芸術の秋。でもね、無責任なので、自分が芸術で何か表現したー!っていうのではなくて、芸術を鑑賞してきましたー!の秋です。
今、東京都現代美術館で開催されているイサム・ノグチ展に行ってきました。
この東京都現代美術館は大きな公園に隣接していて、敷地も都内にしては贅沢に使ってあるので、ちょっと日本ではない感じがする場所。そこからしてすでに旅に出ている気分に・・・、ん~、なろうと思えばなれます(汗)。

isamu&napo

イサム・ノグチ展に関しては8月ぐらいから色々なところでポスターなどを目にしていて、開催されたらすぐに行きたいなぁと思っていました。

思えば私がイサム・ノグチ作品に出会ったのは、岐阜(!)でした。つまり一人旅全盛期の大学卒業後ってことです(このブログをいつも読んで頂いてる方にはもうお分かりいただいてるかと思いますが)。岐阜と言えば伝統工芸品として提灯が有名ですよね。そんなことも知らずに、ただただ岐阜市内を路面電車に乗ったりバスに乗ったりしてうろうろしてた時、ふと提灯屋さんの多いのに気づき、ちょっとデザインの素敵なものが多そうなお店を覗いてみようと足を踏み入れた所でふと目を奪われたもの、それがイサム・ノグチの「AKARI」シリーズでした。しっかりと自己主張をしているのだけど、やっぱり日本的な奥ゆかしさや自然の香りもしていて、すぐにでも欲しい!と思ってしまったのだけど、自分の部屋に合わないことと衝動買いはどうか?と自分に問うことで購入を控えました。
っていうか、いくらだったんだろう?
本当は高かったんじゃないだろうか?
記憶を美化してるかも。
でも、その時に作者の名前まで覚えようと思ったというのは、よっぽど印象深かったんだろうなぁ。それからしばらくして、彼がとても有名なアーティストだと知り恥じつつも納得。そして、結構色んな人が自宅にAKARIシリーズを所持していることを知って驚きました。わざわざ提灯の街になんて行かなくっても出会える作品だったんですよね。というか、ニューヨークでも余裕で出会える!

さて、だいぶ前置きが長くなってますが、そんな思い出を抱えて望んだ肝腎のイサム・ノグチ展、回顧展とは唱われてないのだけど作品の展示は年代順に並んでいて、年を重ねるに連れて作品に深みが増すのが手に取る様に分かりました。若い頃の作品たちは、全体に線が細くどこか気難しいアートな感じがし、後年は自然との共存や人々への優しさが感じられるもっと大きなものになっていっている。そして晩年には地球を彫刻した男とまで言われる様に。

みなさん、モエレ沼公園というのは、聞いたことありますか?
私も詳しくは知らなかったのですが、亡くなる直前の昭和63年に彼がデザインし、今年の夏にようやく出来上がったと言う、札幌の大きな公園です。どうやらここには彼の集大成が実現されているらしい。「全体をひとつの彫刻とみなした公園。子供が作品と遊べる場所に」というもの。今回の会場の一番最後にモエレ沼について色々の展示があったのだけど、そうとう興味深い!行ってみたい!!
そして、その欲求をちょっとだけ満たしてくれる、屋外の遊具の展示なんかもあり、思わずこんな感じで・・・、遊んでみました。

isamu&napo

展示の作品数がもう少し多いと良いのになぁと思いつつ、美術館を後にしたんだけど、思えば自然や人を作品と共存させようとする彼の作品は、現代的なコンクリートの建物の中には収まりきれなかったのかもしれないな。でも、↑こうやってしっかり作品と戯れてるんだけど・・・。

今回のイサム・ノグチ展で新たに知ったことや初めて見る作品たちは沢山ありましたが、お腹いっぱいになったというよりは、これは是非モエレ沼公園に行かなくては!と次への欲求をかき立てるような展覧会でした。イサム・ノグチ展に行かれるならば是非、晴れた日にお隣の木場公園もしっかり散策して、展示を見、イサム・ノグチ遊具で遊んでみると、より彼の作品の魅力が感じられるかもしれないですよ!
と、まるで東京都のプロモーターですね、私(笑)。

ちなみに今回の展示の中で私が一番好きだと思ったのは『この場所』という作品でした。心が休まります。