相続税の遺言控除とは? | 名古屋市,岡崎市の相続,遺産分割,遺言に強い弁護士のブログ|愛知県

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現在、政府・与党の方針として、相続税に遺言控除という項目を、平成29年度の税制改正で設けるという話が進んでいるようです。
 この遺言控除の内容ははっきりと定まっていないようですが、現在の概要としては、有効な遺言書による相続が行われた場合に、現状の相続税の基礎控除額に一定額が上乗せされる、ということのようです。

 政府・与党は、この遺言控除により、遺産分割方法の争いをめぐる紛争を防止し、若い世代へのスムーズな財産移転を図ることを目的としているようです。

 これを、遺産分割に関わる紛争の点から見ますと、一定程度の紛争を防止する効力はあると思われます。
 しかしながら、相続税の遺言控除に着目している方々は、もともと遺産分割や相続税の問題を意識している方々だと考えられます。
 そうしますと、そういった方々は、円滑な遺産分割・相続税申告を考えて、相続税の遺言控除がなくても、遺言を作成する場合が多いのではないかと予想されます。

 相続税の基礎控除は、現在、最低3600万円(相続人が1人の場合)ですが、相続人が1人であれば、よほど遺産を寄付したり、相続人以外に遺贈した場合でもなければ、紛争は起こりません。
 相続人が増えますと、その分、紛争になる確率は高まっていきますが、基礎控除も増えていきますので、相続税の問題が発生する可能性は低くなっていきます。

 また、相続税や遺産分割に対して対策をお考えでない方々も一定数いらっしゃいます。これは、自分の死亡した後のことは考えたくないという自然な感情に基づくものだと思われますので、感情面で相続税や遺産分割の対策をしないということは否定しがたいところです。
 こういった場合、遺言控除が新設されても、影響はないということになります。

 遺言控除があるので遺言書を作りましょうと勧めやすくなる場面は出て来ると思われますが、遺言書の内容が遺留分を侵害する場合、次は遺留分の紛争が増えてくるのではないかと予想されます。
 政府・与党の考えるような紛争の防止が図れるか、実際に遺言控除が新設された後、それなりの年月が経たなければ分からないのではないでしょうか。

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