日本が韓国との共同開催時も、それまでもそれからも、私はワールドカップをじっくり観ることはなかった。
単にそこまで観ようという気持ちがなかったに過ぎないが、今回はなぜか観ようという気持ちになった。
ほぼ予備知識なく、Hグループの日本とセネガルとのリーグ戦の試合を観戦した。
Hグループは日本はコロンビア、セネガルはポーランドを相手に、戦前の予想を覆す金星を挙げて迎えた2戦目。
これが非常に見応えのある試合だった。
日本は勝てた試合とも言えるし負けなかった試合とも言えるが、勝ち越されては追い付く展開がサッカーの醍醐味のひとつであり、堪能できた。
いずれにしても前後半じっくりとサッカーの試合を初めて観た私の感想は、本当に良いものを観た、さすがワールドカップと思った。
これを日本の試合で観ることができたのが、特に嬉しかった。
本当に恥ずかしながら、まともに名前と顔が一致する選手は試合を観るまでは本田圭佑、香川真司、長友佑都、長谷部誠に川島永嗣だけだった。
この試合では、いわゆる“4”の昌子源に酒井宏樹、“2”の柴崎岳、“3”の乾貴士などは私が知らなかったこと自体、本当に申し訳なくなった。
彼らの動きの良さで、サッカーをじっくり観ることができたのである。
その流れで迎えたグループリーグ最終戦。
日本が勝つか引き分けで決勝トーナメント進出が決まるその相手は、セネガルに続きコロンビアにも敗れ、リーグ敗退が決まっているポーランド。
結果はこれまでに多くのメディアで取り上げられている通り、後半14分に得点したポーランドに対し、日本は無得点で試合に敗れた。
しかし、日本は敗れた場合でも3戦目を迎えるまで全く同率のセネガルの結果次第では、グループリーグを突破できる可能性を持ち合わせていた。
後半14分に失点を許した日本は、共に無得点のコロンビアとセネガルの試合にも注目せざるを得ない状況を作り出してしまった。
そしてコロンビアが後半29分、均衡を破るゴールを決めて勝ち越しに成功し、セネガルはまたも日本と成績を並べてしまうことに。
しかし今大会から採用されたフェアプレーポイントの差が日本はセネガルを2ポイントを上回り、日本はグループリーグを突破できることに。
西野監督は後半37分、武藤嘉紀に替え長谷部誠をピッチに送り込むことで、日本は残りの時間の戦い方を統一させる方法をとった。
この方法が賛否両論を生んだ。
日本はイエローカードをもらうこと、失点しないことを重きに置いて、ボールを回し続ける選択をした。
競技場はざわつき始め、ブーイングに包まれることに。
そして45分を過ぎ、アディショナルタイムとしてはこれほど長く感じたことはないかと思われる3分を経て試合はそのまま終了。
ほどなく、セネガルがコロンビアに敗れたことを受けて日本はグループリーグを突破し決勝トーナメント進出を決めたのである。
いろんなところで既に多く語られている、この試合における西野監督の采配。
西野監督が試合前の会見で語っていた内容から考えても、その方向性を決めたことは間違いではなかったと言える。
戦況を見て試合を進めるが他会場は気にしたくはなく、途中経過などを伝えるつもりもなく、影響を受けて選手の動きを変わらないようにしたい。
ポーランドとの試合中、コロンビアが先制した情報を受けての采配であり、西野監督は予定通り選手の動きを統一させるために長谷部を投入した。
ポーランドとの試合の論点は試合終了までの約10分間ではなく、賛否両論を生み出してしまうことになってしまった展開そのものであると思う。
6人もの選手を入れ替えて臨み、ほぼ入れ替え選手に目立ったプレーもなくチームは機能不全に陥ってしまい無得点な上に失点を許してしまった。
このことがそもそも問題だったのではないだろうか。
それは昨日今日に試合をじっくり観た私が、少なくともセネガル戦とポーランド戦は明らかに何かが違っていることを感じることができた。
セネガル戦で観た柴崎は、ポーランド戦には出場していなかったのかとさえ思うほど、全く機能していなかったのではないか。
技術的なことは全くわからないが、自分や周りの選手そのものや立ち位置が変わるとここまで変わるのかと、逆にそれがサッカーなのかと感じた。
これがサッカーの面白さでもあり、怖さでもあり、観点のひとつなのかと、今まで知らなかったサッカーの魅力を知ることができた。
このポーランド戦を経て決勝トーナメントに進出した日本には、まもなく始まるベルギーとの試合には勝利という結果以外求められていない。
西野監督は誰よりもその重要性を感じ、試合に臨む。
すべてベルギー戦に繋がっているのである。