携帯電話の目覚まし機能に起こされるも、寒さに中々布団を出られずにいると、朝ご飯の30分ほど前に仲居さんのノックが聴こえて来たので、慌てて浴衣の合わせを直して身体を起こそうとすると、イテテテテ。身体のあちこちが痛い。特にふくらはぎ。

おーい。こらこら。
今、絶対、みんな思ったでしょ??
翌日に筋肉痛なんて、まだまだ若いじゃん、って。

私も思った(汗。
即、思った。
まぶたが開ききらない内から。

温泉に浸かってのマッサージもむなしく、その効果を遥かにしのぐ慣れない運動量に、私の筋肉さんたちは悲鳴を上げておられました。イテテテテと言いながら、布団をたたみ脇によせ、ゆっくりと洗面等をしていると、朝食の準備が始まります。すると仲居さん、

「今日は降ってますねー」
「え、雨?」
「雪。」

ぎょぎょっと、カーテンを開くと、確かに雪。というか、段々雨になりそうな、みぞれ状態。

朝食を頂きながら、今日はとても山道を歩けそうにないなという判断をし、バスで本宮に行くことを決断。正直、もうゼーハーゼーハー言いながら峠を越えていかなくていいということに、ちょっとホッとした気持ちもないではなかったですが、今回は、知識や観光よりも、肉体の感覚で熊野古道を感じることを一番のテーマにしていたので、とっても残念でした。

でーもっ!
それならば、と、朝食後にはもうひとっ風呂♪
徹底的に温まり、徹底的に湯垢離。
気持ちを改めて、バスに乗り本宮へ向かいました。

ここでまたまた乗車したのは龍神バス。
バスは渡瀬、川湯といった温泉地を通りながら、わずか20分足らずで本宮に到着。歩きでは2時間くらいでつければいいなと思っていた本宮さんに、たった20分足らず。ああ、なんだか物足りない。

そう思いながらも、熊野本宮大社の大きな鳥居の前に立つと、その奥に広がる高い杉の森に、天上に吸い上げられるような感覚に。



おわー、すごー。
なんというか、神のすみかを表現する素敵なデザイン。

後でブログをアップするための写真を携帯電話で撮影し、森の中をあちこち見上げながら歩いてゆきます。すると、上に上にいきたがる気持ちに応えるように長い石の階段が現れます。すっかり手になじんだストックを支えに、階段を上りきると、大きな菊の紋と重量感のあるしめ縄のかかった神門、そのむこうに本殿がありました。



しかし、この門をくぐった後の撮影は禁止とのことだったので、手前から撮影しているのですが、それでも多少は雰囲気は伝わるでしょうか?

本殿の檜皮葺き(ひわだぶき)の屋根。
そして、その奥に広がる杉の森。
冬色の杉の森と、連なる社殿の屋根とが相まって、古い記憶を呼び覚ますような空間を作り上げていました。

ひとつひとつの社殿にお参りして、その空間をひとしきり味わうと、お守りを授かって、早々に着た道を引き返しました。そして向かったのが、



大斎原を望む川沿いの土手。
実は、この大鳥居が日本で一番大きな鳥居だということは調べていたのだけど、大斎原が旧社地だということをきちんと勉強していなかったために、そこがどれだけ価値のある場所かということかも知らずに遠くから望み見るのみにとどまってしまいました。でも、明治初期までは、あの鳥居のむこうが、熊野本宮大社だったのだそうです。

あぁぁ、悔しい!!
きっと、どんなにか素敵な場所だっただろうに、私は手前から見ただけ。
本当に残念で、自分の不勉強を反省しました。

私は、その後、新宮経由で太平洋を見ながら白浜まで特急くろしおで移動し、飛行機に乗って帰京しました。

それでも、大斎原の鳥居の向こう側に広がるこんもりとした森のかたちに何か感じていたのは間違いなく、またこれは、改めてやってこいとのことなのだと思っています。

そうそう、熊野詣での順番は、本宮、那智、速玉、そしてまた本宮に戻るという順番がメジャーなのだそう。だから、今回は本宮に訪れたので、次回は、那智の滝を見、その次に速玉大社、そしてまた、本宮に戻って来て、今度こそは旧社地へ行こうと心に決めました!!

そう、折角現代に生きているので、なんども熊野に行って、森の中を歩き回りたいと思います。

じゃあ、これ、おまけの写真ね。ノーメイクだけども、お仕事じゃなかったから許しとくれぃ。