もう少しすると、ふしぎ発見オフィシャルのHPで私の記事がアップされると思いますので、番組の内容に則した事はそちらで読んで頂くとして、こちらではもうちょっと個人的なエピソードについて書きましょうね。

というわけで、オックスフォードの次に訪れた場所は、ルイスの故郷、北アイルランド。
アイルランドの風景は、雄大でどこか切ないです。印象に残っているのは芝生の緑。他の草木はほとんど冬枯れしているのに、羊が放牧されている原っぱは青々としています。芝生を見るとついつい走りながらボールを蹴りたいなぁと思ってしまう私なんですが、日本の公園で芝生を見つけると大抵の場合、外側にロープを張り巡らしてあって、『立入禁止』なんて立て札が刺さっていたりします。私はそういう繊細に扱われる芝生しか知らなかったので、厳しい冬が来ようとも、羊にむしゃむしゃ食べられようとも、青々と茂っているアイルランドの芝生に気づいてびっくりしてしまいました。それともあれは、芝生と似て非なるものなのかな? とにかく、朝もやの中、青空の下、雲って白い空の下、赤く焼けた夕日の中、アイルランドの田園風景には必ずグリーンが広がっていました。寒い地域に適応してきた種類なのか、もともと逞しい種類なのかは分かりませんが、他の植物が色を失ってしまっている時にも青々と若さみたいなものを保っている様子には、どこか種としてのしたたかな強さと言うか、生命力の様なものを感じました。アイルランドの風景がまたそんな風に思わせるんだと思うけど。

land

で・・・、

私。アイルランド。
ときたら・・・そう、ギネス!YES!
本場のギネスを飲まない訳には行きません!!
ベルファストの空港から滞在したホテルまで車で移動する間にも、注がれたてのギネスの琥珀色の気泡が、今まさにグラスの上部に昇りつめてクリーム状になろうかという所を捉えた、消費者の心理をこれでもかという程に揺さぶる素晴らしい広告が何カ所かに見られて・・・ぐわぁ、耐えられません!
到着したその日の夕方、晩ごはんのレストランに出かける前に、まずみんなでパブ!アイリッシュパブ!YES,YES!!
ところが、何気なく入ったそのパブの歴史がまた凄い。軽く100年は越えていた気がするのだけど、そんな話を聞いている時に天井を指差され、煙草や葉巻から出るヤニが長い歳月をかけてここまで黒光りさせるんだということを聞いたら、一体創業何年かなんて事を忘れてしまって、ひたすら薄暗くあるかないか分からないくらいの照明の中でも怪しく反射している天井を口を開けてまじまじと眺めてしまいました。そのパブは地元でもちょっと珍しい作りらしく、私たちの席は電車のコンパートメントを大きくしたような感じ。更に、席の入り口には扉がついていて、ちょっとした秘密の会議が出来てしまう。うん、恐らくそういう用途だったのでしょう。歴史の表舞台には登場はしなくとも、確実に歴史を動かしてきた男たちが集ったパブ。
そんな空想をしていたら、ジャーン!ギネス登場!
歴史はさておき、いっただっきまーす♪

ん~~~~~~っ、旨い!!
「美味しい♪」なんてまどろっこしい単語を使ってる場合じゃないですね。「っかー、んまい!」です。
なんでしょうねー、味はギネス!間違いない。けどもなんだかより苦く、より甘い。つまりより味わいがあるのだけど、なんらかの嫌味がない。で、まろやか。バーカウンターの向こうでグラスに注いでいる様子も見ましたが、泡もなんだか簡単にクリーミーになっていく様な気がしました。それはそういう卓越した技術なのかなぁ。
そんな風に私が感嘆詞と形容詞を繰り返していたら、スタッフの1人が「だって、日本とこことじゃ緯度が違うでしょ?」とサラリと教えて下さったのですが、え、緯度?! 緯度で味や泡立ちとかが変わるってこと?? そういえばベルギービールでも、気候や何かの関係でどうしてもブリュッセルでしか作る事の出来ないビールがあるんだというのを読んだ事があったっけ。そんな感じの事なのだろうか? 未だに謎は解けていないのですが、でも、日本で飲むギネスのドラフトと本場アイルランドで飲むギネスのドラフトとでは確実に何かが違う。んー、なんなんだろうなぁ。あ、でも、緯度のつもりで聞いた単語は、もしかすると井戸かもしれないとも一瞬思ってみたり。水?まさかね。

という訳で、アイルランドの旅も順調に始まったのでした。
そしてこの翌日も・・・、というのは、また次回書くとしましょう。

ちなみにギネス後日談ですが、日本に帰ってきた翌日、本場の味を忘れないうちにギネスを飲み比べたいと思った私は、近所にアイリッシュパブを探したのですが見つからず、代わりにコンビニでギネスの缶を買ってきて飲んでしまいました。そりゃあ、お味は少々違いましたけど、真新しい思い出とともに飲んだギネスは、またそれはそれで美味しかったです。お酒というか、味やにおいと言う感覚は、どっか記憶に直結するものがありますよね。大人になるとそういう事も含めて、美味しいのですよねぇ。あぁ、また飲みたくなってきちゃうなぁ~。