今日は、私がブックマークしている友人たちのブログのほとんどが七夕に関するエントリー。
私も七夕について何か書こうかと一瞬思ったのだけど、その瞬間に思いだすのは、昔、大牟田の親戚の家の目の前にあった、古ぼけた商店「七夕売店」。

こうやって「七夕売店」と書いてみると、まるで宮沢賢治のお話に出てきそうなかわいらしい名前。
だけど、実際は炭坑で働く人たちが住んでいた社宅のそばの、素朴なスーパーマーケット。

凸凹のいい加減なコンクリートのフロアは歩きにくく、砂でザリザリしていて、店内の光は蛍光灯ではなく裸電球のようなオレンジ色(だった気が・・・)。母が漬け物樽の中から選び出したたくあんを、お店の人が手袋をした手で掴んで透明のビニル袋にいれてくれていました。漬け物樽とそう身長の違わない私は、「へー」と思いながら見ていたような・・・。曖昧な記憶だけど、ピンクのポッキーを買ってもらったりもしたっけなぁ。子供の私にとってはほんの少しウキウキする場所でした。

そんな七夕売店は、私が小学校の頃には既に取り壊されてなくなってしまったので、習い事の教室へ母に送ってもらう時などは、車でその前を通るたびに、空間がごっそりなくなってしまうと言うことに、恐ろしさと言うか虚ろさと言うか、不思議な気持ちを抱いていました。しばらくの間、お店の入り口のそばにあった電話ボックスだけが取り残されたように立っていたのがまた、なんとも言えず切なかったんだけど、子供の頃はこんな風にたくさんの言葉を持っていなかったから、もっとずっと得体の知れない感覚だったと思います。

なので、私が七夕に毎年出会うのは、天の川の向こうの彦星様ではなく、あの田舎の木造のスーパーマーケットの「七夕売店」の記憶、なのです。