高齢者消除と相続 | 名古屋市,岡崎市の相続,遺産分割,遺言に強い弁護士のブログ|愛知県

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高齢者消除と相続

1. はじめに

相続手続きを行う場合は必ず被相続人と相続人の戸籍謄本等を確認します。

 

しかし100歳以上の高齢者で所在不明の方が戸籍に記載されたままになっていることがあります。死亡した可能性は高いのですが、戸籍に記載されたままになっているのは、単純に親族が死亡届を提出しなかったこと、戦災で身元が不明になってしまったこと、海外で死亡してしまったことなどが考えられます。

 

このような場合、戸籍上そのままにしておくことは適切ではないです。そこで、100歳以上の高齢者で所在が不明の者について、その生死及び住所につき資料を得ることができないときは市町村長が法務局長の許可を得て死亡したものとして戸籍からその戸籍から消除する取り扱いがなされています(昭和32.1.31民甲163)。これを「高齢者消除」といいます。

 

 

ちなみに高齢者消除の戸籍への記載は下記のようになります。

高齢者につき死亡と認定令和〇年〇月〇日許可同月〇日除籍

 

※参考に通常の死亡の場合の戸籍への記載は下記のようになります。

令和○年○月○日○時○分東京都港区で死亡同月○日親族甲野太郎届出除籍

 

2. 高齢者消除の取扱

では相続の開始時期は民法882条で相続は死亡によって開始するとありますが、高齢者消除は、死亡と取り扱っていいのでしょうか?

 

答えとしては、高齢者消除は死亡の日時場所を確認したものではなく、戸籍上の整理により戸籍に死亡した旨が記載されるのみでその日時は記載されないので、死亡開始時を認定できないことから、高齢者消除の記載により相続の開始を認定することはできないとされています。

 

 

よって高齢者消除がなされた者の相続手続きを進めるには、 あらためて死亡届を提出して死亡日を戸籍に記載してもらうか、失踪宣告により死亡したとみなされる日が戸籍に記載された後でなければなりません。 (昭和32.12.27民三1384参照)。

 

3. 認定死亡

それ以外で相続手続きを進められるのが、認定死亡です。

 

通常死亡の届出は、病院や自宅で医師が死亡を確認して、親族等の届出義務者が行います。

一方、水難や火災などの事情に巻き込まれ死亡の蓋然性が極めて高いものの死亡確認できない場合があります。このような場合に、取り調べた官公署が死亡を認定し、死亡地の市町村長に報告することができることになっています(戸籍法89条)。

 

この報告を受けた市町村長は、その者の戸籍に死亡の旨を記載します。判例は、認定死亡についても、反証のない限り、戸籍に記載されている死亡の日に死亡したものと認めるべきであるとしています。(最判昭28.4.23)。

 

 

参考に認定死亡の戸籍への記載は下記のようになります。

令和〇年〇月〇日推定午前〇時○分〇〇県〇〇市で死亡同月〇日〇〇警察署長報告同月〇日〇市長から送付除籍

 

 

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