EMOE 2019.01.12 @ 渋谷DESEO(デセオアイドル劇場~道玄坂移転SP2部~)


セットリスト:
1. Scar
2. To Be Free
3. レラリンルンリンラン


前のグループまでが巻いたせいで定時五分前だというのにフロアにいるメンバー、と思っていると、さすがに楽屋に入って行った様子です。
さて場内。あたらしいDESEOは地下にありますが、ステージの広さは間口が三間弱、奥行きは二間、ステージの高さが60センチ=二尺くらいあり、とても見やすい会場です。
スモーク、暗い印象のSE。青いライトに照らされていた会場がより暗くなり、白いライトだけが灯されます。
上手奥からへちさん、さくらさん登場。

背中合わせになる二人。一曲目「Scar」。無意味かもしれない自分を丸ごと受け止めて欲しい、しかしそれは叶うのだろうか。
へちさんの歌声はいつもながら天性のものを感じさせますが、ちょっと引っ込み気味なのはPAのせいなのかな、それとも、と思いつつ眺めていましたけれども、今日は喉が本調子でないと後ほど明かされます。
さくらさんのダイナミックなダンス、彼女の踊りは、バレエを学んだことがないというのが信じられないほど格調高いものです。
「Scar」、幻想の世界を提示する曲ではありますが、築き上げた幻想に安住することが出来ないのをEMOEはわかっています、幻想に閉じこもることによっては心の安らぎを得られない自分たちであることを。
幻を想いうかべないではいられない自分たちのみじめさを知っているという点で、かつて彼女たちと一緒のグループに属していたゆのさんが籍を置いているグループ「さっきの女の子、」と共通するものがあるなあと思いつつ眺めていました。
ステージ奥に下がる二人、曲終わり。客席は沈黙しつつ二人を見つめます。

すこし沈黙が長すぎたかなというところでようやく始まる二曲目「To Be Free」。
この曲に於いては「…輝きたい!」、「好きで好きで…」、あるいは「悔いのない毎日…」という、さくらさんの本音そのものであろう歌詞がラップされるのですが、いつだったか読んだ文章に、作者は自分の心を作品に込めてはならない、なぜなら、その作品が否定されたなら、作者自身が否定されてしまうから、とあったのを思い出します。その文章の訴えるところが正しいとするなら、さくらさんのように自分の心そのままに歌うことはとても危ういはずなのですが、現時点でのEMOEのパフォーマンスに限って言うなら、さくらさんの叫びはあまりにも真っ直ぐ過ぎて、観客としては正面から受け止めるしかなくなるのじゃないかな、と思います。無垢の勝利ですね。

MC、へちさん「じゃあ自己紹介を」、自己紹介ののちのグループとしての挨拶が揃わず地団太踏むへちさん、喉が痛いことを訴えます。
今日はヲタクからのプレゼントのキキララのソックスを履いているとさくらさん、ソックスを見せるべくシューズを脱いでステージ最前に出て足を示しますが、落ちるのじゃないかとへちさんに心配されます。さくらさんはプレゼントしてくださった方の名前を晒すというか上げますが、場内にいらした方から「名指し!」と声が上がり、へちさんからは「居ないヲタクの名前いらない」。客席最前センターにお客さんが居ないのを見て「なんでここが空いているの?」とさくらさん、「居るんだよ!」とへちさん。
ライトが当たっているせいか客席が見えないとへちさん、ステージに記された立ち位置は見えるとさくらさん。へちさんに向かって観客から「前を見ろ!」と声が掛ります、へちさんは照れ屋さんで客席に眼をやることが難しいのかさくらさんばかり見てしまうのですね。二人して客席に背を向け、「安心する、これで歌うか」とへちさん。
「いま歌った曲は何ですか?」とさくらさん、「To Be Free」とタイトルを述べるへちさん、この曲に関してかへちさんから発表がありますがフライングだったらしいところを「今日が発表だから!」とフォローするさくらさん。真実フライングなのかもしれませんのでここにはへちさんの発言の内容は記さないでおきます。

へちさん「聞いてください、最後の曲です」、さくらさん「レラリンルンリンラン!」。
三曲目「レラリンルンリンラン」。へちさんは声の調子がやはりよろしくないらしく、そのせいでしょうか、わずかに歌に入るタイミングが早くなるところがあります、やはり体調は大切ですね。さくらさんのピルエット=回転がみごと。ラスト、カーテンコールのように礼する二人、ラストは背中合わせに。

「ありがとうございます!」、へちさん「喉痛いよー!グループじゃなくて良かった」。会場入り口にフライヤーを二十枚置いたが「捨てられたら泣いちゃう」とさくらさん。腕時計を見るさくらさん、へちさんは腕時計をしていないのですがさくらさんを真似ます、その様子を見て「無いのに見ちゃったね」とさくらさん、「子どもだよね」とへちさん。

無垢だから叫ぶのだけれど、無垢ゆえにこそその叫びを観客に受け止めてもらえる、したがってステージに立ったことが既に報われているのであろう、EMOEのステージでした。