『「私とブエノスアイレスのマリア」その5』
少し前回の投稿と前後するが、2021年の公演のため、現在のミュージシャンメンバーが出揃ったのが、6月半ばだったと思う。
◉小島りち子(vo)
◉KaZZma(vo)
◉西村秀人(朗読)
◉早川純(bn)
◉柴田奈穂(vl)
◉会田桃子(vl)
◉田中景子(vla)
◉橋本歩(vc)
◉赤木りえ(fl)
◉田中庸介(gt)
◉相川瞳(vib etc)
◉宮沢由美(pf)
◉田辺和弘(cb)
◉海沼正利(per)
(敬称略)
それぞれの方とのドラマがあるので、それはまたのちの投稿で機会があればぜひ書いてみたい。
さて、この作品には群読があり、演出を入れるかどうかをはっきり決めなければならない。
ダンスも、いわゆるタンゴショーのダンスでは成り立たないし、浮いてしまうだろうと思っていた。ストーリーの中に自然に溶け込んで入ってきて、街の風景になったり心象風景になったりできるもの、、、。
群読をやる人を別でお願いすることも考えたんだが、カズマさんとも相談してダンサーの皆さんに読んでもらうことでお願いしたいということで方向性を決めた。
カズマさんが、エフェクトタンゴのみなさんを推薦し、出演交渉もしてくれた。「ギャラ交渉のためにも、最低何曲踊ってもらうとあらかじめ提示した方がいいのでは」という意見をもらって、それもそうだなと思って舞台の進行を自分なりに考えていたのがこの頃。ただ、考えれば考えるほど、最低何曲という単純な計算ではいかない。曲の中でも展開するし、ここでも少し出てきて欲しいというのも必ず出てくるだろうと思ったので、柔軟に対応してほしいという旨を話していた。そして、この作品の解釈について頭をひねった。
エフェクトタンゴのみなさんは本当に素晴らしい世界観を作ってくれたし、一人一人の発想が最高だった。
演出をどうするか、群読をどうするか、、、
いつも頭を悩ませたのは予算との兼ね合い。
600万円という助成金は、決して潤沢なものではなかったのだ。ダンサーさんたちと芝居的なリハーサルをやるなら、その費用は。
リハの音楽はCDでやるのか、生演奏でやるのか。
そして演出家さんを呼ぶのかどうか?
当時の私のスコアには、自分の演出メモが書いてあって、ここでマリア出てくる、ここでマリア後ろを振り返って照明はここで暗転になって、、、などなど。
「カズマさんが(演出)をやればいい」と照明の矢口さんが言っている、とカズマさんから聞いた。カズマさんは、ストーリーをみんなに伝えるために、ご自身でまとめたものをPDFで発信するなどしてくれていたのもあり、イメージがあるようだった。
ただ、出演者だと客観的に考えたり見たりできないこと、現場に入ってからの指示も出しにくいであろうこと、そして何より演出というのは相当な専門職で才能のあるなしにより舞台のセンスがごろっと変わってしまうものであることを、多少の芝居経験の中で知っていたから、そこは私の意見を通して演出家さんを呼ぶ方向にした。予算の天井がだんだん高くなっていくのを不安に思いながら。もう8月ごろだったと思う。
照明の矢口さんは普段オペラに関わっておられる。そこで、オペラの演出家である飯塚励生さん(通称レオさん)を紹介していただいた。オペラの演出をされている方なら、音楽と芝居と両方への働きかけがきっと素晴らしいだろうと思った。レオさんは忙しくて当時他にも案件を抱えておられる中受けてくださった。
8月末、スタッフチーム、演出家のレオさんと座・高円寺2の劇場下見へ。何度も会場の事務所へは来ていたが、ホールに入ったのはこの時が初めて。
第一印象は『小さいな』だった。
頭の中では勝手に帝国劇場くらいのイメージだったのかも😅
レオさんは、間口を広く取るために袖幕を外そうと提案。そして、演奏者の配置について、高さをかさ上げする台(張り出し舞台を作る時などにも使用するもの)が無料で使えるため、これを奏者の台にするのはどうですか、とのことを提案してくれた。
「いいと思います!」と即答したのをよく覚えている。素晴らしいと思った。やっぱり、プロに頼んでよかった。
この日、映像を入れたいと思っていること、それらはとても抽象的なものであること、そこに字幕も入れてはどうかと思っているアイデアなどを話した。
レオさん、舞台監督、照明スタッフ、音響さんたちが劇場のさまざまをチェックしておのおのの案をくり出してゆく様子を見て思った。この作品が私の妄想から離れてひとりで歩き出したと。関わる人みんなの作品になったのだと感じた。8月26日のことだった。
本番まであと4ヶ月。
写真は当時、真夏真っ盛りの子どもと。
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