昨日は横浜方面へ出かけた後、借りていたDVDを見た。ヴィム・ヴェンダースの「パリテキサス」、漸く。
記憶を無くしていた浮浪者みたいな男が、過去を取り戻しながら旅するロードムービー。でも、結局大切なものは、すぐ手の届く所まで近づくのに、敢えて失ったままに。と言うのが私の解釈なんだけど、これもまた見る人によってそれぞれなのかも。

一瞬、釈然としない終わり方だと思ったんだけど、段々沁みてくる。自分の中の激情や狂気に翻弄される苦しさ。まして、それでまた大切なものを傷付けてしまうかもしれないなら、今度は予め失ったままにしておこう、と。人として成長が足りないとか、未熟とかじゃなくて、激情も狂気も生命の深い場所から発生してきていたりする。その、自分の内なる力に抗おうとしても抗いきれないのが、痛いくらい切ない。また旅に出るしかない。

パリ、テキサス [DVD]/ハリー・ディーン・スタントン,ヴィム・ヴェンダース


と、若干自分よりに解釈(汗。
うーん。
そんな秋の夜長。

見終ってまだ目が冴えていたので、続けて「カストラート」も見た。こちらは、予め失う、というより、予め奪われてしまっていたものを取り戻そうとするストーリーとも言えるかも。それも、音楽、もしくは自分の内なる力に強烈に導かれながら。

カストラート [DVD]/ステファノ・ディオジニ,エンリコ・ロ・ヴェルソ,エルザ・ジルベルシュタイン


そんな訳で、昨夜は、去勢という言葉において対極にある男の人生を2つ覗き見てしまった。
うーん。
そんな秋の夜長。

今日は渋谷方面で打ち合わせが一件。
その場所に向かう途中にも黙々とこのエントリーを書いていたのだけど、その姿をスタイリストの佐藤かなちゃんに目撃されて、「モナちゃん、すごい眉間にしわ寄せてどうしたのー?」と言われてしまった(笑。

諸岡なほ子の『旅の途中のスウィートホーム』-??.JPG

写真は昨日、横浜方面のカフェで出会ったフサフサの三毛猫ちゃん。呼んでも触ろうとしても、ひたすら背中を見せ続けていて切なかった(それがまたいい)んだけど、そんな私を見て、このお店の店員さんが奥から猫じゃらしを出してきてくれました。そしたらフサ三毛ちゃん、猫じゃらしにではなく、猫じゃらしに結んである長い紐に凄い勢いで飛びついてました。彼女の激情、もしくは内なる力もまたミステリー。