もうオンエアから一週間が過ぎてしまいましたね。あ、そうそう、エンディングで雪の中を歩いている映像があったと思いますが、「あれれ? 本編の中では降ってなかったのに」と思った方も多いことでしょう。実は、私たちが最終目的地カラパタールに登った翌日、ペリチェという場所へ降りてくるお昼前に、しんしんと雪が降り出してしまったんです。それもあっという間に大雪。これは予想外のことでした。
今回のヒマラヤトレッキングの日程は、高度順応の為の停滞日以外にも、予備日をとってありました。ほかのトレッキングのグループも概ねそうやってスケジュールをたてているのですが、誰かが体調を壊したり、天気の為に頂上へのアタックを翌日にずらしたりする為です。幸い私たちは「頭痛いよ~」とか「お風呂はいりたいよ~(関係ないか)」と言いつつも、なんとか全員が乗り切って、天気にも邪魔をされなかったので、日程的には順調にカラパタールまで行けました。ですが、もしもどこかで予備日を1日でも消化してしまっていたら、私たちのカラパタール登頂はなし得なかった訳です。本当に1日ずれたらこの状態!



カラパタールの丘は、長い年月をかけて氷河に乗って流されてきた岩がゴロゴロと積み重なっているという場所なので、足もとはとても不安定です。そこを、岩から岩へ足を伸ばすようにして登っていきます。普通に歩くのも大変です。そこに、雪なんて降ってしまったら・・・。間違いなく山ど素人の私たちは、カラパタールからのエベレストを見られずに帰ってきたことになったと思います。そう言う意味では、お天気にも感謝しなくてはいけません。

が。
安心してばかりもいられず・・・。

この雪の中を降りてくるのはまた、ひと苦労でした。
ただひたすらに下ってくるというのならいいのですが、帰り道も登ったり降りたり、また登ったり。私が上り坂の前であまりに悲しそうな顔をするらしく、それを見ていたディレクターS氏は「姉さん、上り坂アレルギーになってるでしょ?」と笑ってました。うぅ、認めたくないけど、確かに・・・。それでも、歩かないことにはロッジにもタトパニ(お湯)にもたどり着けない・・・。泣く泣く歩いていたのですが、突如、ある光景に私とADのCちゃん(女の子)は思わず叫び声をあげてしまいました。

私たちが目にしたものは!

なんと、膝上まで積もった雪の中、自分のすねでラッセル(雪かき)をしながら道をつくる我らのサーダーパサンさんの姿!
しかもそこは、右手を見上げれば登りの斜面、左手は真っ逆さまに落ちてしまいかねない崖っぷち。もともと1mくらいの幅しかない道は降り積もった雪の下。どこに道があるのか記憶と勘をたどりにパサンさんはラッセルしていたのです。真っ白な雪の中、ポーターやヤクや私たちの10mくらい先を、もの凄い勢いで突き進むオレンジ色の上着と、私たちの黄色い叫び声に何事かと振返ったパサンさんの日に焼けた顔。今でもその光景が忘れられません。

「パサン、カッコいいいいいいいい!!!」
と、Cちゃんと私は同時に叫んでいました。
命がけのラッセル、それができる強靭な肉体、驚くべきリーダーシップ!なのに私たちの発した言葉はコレ。今思うと余りに情けない・・・。
でも、ふしぎ発見!オフィシャルホームページのインタビューにも答えていますが、この時私は、「こんなに命がけで私たちのことをガイドしてくれるんだ。私もこの命でお返しをするべきなんじゃないか」と、一瞬、その答えは結婚か?!なんて考えてしまいましたが、それではかえって迷惑をかけてしまいかねないので、却下しておきました(笑。でも、茶化して書いてしまいましたが、これにはまたじわじわと感動させられました。

そうして、なんとか戻ってきたタンボチェ寺院にて。


無事に戻れました、ありがとうございました。ってね。
ちなみに、前のエントリーでcatsili10さんがコメントして下さったエベレストビア。持って帰ってきたラベルはこれです!

everest

テンジンノルゲイというシェルパが神の山エベレストに登頂した所(あ、頂上を踏んでいません!)の絵ですね。これが、ヒマラヤ帰りの私にはたまらなくって、カトマンズのレストランでつい頂いてきちゃいました。ヒマラヤの地下水で出来ているとは知りませんでした。んー、もう一回そうと知って飲みたい~!
一緒に映っているエアチケットは、カトマンズからルクラへ飛んだときのもの。味があるでしょう?