とうとう借りれました。


第153回、芥川賞受賞作「火花」


この小説は今や憧れの職業「漫才師」になろうとしている若者達の世界が、奇才又吉氏によって書かれています。


実際にその世界を経験し、体感した方以外には書けない作品です。


小説の冒頭は、冒頭を読んだだけで引き込まれる小説なのか、そうでもないのか重要だと思いますが、こんな冒頭なのです。


「大地を震わす和太鼓の律動に、甲高く鋭い笛の音が重なり響いていた。熱海湾に面した沿道は白昼の激しい陽射しの名残りを夜気で溶かし、浴衣姿の男女や家族連れの草履に踏ませながら賑わっている。」


ン?


2度読み3度読みしないと頭に入ってこないけど、何たる情緒に溢れた言い回しなんだろう。


わっ、面倒くさいと思う方もみえるかもしれません。東野圭吾さんならこうは書かずに読みやすい文章にする事でしょう。


ま、自分は引き込まれて、これから何が始まるのかなぁと興味津々となりました。


そんでもって物語は始まるのですが、漫才コンビの相方とのやり取りが多いのかなと思いきや、少し年の離れた別の事務所の漫才コンビの先輩に飲みに誘われて、主にその先輩漫才師とのやり取りが書かれていたのです。


むしろ相方とのやり取りは、あまり描かれていません。


先輩は


破天荒で真っ直ぐな天才肌の人物。何故か天性の愛嬌で女性にはモテる。お金は無いけど後輩にはおごってあげるという、、、


主人公は又吉氏本人としか思えない人物。


なので実際にモデルとなった人物がいたのだろうと推測されます。


この小説で描かれているのはその先輩との交流はもとより、


お笑い芸人、漫才師を目指す若者達の青春なのです。


人を笑わす事に人生をかけて、コンビを組んでネタを一生懸命に考えて、ネタ合わせを何度も何度もして、オーディションを受けて、やっとそのネタを披露出来て、その他の時間は生活する為にバイトをしたり、お金は無いけど仲間と語り、酒を飲んでお笑いを語ったりという濃密な時間、日々。


全てのコンビが上手くいくはずが無く、頂点にいるのはほんの一握り。実力だけで無く、愛されキャラで脚光を浴びる人もいたり、


とにかくネタを作って披露して客を笑わせるという事の大変さ。


批判するならば一度やってみて体感してみてという。


そんな厳しいお笑いの世界が垣間見れたのです。


コンビって何?


余程気が合っても毎日毎日では仲も悪くもなろうものだ。


「リクリュウペア」みたいに電撃が走るような相性で無いと成り立たないのではないだろうか。


脱線するけど、「和牛」の解散って実際何でだったん?


Xで「ジョイマン」いなくなったなと呟くと「ここにいるよ!」と本人がレスしてくれるジョイマンはまだジョイマンなん?


ピースの又吉さんは文学で花開いたけど、相方の綾部さんはどうなってるん?


TVやメディアからあんま見なくなってしまった彼らは何してるんやろ?


誰もがダウンタウンや千鳥になれるわけじゃありません。


貧乏が常で過酷な世界。しかし充実した濃密な世界。


そんな世界を垣間見れまして、何とも面白かったのです。



そうそうタイトルの「火花」。


最後に花火のシーンがあるけど「火花」である。


この小説のタイトルは「花火」じゃなくて、やはり「火花」だわぁ〜と思いました。