャンデル)は、予測可能な日常から抜け出す方法を探していた。そんな折、過去の恋人が田舎の別荘に現れ、彼女は今築いた人生と、遥か昔に置き去りにした人生のどちらかを選ばねばならなくなる。『ヘッダ・ガーブレル』学者ゲオルグ・テスマンとの愛のない結婚生活に囚われ、社会の期待に囚われているヘッダという女性を描く。退屈な毎日で人を操る彼女は、夫の学問上のライバルであり、アルコール依存症から立ち直りつつあるエイレルト・レーヴボルグと関係を持つようになる。最終的に彼は再び酒に溺れ、原稿を破壊し、自滅へと追い込まれる。レーヴボルグの事故死が明らかになり、ヘッダがブラック判事に脅迫され、父の拳銃で自殺するという悲劇的な結末を迎える。 BBCのウェブサイトによると「イプセンのアンチヒロインは、今も人々を魅了し、賛否を分かつ存在だ。ヘッダは気まぐれな性格と計り知れない複雑さ、そして女性役として史上最高と評される舞台役の一つであることから、”女ハムレット”と呼ばれることが多い。」とか。 一方、今回の舞台での『海の夫人』は、劇場が新しいので思い切った演出で舞台の上にプールを作り、俳優たちが泳ぐ。散々雨が降ったあとその水は床下に備えられたプールに溜まる仕組み。湯気が出てなかったから冷たい水のようだ。エリダと昔の恋人との逢瀬シーンは二人とも水の中。しかし、この寒いのに俳優たちが雨に濡れた上に泳がされ、風邪を引かないだろうか、と心配になった。昔と違って今の舞台俳優は大変だ。でも、『海の夫人』なのだから、プールではなく海を使う演出はできなかったのだろうか?また、原作と異なりエリダは昔の恋人も夫も置いて旅立つ。でもヴィキャンデルが演じる以上、原作通り夫の元に留まる方が似合っているような気がする。 Bridge Theatreの設計は舞台なども多く手掛けるHaworth Tompkins Architects。椅子席や舞台は自動で動かせるらしい。伝統的なシアターと異なり、入り口すぐのフォイヤーのカフェが広く、照明などのデザインも凝っていて友人間でも評判が高い。Monster or victim?: The fascination of Hedda Gabler, the 'female Hamlet' who divides opinionAn unhappy bride plotting others' downfalls, 19th-Century anti-heroine Hedda Gabler is one of the great roles for women – and as new film Hedda is released, she remains controversi…www.bbc.co.uk