相続又は贈与により取得した資産を譲渡した場合の譲渡所得課税 | 名古屋市の相続税申告・対策専門の税理士のブログ | 愛知県,岡崎市

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相続又は贈与により取得した資産を譲渡した場合の譲渡所得課税

相続人の方が相続により取得した資産を譲渡するケースは多いと思いますが、その場合の譲渡所得課税はどのようになるのでしょうか。

所得税法33条1項には、「譲渡所得とは、資産の譲渡による所得をいう。」と定められています。
そして、譲渡所得の金額の計算方法は、所得税法33条3項に以下のように定められています。

譲渡収入金額 - 取得費 - 譲渡費用 - 特別控除額 = 譲渡所得金額

つまり、譲渡所得は、資産の保有期間中(取得から譲渡まで)の増加益(キャピタル・ゲイン)を所得として、譲渡時に課税されることになります。

■譲渡収入

譲渡収入(譲渡価額)については、民法上は契約自由の原則により、当事者間で自由に価額を決めることが出来ますが、税法上は、時価1億円の土地を1億5千万円で譲渡すると高額譲渡になり、3千万円で譲渡すると低額譲渡になるため、問題が生じる場合があります。

そして、最も注意すべきは、贈与・相続の場合です。贈与・相続の場合には、所得税法59条に該当すれば時価で課税され、その他の場合は所得税法60条により課税が繰り延べられることになります。

課税の繰り延べとは、贈与又は相続により取得した資産を譲渡した場合、受贈者又は相続人の譲渡所得の金額の計算においては、贈与者又は被相続人がその資産を取得するのに要した費用が引き継がれ、贈与者又は被相続人の資産の保有期間に係る増加益も含めて受贈者又は相続人に課税されるということです。

所得税法59条1項 次に掲げる事由により居住者の有する山林・・・・又は譲渡所得の起因となる資産の移転があった場合には、その者の山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算については、その事由が生じた時に、その時における価額に相当する金額により、これらの資産の譲渡があったものとみなす

 1号 贈与(法人に対するものに限る。)又は相続(限定承認に係るものに限る。)若しくは遺贈(法人に対するもの及び個人に対する包括遺贈のうち限定承認に係るものに限る。)
 2号 著しく低い価額の対価として政令で定める額による譲渡(法人に対するものに限る。)

所得税法60条1項 居住者が次に掲げる事由により取得した前条第1項に規定する資産を譲渡した場合における事業所得の金額、山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算については、その者が引き続きこれを所有していたものとみなす

 1号 贈与、相続(限定承認に係るものを除く。)又は遺贈(包括遺贈のうち限定承認に係るものを除く。)(以下、省略)

■取得費

取得費とは、所得税法38条1項において、「その資産の取得に要した金額並びに設備費及び改良費の額の合計額とする。」と定められており、以下の算式で計算されます。

付随費用については明らかにされてはいませんが、過去の判例で、登録免許税、仲介手数料、名義書換料の例示があります。

遺産分割協議の弁護士費用が付随費用として取得費に当たるかどうかは悩ましいですが、平成23年の東京高裁の判決では、付随費用に該当はするものの、遺産分割は取得行為ではなく、もともと相続によって共同相続人が共有という形で取得しており、取得した後の分配行為であるという解釈から譲渡費用としては認められませんでした。

取得費 = 取得価額 + 設備費 + 改良費 + 付随費用

■譲渡費用

譲渡費用は定義規定はありませんが、現実に行われた資産の譲渡を前提として、客観的に見てその譲渡を実現するために必要であったかどうかにより判断されます。

実務では、土地や建物を売るために支払った仲介手数料、印紙税で売主が負担したもの、建物の取壊し費用、借家人の立退料等があります。

建物の取壊し費用や借家人の立退料は、売主・買主のどちらが負担するかは、双方の協議により決めることができますが、買主で負担した場合には、譲渡費用となります。

譲渡所得の申告を相続税の申告後にされる方も多いかと思いますが、相続財産を譲渡した場合の取得費の特例や居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例など特例の適用が複雑であり、また、納税額も大きくなるケースが多いため、申告される前に専門家に相談することをおすすめします。

詳しくは、名古屋総合パートナーズのホームページを御覧ください。


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