こんにちは。


男女共同参画、男女同権、ジェンダーの尊重などと言われるなかで、腑に落ちないことがあります。


所得税には「寡夫控除」があったのに、国民年金には「寡婦年金」しかありません。


この違いがどうもわかりません。


もっとも「寡夫控除」は令和2年から「ひとり親控除」となり、言葉自体はなくなりましたが、控除制度自体は生きています。


⚫︎社会保険の男女区別

社労士が取り扱う労働・社会保険には、男女(妻・夫)で明確に区分されている規定がまだいくつも残っています。


冒頭の「寡婦年金」は名前のとおり「夫」では対象になりませんが、同じ国民年金でも「遺族基礎年金」の受給権者は「配偶者」とされています。


18歳到達年度末までの子どもがいれば、妻・夫を問いません。


一方厚生年金には至るところに、妻に先立たれた夫に優しくない規定が残っています。


「遺族厚生年金」の受給権者は「配偶者」とされていますが、夫の場合は55歳から60歳までは支給されません。(若年支給停止というやつです)


また「中高齢寡婦加算」や「経過的寡婦加算」も名前のとおり「妻」がもらえる加算です。


⚫︎労働保険の男女区別

労働保険でも同じような規定があります。


労災法の「遺族補償年金」は「夫」ももらえますが、「遺族厚生年金」と同じような若年支給停止がかかります。


また遺族が「妻」一人のときは年金額が上乗せされる(153日分→175日分)規定もあります。


この「格差」はどこからくるのでしょうか。

どうして「寡夫年金」はないのでしょうか。


これには女性の働き方や家庭における男女の役割に関する昔ながらの認識がありそうです。


1980(昭和55)年の「共働き率」は約36%

これが1990年頃を境に逆転

40年後の2020(令和2)年には約68%


ちょうど立場が逆転しています。

時代は確実に変わり、女性は家庭、男性は会社というステレオタイプではなくなりました。


年金受給でよく出てくる「夫は厚生年金・妻は国民年金だけ」というモデルはもはや「少数派」になっています。


税制を見習って、年金制度もぼちぼち実態に合った形に変わるときが来ていると思っています。



今回もここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。次回もまたアクセスしてください。



もう一つの旅の楽しみ vol.49


魚や海藻がいっぱい(ヘルシンキ)