以前訪れた時に作られた私の頭の中の郡上八幡の地図は、嬉しいことにほとんど間違ってなくて、自分がいかにこの街のことを好きで、少しでも多くの情報を肌で感じようとしたかが分かった様な気がしちゃった。と、鼻の下を人差し指でゴシゴシしながら自慢したい所なのだけど、その地図はちょこっと縮尺が違っていた(汗)。

machinami
大正ロマンな街並の残っている辺りまでは、宗祇水の所からさほど歩かないイメージだったのだけど、思いのほかたどり着くまでに時間がかかってしまったので、友人たちを案内しようと先頭を切って歩いていた私は焦ってしまいました。
で、この宗祇水というのが、郡上八幡の特徴を物語っているものの一つで、ものすごくきれいな水がこんこんと湧き出している、どこか神秘的な雰囲気すら漂う場所なんです。そしてそんな無色透明のきれいな水が、街のいたる所で音を立てて流れている。
なのに、郡上八幡の散歩し始めてしばらく、そんなせせらぎの存在を忘れてしまっていました。なぜかというと、八幡の街に着いた途端に降り出した雨のせい。実は、今回の同行者の中には強力な雨男が1名(しかも似た様なメンバーで以前別の場所へ出かけた時にも雨を降らせた前科者)。思わず皆で睨みつけてみる。ジロリっ。

ame-gujo
それでも傘をさしながらゆっくり歩く八幡もなかなかなもので。おもわずカメラを持つ腕が鳴ります。あちこちパチリ。そうこうしていたらなんだかとても気になる文字列が目に飛び込んで来た。

『飛騨牛コロッケ 100円』

傘を持っていた手が、よけきれない雨に冷え出してきた矢先、そのカラッと揚がったパン粉を纏うコロッケ(しかもあったかそうなショーケースの中に入っている)が目に飛び込んで来たものだから、これはもう体の指令に従順に従うしかありません。
実は私、恥ずかしながら飛騨牛という言葉をこの日の朝まで知りませんでした。朝食の時にCさんのお父さんが、ちょこっとその名を口にされて気になっていた所、その後、八幡のおばあちゃんのお宅で親戚のどなたかから、とっても脂が多くて美味しいということを聞きかじり、頭の中では肉汁たっぷりの妄想が広がっていました。それで、誘惑に勝てるでしょうか? 高級な飛騨牛、第一印象は大事だからもっとお肉の味が分かる食べ方を出来るまで待つべきかと思ったんですが、一体そんな日がいつ来るか分からないですから、ここはとりあえず体験しておこう!と。色んなことを自分にいい聞かせながら、あっという間に完食。
hidakoro
お味は?というと・・・、正直、飛騨牛が何なのかということは、ジャガイモの中に混ぜ込まれたひき肉レベルでは理解し得ませんでした。でも、このコロッケ、なかなかクリーミーで表面もサクサク。ちょっと肉じゃがを思わせる様な味わいでした。小腹がすいた時のスナックとしては中々の役者です。郡上八幡へ行かれる時には、頭の隅っこに置いておいて頂ければちょっぴりステキかも。

なんてことをしているうちに雨も上がり、観光を敢行、なんつって(照)。折口信夫の石碑があることを知って足を運んでみたり、下柳町の大きなお寺を覗いたり、わき水を飲んでみたり、素敵な美濃和紙のお店で自分用のお手紙セットを2つ購入したり、お土産にあぶらとり紙を買ってみたり、ヨモギ味のソフトクリームを味わってみたり、チロルという喫茶店のコーヒーを美味しく頂いてみたり。自分の足で歩いているだけでこれだけの観光らしいことが出来てしまうなんて、結構すごいことだと思う!
それでまたCさんのおあばあちゃんのお宅へ戻る。あぁ、贅沢。

つづく