あヴぁんだんど 2017.01.15 @ 渋谷O-nest(ekoms presents 4colors)

 

 

 

セットリスト:
1. Have Some Dreams
2. あヴぁんだんど
3. I AM ア 人間
4. 点滅ばいばい
5. かさぶた
6. オンナノコヤマイ
7. ヴぁんでぃっつ!!!
8. Feedback Friday

 

 

 

渋谷O-nestの舞台は間口三間奥行き二間半、奥に間口二間奥行き一間のドラムス用とおぼしきシートがひかれていますが舞台面とはわずかな高さの差しかないため相当な広さのステージをフルに使うことになるわけです。
ピチカートのSE、「ヴぁー!」、上手からメンバー登場。べにさん「こんばんは、あヴぁんだんど、です!よろしくおねがいします!」、こたおさん「よろしくね!」、べにさん「撮影オッケーなので、なんでも撮ってください!」、こたおさん「カワイイやつ!」
べにさんは赤のリボンでとめたツインテール、こたおさんはポニーテール、二人とも上履きです。


一曲目は「Have Some Dreams」、舞台を大きく使えるために、広い空間を前提としたべにさんの振り付けが活きます。
インド風になる前の「最初から…」を笑顔で歌うのは、二人のあヴぁんだんどの旅立ちとシンクロしたのか、そうではないのか。ということを書くからにはやはりあヴぁんだんどの今後が心配なのでしょうね、わたくしは。
「振り返れば」をピルエットのあとに歌うべにさん、こたおさんのソロの後ろでもくるりと回ります。「扇風機の」では手を扇風機であるかのように回してこたおさんを煽るべにさん、こたおさんの「殺しあって」では首を絞められて宙をうつろに見るべにさん。ラストの「飛んでゆく!」では観客の歓声が上がります、励ましの歓声でしょうか。


二曲目は「あヴぁんだんど」、べにさんが挨拶、Vサイン。べにさんが「ここにいると」と歌っている間にこたおさんは水分補給、ステージが広いうえに今日は30分の長丁場なのでタイミングを見て引くところを引かないとバテますからね。
サークルモッシュ、ラストは二人で「センキュー!」


「ありがとうございました!うさべにです!」「こたおです!」「わたしたち、見捨てられたアイドル、あヴぁんだんど、です!」
驚いたのは、しばらく用いていなかった惹句「見捨てられたアイドル」が復活したことでした。あとで伺うと、あヴぁんだんどを初めて見るお客さんに配慮したとのことです。


こたおさん「さっそく次の曲」、つるうちはなさんのカバー曲、「聞いてください、I AM ア 人間」
三曲目「I AM ア 人間」、イントロの振りつけはパントマイムというより舞踏に近いニュアンスが感じられます。一般にパントマイム…マルセル・マルソー風の、ということになるでしょうけれども…では、声は発しませんが表情は感情豊かなのですが、ここでのメンバーは感情を表すことをセーブしているように見えますので。しかしこれは、西洋人から見た日本人が無表情に見えるようなものなのかもしれませんね。


四曲目「点滅ばいばい」、初演から立ち会った人間にとってはあまりにも多くの思い出をよびさまされるこの曲をもってくるところ、攻めのセトリだなあと感じられますね。イントロ、跳びあがりながらスカートを直すこたおさん。べにさんもソロにおいてターンするときにスカートを片手でおさえています。そのべにさんは「嫌われもの」をどこかふてぶてしさを感じさせる表情で歌いますが、確信犯というよりは次々起こる出来事たちのすべてを受けいれる姿勢がのぞいたものかもしれません、というのは読みすぎかな。続くこたおさんの歌う「見捨てられて」にも、初演のメンバーが見せたような、痛々しさはありません。強くなくては生きていけない、ターンしたあと「好きだから」と歌うべにさん、いっしゅん感情が高まったのかなという表情をみせますがすぐに笑顔へ、そう、強くなくては生きていけない。べにさんが歌う「見捨てられて」には、あきらめを超えた、積極的な受容を読んだのですが、思い入れが過ぎるというものでしょうか。


五曲目はべにさん作詞による新曲「かさぶた」、前日の桜台poolでのパフォーマンスでは叫ぶように歌われていましたが今日は意識的に抑えた歌唱にしていたように感じましたが、この曲は、やはり歌詞を聞かせる曲でありまして、バックとともに叫んでしまっては、歌詞の効果が薄れるのじゃないかと改めて思いました。ピルエットしつつ歌うべにさん、息が切れそうになりながらも。二人の歌う「溶けないアイスは存在しない」とは、アイドル自身によるアイドルの否定なのかなと、考えさせられますね。「おなか空いても歩いてく」、コミカルな振りがついていますけれど、なかなか人気が得られなくてもアイドルを辞めないという強い意志の表明なのでしょうか、とするとここでのVサインは、ヴぁんでぃっつ!!!の「最後には笑うんだ!」と等価なのでしょうね。二日続けてのライブ、バックに対抗するようにあるいは引きずられるように叫んでしまっていた昨日と、バックはあくまでバックとして扱い、自分たちをアピールするのに最適な姿勢を探った上での演舞歌唱を企てたように思えた今日と。この曲のパフォーマンスにおける両日の違いこそ、オリジナルメンバーがたった一人になっても、二人になっても歩みをやめない、あヴぁんだんどの姿を明らかに示していたのかなと思います。


べにさん「ありがとうございます!イェイイェイ!ここで、あヴぁんだんどから、告知が!」、翌日に控えた「プロレスビデオ強制視聴というおぞましいイベント」の紹介、デスマッチとは「殺す以外なんでもあり」、顔にカミソリをつけたり、と、うれしそうなこたおさん、初心者の人はウサベニと一緒に、と、おびえるべにさん。


六曲目「オンナノコヤマイ」、この曲のパート分けははまだ動いているようで「大丈夫」を二人、「ここにも」をこたおさん、「わたしも」をべにさん、「病気みたい」を二人で歌いますが、基本的にはユニゾンを減らして歌を振り分けることで個々の歌う分量を減らしているようですね。イントロで「聞いてください!オンナノコヤマイ!」とこたおさん。べにさんの白目。


七曲目、べにさん「聞いてください!ヴぁんでぃっつ!」、「ヴぁんでぃっつ!!!」も「オンナノコヤマイ」と同じくつるうちはなさんの手になる曲。「…傷つけるためになんか…」で声が震えるべにさん、疲れが出てくるところであるためか、どうしても歌詞とのシンクロが生じてしまうためか。そのべにさんは「最後には笑うんだ!イェー!」で片手で頭を抱える振り。ラストの「贈る賛歌!」がステージの上と下と、アイドルとヲタク双方の祈りと感じられるのはいつもながら切ない。


ラスト曲は「Feedback Friday」、べにさん「最後の曲です!」、あいまに水分補給したこたおさんが「いくよー!」と吼えると、水を飲んでいたべにさんがボトルを投げて曲に合流。べにさんのボウタイがほどけ掛けているのがみえます。この曲、いまの二人になってから振りを変えたのかな?べにさんが寝ているあいまに水を飲むこたおさん、ひとりでプロポーズする側と受ける側を演じるこたおさん。べにさんにケリをいれて目覚めさせます。
べにさんに足を掛けてソロを取るところ、わずかにタイミングが遅れるこたおさんですがパフォーマンスには影響なし、そのこたおさんが「恋のウイルス」と歌うところでべにさんはボウタイをほどいて投げます。「止まらなくて」で客席からなにか袋に入ったものを渡されるこたおさん、べにさんは「最後…」「まだまだ行くよ!」と叫びます。後ろ向きでエンディング。
「以上わたしたち、あヴぁんだんど、でした!ありがとうございました!」


広い会場でただ叫ぶのではなく、会場もパフォーマンスの一部として活かす姿勢を見せてくれたのかな、というあヴぁんだんど、新曲「かさぶた」の歌い方に前日と比べてもあきらかな工夫が認められたのが収穫でした。