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旅の入口は、いつもの駅のそばの古本屋さんでした。

3日前に、1時間近く電車に乗って出かけるのに、iPodも本も持ってなかったので、ツツツと古本屋さんに行ってみると、予想通り表には日に焼けた文庫本がどっさり。どれも100円で売られていました。

ざっと眺めているうち目に飛び込んできた文字列は、
「風の男 白洲次郎」
コレだ!
手に取りそのままレジを済ませ、電車に飛び乗り、パラリパラリ。

白洲正子さんの本は何冊か読んだことがあるのだけど、あのスマートな文章とするどい観察眼と、実際に何でも体験してみようとする姿勢、そしてなんといってもかっこよさが好きで、いつか旦那様である、白洲次郎さんのこともきちんと知りたいと思っていたのでした。

そんな思いで読んでいるうちに、白洲夫妻が住んでいたのが、3日後に仕事で行く場所のすぐ近くだと言うことが分かってしまったのです。
まあ!

調べてみると、武相荘(ぶあいそう)として、現在一般に公開されていることが判明。
んー、行って見たい。
そんな思いを頭の片隅にお仕事をしていた昨日。また奇跡的に、入館時間に間に合ってしまうタイミングで仕事が終わったものだから、その足でえいやっと鶴川の武相荘に行ってしまったと言う訳です。まさに、滑り込み。

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一体何があるのか分からなかったのだけど、やっぱり行ってみて良かった。
森の中にたたずむ家も、ぬくもりのある萱葺きの屋根も、苔むした大きな柿の木も、自然が作る光のダンスも、どれもきっと白洲夫妻の愛したものなんだろうなと思うと、ここからいろんなものを吸収させてもらいたいと言う想いに。

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建物の中は撮影禁止なのですが、本当はとても写真に収めたかった場所が一つ。
それは、書斎。
壁と言う壁を埋め尽くしている本の背表紙を眺めているだけで、
「そうか、こんなものを読んでたのかー」
と、納得するような、改めて尊敬するような気持ちに。
鈴木大拙や、南方熊楠、折口信夫全集も。
うー、私もいつか読みときたいー。
この自然と文化の中での暮らしは、たまらなく私の憧れ。

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とりあえず今日は、「風の男 白洲次郎」の続きを読みながら、100円から始まった旅の余韻に浸っておりました。


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