鉄馬写真家 綿屋兼一 オフィシャルブログ

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昨年の秋から一度も更新してなかった鉄馬写真家のブログ

ずーっと休まず走ってはいましたよ♪ハイ

 

ただ、昨年と少し事情が変わってしまいまして。

で、何が変わったかと言いますと、

 

「MOTOツーリング」という旅雑誌で連載記事を書いていたんですね。

 

 

「九州旅情紀行」というコーナーを頂きまして、鉄馬写真家がおススメする九州各地のツーリングコースを紹介するという企画なんです。

それでブログをさぼっていたという言い訳がましいことは決して言いませんが(笑)

 

宣伝はこのくらいにしておき、今回、約10か月ぶりのプライベートキャンプツーリング!?

キャンプツーリング?!

そう!

 

 

いつの間にかキャンパーデビューしたうえに、すでに四国やらをKLXで駆け回っていたんです。

 

 

 

 

そしてそのソロキャンプツーリングin椎葉を8月の23・24の2日間で行って来たんですが、結局下見ツーリングとかになってしまいそうで、なんだかんだ言って・・・

 

超楽しかったです(笑)

 

8月23日(木)

早朝5時、昨晩セットしておいた目覚ましが、シーンと静まり返った部屋の中で突然鳴り響く。

5分おきになる様セットしたのがいけなかったのは重々承知だが、完全に目覚めたのは2時間後の7時。

 

すでに朝の大観峰を眺めながら缶コーヒーでも飲んでる時間。

 

結局準備が終わって家を出たのは9時をまわっており、直射日光を浴びた日にゃ出かける気力も半減してしまう程の暑さの中での出発だった。

 

そろそろ朝の渋滞も終わってるはず。

 

灼熱地獄の国道を豪雨で被害のあった朝倉市内へと向かった。

そしていつものコンビニでクールダウンし鋭気を養う。

南小国町を過ぎた辺りから左右に広がる深緑の草原を見ると、「阿蘇に来たんだ」といつもながら実感する。

 

とりあえず大観峰は行っとくか

 

 

平日だというのに結構な観光客とバイクが目に入ったが、今日は椎葉村まで行かなくてはいけないという大仕事が待っているので水分補給だけをすませその場を跡にした。

 

ミルクロード・やまなみハイウェイ・阿蘇神社・国道265を通り抜け高森方面へと向かった。

途中月廻り温泉という大草原が広がる温泉地で特に風呂に入るわけでもなく熱中症だけはなりたくないと休憩だけはきっちりした。

 

 

1年前は、全国から応援で来て頂いた電力会社のクルマなどで駐車場がいっぱいだったことを思い出す。

 

高森町から山都町へ入ると、道の駅そよ風パークの看板が目に入り立ち寄ってみた。

地元野菜などが売られていて、名前はわからないがそれを多くの買い物客が買いに来ており、涼む目的の自分は中をうろうろするだけで、特に何も買わないで外に出た。

 

「暑っ!」

 

外気温との差を肌で・・・というか、ありえない程の気温差にすこしでも走っていたいと正直その時思った。そんな中、大分から来たというライダー数名が木陰で休憩をしており、その中の一人の方と会話を交わした。

 

「会社の仲間と椎葉まで・・」

「自分も椎葉まで・・・キャンプですけど」

 

気の合う仲間と走るのも悪くない。

きっとこの日は夜遅くまで飲んでたんだろうなと、すこしだけうらやましくも思えた。

 

道の駅を先に出発し、県境を超えしばらく走っていると、先ほどのバイクがミラーに映るまで近づいてきた。途中までは一緒に走ったが、気が付いたらもうどこかで曲がったのかミラーには映らなくなっていた。

 

椎葉村に入り、村内に2軒あるうちの1軒で給油を済ませ、今夜宿泊する予定のキャンプ場へと向かうため、椎葉ダムの脇の狭い国道を走る抜けた。

キャンプ場に付きまずは管理棟で手続きを・・

そう思い建物の前まで来たが、管理棟のカーテンも閉まっており誰もいないうえ一枚のはり紙に連絡先だけが書いてあった。

 

「宿泊される方は・・・・までご連絡ください」

 

行く前に確認すればよかったと一応後悔はしたけど、今回は思いつきの旅だったんで、今日泊まりますっていう内容の電話だけ管理している村役場にしておいた。

 

テントをこなれた手つきで設営し、先ほど走ったばかりのダム湖のほとりを椎葉村の中心部にある酒屋さんまでひとまず向かった。

特に観光するわけでなく、水とビールを大量に買い、また16キロ離れた誰もいないキャンプ場へと戻った。

 

 

とにかく静かだった。

先日大分の山奥でキャンプした時は、夜遅くまで青年たちがギャーギャー叫んでいたが、今夜は虫の声と鳥の声、そして時々通り過ぎていくクルマの音だけが周囲に響いていた。

 

電波はかなりの入り具合で携帯でラジオを聴いてはみたものの電池の消耗が激しく途中でやめてしまった。

 

風呂もないし何しよう。

 

空がオレンジ色に染まる頃にはビールの空き缶が1本2本と増えていき、何もしない無力化した時間だけが過ぎ去っていった。

 

次回は本と充電池は忘れずにもって来ようと強く誓った。

 

日も落ちたころ、街灯も何もない漆黒の闇に包まれるキャンプ場は大量の虫が小さなランタンの光目掛けて集まってくるのだが、それは想像以上だった。

何はともあれ、いそいでテントの中に避難し嫁さんとメールを交わしながら寝床に付いた。

あさ起きてからまだ13時間しか経っていなかった・・・

 

疲れ切っていたのか酔っぱらってしまっていたのかはわからないが、気が付いたら眠ってしまっていて、嫁さんからのメールにもこたえられずにいた。

夜中に寒さで一度目が覚めたが、嫁さんはそろそろ寝るかもっていう時間だったようで、すぐに返事が帰ってきた。

 

「ウーーーーーン」

 

村内に鳴り響く6:00のサイレンで目が覚めた。

7時には出発したいという目標の中「モーニングコーヒー」だけはしっかりと頂木、撤収の準備を始めた。

しかし、マットを変えるだけでこれだけ深く寝むることができるなんて・・・銀マットじゃなかなかここまで爆睡できないと強く感じた。

 

テントを撤収し、この日に向かう予定の高千穂まで、かなり遠回りのツーリングコースのスタートを切った。国道265号から国道327号を走り、日向市内へ向けて流れる耳川を下りながらはしっていると

 

「時間通行止め区間」

 

真っ黒に日焼けした警備員がこれ以上は進めないとジェスチャーで教えてくれた。

(てか、9時から通行止めなのに5分すぎただけやん・・)

 

めっちゃ惜しかった(笑)

Uターンして迂回路と教えてくれたとても狭い県道を走った。

 

 

まさに秘境の地である。

しかし、民家もそこそこあり電波もバリバリ繋がっていたが。

 

 

ただただ景色に感動しながら、狭い県道をひたすら走った。

 

 

もうここから撮影が止まらず(笑)

で、やっと元の国道327号へ戻り日之影方面へ走り始めたが、腹が減ってきたので北郷町のコンビニみたいなスーパーでサンドイッチとコーヒーを朝飯代わりに頂いた。

 

 

しばらく走ると五ヶ瀬川へとたどり着いた。

高千穂まであと僅か

 

というか、今回のメインイベントがやっと始まるのだ。

 

 

県道237号線で高千穂まで走る

 

これが今回の旅の目的でもあり、次回のモトツー記事のネタにもなるのだ。

これからは写真で紹介!

 

 

最後は阿蘇の風景で終了!

 

 

協力 ラフ&ロード

 

ウェア― RR7244 ガンメタ×オレンジ

パンツ RR7467LF

グローブ RR8359 プロテクションハーフフィンガーグローブ

 

次回お楽しみに!

秋といえば紅葉。

そして「福岡 紅葉」で検索すると、常に上位に食い込んでくるのが秋月(あきづき)だ。

そして春は「桜」と年がら年中忙しいのが特徴。

また、福岡の小京都と世間では謳われてはいるが、今は特に興味もないので正直今ひとつピンとこないでいる。

じゃ、何で行くのん?

大好きな木造校舎の秋月中があるからだ(笑)

 

 

平成生まれだっけか。

それでも木造校舎(風)だからいいのである!

もしも、この校舎がなかったらしょっちゅうは行かないでしょう(笑)

 

 

さすが秋月、多くの観光客の団体がひしめき合っていた。

人の波が去るのをじっと待ちながらの撮影はたいへんである(笑)

 

 

2016年の旅はまだ終わらない。

 

 

「さぶっ」

楽しいツーリングといえども、布団から出るのがホント億劫になってきた。

前の晩は十分すぎるほど気合が入っているが、朝になると起きれないのだ。

歳のせいかはたまた・・・

11月もいよいよ後半に差し掛かり、まもなくやって来るクリスマスや年末商戦に向けて・・・

ではなく、バイク乗りには非常に非常ーに厳しい季節の到来である。

だからと言って冬にバイクに乗らないのは本当のバイク乗りではない!

と豪語しても寒いものは寒く、正直バイクに乗る機会が少なくなっているのが現状だ。

ストレスはそんなにないが、何故か真冬でもバイクで走りたくなるものなのです。

 

 先日たまたま大分県中津市で撮影の仕事があり、道中、紅葉具合をチェックしながらクルマで現場まで走ったことがあった。ネットなどで前もって調べてはいたが、中津市耶馬渓周辺は秋真っ盛だ。

勿論だが、ツーリングコースを考慮しながら帰路へと着いたのは言うまでもないが。

翌日未明、自宅の窓から外を眺めると雲一つない夜空が明かりと共に広がっていた。

「予定もないし行くか・・」

ごそごそと準備をはじめバイクのカバーを剥いだ。

すぐに曇るスクリーン、暗闇に映るデジタルメーターのバックライト。

張り裂けるような冷たい空気の中、スーパームーンを見つつ昨日行ったばかりの中津市へ愛車KLXで再び向かった。

 

 まだ極寒とは言えないなか、カラダはカイロなどで十分暖かくする事が出来るが、顔はどうやっても寒かった。ネックウォーマーをしていてもクルマでは感じる事ができない刺すような痛みが顔面を強襲する。

東の空がようやく薄明るくなってきた。

果てしなく広がる田園地帯の先に、霧なのかもやなのかわからないが、幻想ムード満点の世界が広がっている。

「撮りたい・・・」

 

あれだけクルマの多い国道も、早朝となるとかなり思いっきり走る事が出来るものである。

昼間なら30分かかる道もたった10分で通過だ。

そういえば道中、ハイビームにしていないにもかかわらず対向車に何度かパッシングをされてしまった。なんでだろうと思いながらも、先へと進んだが、明るくなるにつれてパッシングも無くなり、光軸調整の必要性を感じた。

 

家を出て50㎞ばかり走った時だった。

福岡・大分を流れる筑後川の堤防付近での出来事だ。

ギャンギャン前を行くクルマを追い越しながら先を急いでいると、突然燃料ランプが煌々と光りはじめたのだ。

「うっそ~まじか?昨日満タンにしたぜ?」

最近忙しかったせいで疲れ過ぎて勘違いしたのか、タンクのゲージが壊れたか。

もしくはぼけてきたのか・・

答えから言うと、実は昨日満タンにしたのはクルマだったのだ(汗)

 

途中にあった道の駅でコーヒーを飲み、案山子を見ながらさらに東へと向かった。

とにもかくにも寒かった。

休憩では、エンジンにかざした手の平から全身へと温もりが伝わっていく。

今まで乗ってきたバイクには贅沢にもグリップヒーターが付いており、しかも風が直接当たらなくて暴風効果の高いカウルの付いたバイクだった。

とにかく、雨だろうが寒かろうがあまり気にすることはないバイクだったのだが、KLXはというと直接風が体全身に当たるため、体温を奪われまくって非常に寒い思いをしなければならなかった。

防寒対策に力を注がなければいけないのは周知の事実だったが、冬のジャケットを買う勇気がその時は残念ながらなかったのだ。

なぜなら。

超貧乏性だからだw

 

7時を回るとさすがにクルマも増え、日の光も手伝ってか温度が急上昇していくのがはっきりとわかった。あわただしく行き交うクルマを横目に見ながら、昨日メボシを付けていたポイントに到着し、そして、すぐ近くのローソンで肉まんを購入し撮影の為の戦闘態勢にはいった。

川を挟んで青の洞門が見える場所にある鳥居まで来たが、いったいどこに本殿があるんだろうと悩んだが、どうも写真とは真逆の北側の山にあるらしい。

 

 

この季節、太陽光はまことにありがたい。

動きまくったせいか、あっという間に革ジャンの中には汗がジワリと滲んできた。

「風邪ひくばい・・」

稜線から光のシャワーが降り注ぎ、地面から湯気が昇り出す幻想的な風景が現れる。

一通り撮影した後、中津市内で有名な青の洞門の入り口に立った。

ここには大きな銀杏の木があり、バイクで行った際はいつかは写真に納めたいと思っていた場所だった。

 

 

クルマなら止めるところがなく、ついつい素通りしてしまうのだが今回はバイクだ。

寒い思いをしてきた甲斐があったってもんである。

早速入り口付近にバイクを停め撮影開始である。

紅葉のタイミングは申し分なかったが、有名な観光地の為か、写真を撮り終えるころになると多くの観光客がワラワラと集まりはじめ、記念撮影をおっ始めたのだ。

諦めも肝心とばかりにその場を譲った。

 

 

銀杏の葉の絨毯とはとても言い難いが、とてもちいさな秋を満喫し、それから耶馬渓橋などを周り、次なる目的地目掛けバイクを走らせた。

 

 

気温もぐんぐんと上昇し、春のうららかな陽気が・・・とはとても言い難かったが、「顔」以外は本当に春を感じた。

もと来た道を戻り、今度は西方向へと舵をきった。

どこだったか、道沿いにたくさんの人影(案山子)を発見したのだが

「ふーん、すげ」

と、感心だけしてその場を通り過ぎようとしていた。

しかし次の瞬間、出発前に案山子と一緒に撮影しようと決めていたのを思い出し、急遽Uターン。バイクは何処に置こうか・・

などと色々場所を変え角度を変え「定位置」を探していると、遠くより一台の小さなマイクロバスが迫ってきた。

「やばい・・・」

接近戦で撮りたかったが、ワラワラとバスから降りてくるご老人方たちには抵抗が出来ず、泣く泣くその場を諦めるしかなかった。

さて、次の目的地出発だ。

 

 

日田市内から小石原方面へ進路を変え、紅葉が綺麗な穴場スポットへと向かった。

時期的には少々難あり?かもしれないが、昨年同様きれいな紅葉を写真に納める事が出来た。

 

 

 

2016 小さな秋

もうちょい続く・・・

 

天草の崎津天主堂とSR400

 

蔵之元港からフェリーに乗船しほんの一瞬だったが、今回の旅では桜島に次ぐ2度目の船旅気分を味わう事が出来た。

しかし、すでに対岸には牛深大橋が。

桜島と同じくらい近いかもしれない・・

 

外に設置してあった長椅子に座り、目の前を流れる景色に見とれていたその時、近くにいたおっちゃんが、急にく〇でかい声で電話の相手と揉め始めた。

「福岡ぁ?!もう(国道)3号線ば通りたくなかぞ」

ついつい細かい話まで聞き入ってしまう(強引に入って来る)程の超ビッグボイス。

どうやらこのおっちゃん、水産系トラックの運転手らしく、佐賀の唐津に行くはずが急遽福岡市内に行くことになったらしい。

高速で行けばいいやん?って思ったが、会社から高速代をケチられているのか、した道で行かなくてはいけない様子で、労いの言葉でも・・

と思っていたら、逆にねぎらいの言葉を掛けられてしまった(笑)

牛深ハイヤ大橋のアーチに太陽の光が反射して輝いていた。

 

【牛深ハイヤ大橋】

関西国際空港を手掛けた、イタリアの建築家レンゾ・ピアノ氏の設計によって平成9年8月に完成。全長883mと県内最長を誇り、車道と両側歩道を合わせた幅員16mという巨大さをまったく感じさせない繊細さとしとやかさは、自然景観と調和した世界に類をみない美しい橋。(WIKIより転載)

 

牛深大橋とは、夜景写真などでよーく見るあの不思議な橋だ。

過去に何度も夜景撮影に挑戦をしてみよう!と思ってはいたが、距離がけっこうあるということで、情けないが未だに実行に移しきれていなかった。

 

 

蔵之元港では一番最初に乗船したが、牛深港では一番最後に船を降りた。

先ほどのおっちゃんの乗る大型トラックが、船を大きく揺らしながら牛深の街に消えて行った。

 

橋を早く渡りたいという衝動に駆られながらも、港に併設の「道の駅うしぶか」の敷地内にあった、カウンター席だけの小さな喫茶店でカレーを食べた。

かなり腹が減っていたのか、めちゃくちゃ美味かった。

いや、減ってなくても美味である!

 

食事を終わらせ、いよいよ牛深ハイヤ大橋を渡るその瞬間がやってきた。

ドキドキしながら橋をのぼると、そのまま空へと上がっていくようだ。

頂上まで来ると、橋の途中に交差点を発見?!しかも信号機も?!

 

 

ほんのりと冷たい海風を感じながら渡る牛深ハイヤ大橋に、気持ちはかなりホットである。

ホントに来てよかった。。

今度こそ夜景だな・・

 

しかし、どうしてもここから福岡までの距離が気になってしまうのは性格の問題なのか。

いや、お尻がもう限界なのだ(笑)

 

給油を済ませた後、国道266号線を30分ほど走ると、漁村にたたずむ不思議な空間にたどり着く。

ポスターなどでよく見るあの教会だ。

実際に見てみるとセットのような、ほんと不思議な空間だった。

 

 

教会の近くまで行こうと思ったが、時間が時間なので次回にとっておくことにした。

その後、しばらく国道389号線を走り、途中から県道24号線で天草市内へと向かった。

国道324号線の「たこ街道」をひたすら東方面へ走ると、松島有明道路の出口付近に出るが、近くの電光掲示板に渋滞の文字がでかでかと掲示されていた。

携帯のナビをみても、かなり先まで真っ赤っかだ。

まずい・・日の入りに間に合わん

その時は、いったいどこまで渋滞しているのか見当もつかなかった。

 

しかし、ここでバイクの底力発揮だ。

渋滞で動かないクルマを横目に「すり抜け」開始である!

しかし、橋の上は少し車線が狭く、無理は禁物ということでクルマの後ろをたんたんと走る。

約10kmはすり抜けしただろうか。

周囲は既にうす暗くなりかけてはいたが、何とか日の入り時間ギリギリに「三角西港」へたどり着いた。

洋館や古い木造の建物があるこの界隈は、特に入場料なども必要なく、敷地内を普通にクルマで通行可能ということもあって、撮影にはもってこいである。

 

後で聞いた話だが、この天草の道は天気の良い土日は渋滞するので、できるなら走りたくないと取引先の人から聞いたが、そういうことだったのかと改めて知った。

行くなら別ルートがよいそうだ。

おクルマで移動の方々、ご愁傷様です(汗)

 

バイク最高!

 

 

国道57号線に入ると、おこしき海岸や長部田海床路など海岸線沿いには見どころがいっぱいだ。

バイクでのんびり走るには最高の道路である。

が、まさかこの先の高速渋滞が待ち受けているとは、思いもせなんだ。

 

iPhone画像です

 

もうおなか一杯(汗)

さて次は何処に行こう・・・

 

 

 

 

 

 

 

暗闇の中を淡々と走ってようやくたどり着いた指宿市内。

道路わきなどから所々湯気が出ていて、温泉街に来たなぁという実感が湧き出る。

ゆっくり足を延ばして風呂入って刺身食ってビール飲んで・・・

想像するだけでも興奮?するが、あと僅かというところまで来ると、気ばかり焦って思うように先に進まないものである。

薄明るい街灯がともる温泉街の「メインストリート」を走ると、何となくついたという気分になるが、呑気に温泉街の雰囲気にのまれてる場合じゃない。

忘れてはいけないのが、とにかく今は宿泊する民宿を探さないといけないのだ。

 

「あった~」

 

見つけるのにさほど時間は掛からなかった。

なぜならナビにあらかじめ場所を設定してあったからだ。

便利便利・・・

歩道に立った、鉄柱の先にぶら下がった民宿の看板は、他の同じ看板よりも何故か大きく見えた。

 

しかし、これで気を抜いてしまうとやってしまうのが「立ゴケ」だ。

それだけは十分に気を付け、両足を地面に100%設置した後、慎重~にバイクから降りチェックイン。

玄関の扉を開けると、まるで自宅(そんなにでかくはないが)にでも帰ってきたような、

「ただいまぁ~今夜のめしはなにー?」

なんてつい言ってしまいそうなアットホームな宿だった。

 

到着早々温泉に入らせていただき、汗やほこりを洗い流し郷土料理に舌鼓を打った。

「かんぱーい」

モクモクと魚をほぐしながら食べていると、隣で食事をしていたライダーの話がどうしても耳に入ってくる。

スクーターの話やあんな話・・

仲間に入れてほしかったが、飲んだくれて二日酔いになるのが目に見えているので、食事だけを終えると散歩がてら近くのコンビニにビールを買いに出かけた。

350mlのスーパードライを2本だけ買い、テレビ見ながら部屋で飲んで・・・

 

爆睡・・

 

寝付きは最高に良かった(笑)

 

*****************************************

 

2日目の朝がやってきた。

ツーリング先ではいつも散歩を欠かさない2人だが、今回はさすがに疲れたのか、どっちかが起きるまでお互いが布団から出ない状況が続いた。

6時を過ぎた辺りでようやくもぞもぞと起き出し、昨日コンビニで買った朝飯を食べて出発準備を急いだ。

 

まだ夜も明けきらない指宿の海。

指宿の思い出?

塩っ辛い温泉に浸かった事かな。

次来るときはのんびりと砂風呂・・だ。

 

 

県道226号線を西へ走っていると、遂に薩摩富士の雄姿が姿を現した。

運よく雲一つない晴天で、開聞岳のてっぺんの雲だけが気にはなったが、朝日が山肌を赤く染めていた。

「会いたかったぜ・・」なんてかっこつけたいとこだが、ここは敢えてやめておこう(笑)

しかし、こんな素晴らしく美しい開聞岳には初めて出会った。

 

 

さて、2日目の最初に伺うのは、南九州に来たら必ずと言って良いほど立ち寄る、ド定番の「西大山駅」である。撮影するカットは毎回同じだが、この日は「朝焼け」という強い見方がついている。きっといつもと違う風景を切り取れるはずだ。

しばらく撮影しその場を後にした。

 

 

次は、「かつお」の水揚げで有名な枕崎市へと向かうが、その前に開聞岳を一周してみよう!ということで麓まで走った。

しかし、運悪くおなかの調子を悪くしてしまい、途中でトイレを探すことになってしまった。

からだも緊張しているのだろうか・・・

たまたま見えた「開聞山麓自然公園」の看板に吸い込まれるように、入門ゲートをくぐった。

そしてその奥にあるはずのトイレ目がけて「静かにゆっくり」と走った。

野生馬?

あぁ~おったかも・・

切羽詰まっていたからどうでもよかった(汗)

事は済んだ。

 

公園の出口ゲート付近で嫁さんが馬を撮ってると、何やら軽自動車が嫁さんの所で止まり何かを話し始めている様子だった。

インカムで話を聞いてると、開園前10分前だというのに、どうも入場料をとろうとしているようだ。

「トイレまでいきました~」

という嫁さんの正直な答えにも微動だにせず、入場料を払えと引かないスタッフ。

人のよい嫁さんは素直に支払い、都市高速が乗れる金額を払ってしまった。

 

 

まぁにどとk

事は無事に済んだんだし、まーえーか(笑)

 

国道266号線をひたすら西へと進むと枕崎市内へと入った。

所々に鰹節の工場が点在していた。

きっとどこかに鰹のモニュメントがあるだろうと、一か八か枕崎駅に行ってはみたが、何かのイベントがあるのか駅近辺は通行止めとなっていた。

鰹のモニュメントもないことだし、そのまま国道270号線で南さつま市方面へと走った。

 

南さつま市を抜け日置市に入り、高速道路の無料区間を薩摩川内市まで超非力な2台でアクセル全開にしてぶっ飛ばした。(ところで120km/hしか出ないが)

終点まで行くと、しばらく国道3号線を走ることになるが、とにかく何もない。

ただ走ることに専念するだけだ。

 

長島町に入ると、天草に渡るフェリーターミナルがある蔵之元港の看板が目立ち始める。

いよいよ熊本というところで、港の直前にある道の駅で、鹿児島最後の休憩をした。

さぁ、海を渡れば熊本だ。

 

 

旅は続く・・

 

 

 

 

 

 八代市から国道219号線、国道221号線、県道30号線、県道1号線と絶景ロードを走破してきたが、その県道1号といえば、えびの高原や霧島を代表とする、九州ツーリングしたことのあるライダーならご存知の方も多い、素敵なワインディングロードである。

えびの高原を起点として、えびの市側は比較的コーナーが連続する山岳区間で、霧島温泉側は比較的なだらかな走りやすいロードがお出迎えする。

しかし、新湯温泉を過ぎた辺りからヘアピンコーナーなどが姿を現し、クルマの速度がぐっと落ちてしまう程、急なコーナーが連続するようになるので、注意が必要だ。

 

 

国道223号線に合流する辺りまで降りてくると、霧島温泉街ということで多くのクルマや観光客がごった返していたが、はたしてこの中に海外の観光客もいるんだろうか?

深い意味はないが、ふと疑問に思った。

一旦県道50号線に入り「大隅横川駅」へと向かう。

 

過去に大畑駅、矢岳駅、真幸駅、嘉例川駅と嫁さんと共に木造駅舎を見て廻ってきたが、前回来た時には存在自体を知らずにスルーした「大隅横川駅」に立ち寄る。

今まで見たものとは明らかにスケールの違う、威風堂々とした木造駅舎に言葉を失ったことを思い出した。

 

 

地元のおばぁちゃんに声を掛けられ、どこから来たのかと聞かれたので「福岡」と答えると、「ふくおかねぇ~?」と滅茶苦茶ひったまげていた。

どこまで行くのか聞かれたので「指宿」と答えると「いぶすきねぇ~?!」と、さらにひったまげてしまったばぁちゃんにとてもかわいらしさを覚えた。

後で知ったが、同じ質問を嫁さんとも交わしたそうだ(笑)

 

あのばぁちゃんにとって、福岡も指宿も地球の裏側にでも行くようなものなのかもしれない。

金がなくても今のうちに色々な物をこの目で見よう、と決断した瞬間だった。

ばぁちゃんの見てる前で、駅から「かっこよく」脱出したかったが、またもや道に迷ってしまい、引き返したときに先ほどのばぁちゃんと出くわしてしまい軽く会釈。

後味が悪い(笑)

 

これから先は霧島市(元国分市内)街を走るわけだが、以外にも時間が掛かってしまい、絶景ロードなんて言ってられない状況になってしまった。

しかし、大隅半島の付け根でもある県道220号線まで行くと、先ほどまでの渋滞や信号待ちや取り締まりはほとんどなく、スムーズに桜島の入り口まで20分ほどでたどり着く事が出来た。しかし、あれだけノンストップで走ったのに、予定よりかなり遅れていることに正直驚きをかくせなかった。

時間は読めないものである。

 

道の駅「たるみず」で足湯につかりながら休憩できればと思い近くまで来たが、霞が掛かった桜島だったのを言い訳に、スルーしてしまった自分に「喝!」。

そしてついに桜島上陸である。

国道224号線に入り、島の北岸ではなく南岸をひたすら桜島港へ向かって走り抜ける。

日も傾き、まもなく太陽も陸地へ吸い込まれると思うと、ついついアクセルに力が・・・

結局、撮影場所を求めて、展望台まで登ってしまった(笑)

 

過去には何度も桜島へは渡ったものの、バイクで展望台まで行ったのは生まれて初めてだった。というのも、バイクだと急な噴火や火山灰などから逃げるのが困難という先入観が今まであったのだ。灰が目に入ったときのあの痛みは、痛烈で開ける事すらままならないのである。

 

しかし、この日の桜島は、噴煙も出ていないごく普通の山だった。

山肌は夕日に照らされ、印影がはっきりと出てきていたが、それはまるで、今にも目を開けて動き出しそうな巨大怪獣みたいな強烈な印象を受けた。

「今噴火すんな!!」という念を常に桜島へ送りながら下山(笑)

「大丈夫だよ♪」

という安易な言葉をかける嫁さんは、きっと「灰(へ)」の恐ろしさを知らないのだろう。

目が痛い、コケやすい、前が見えない、息もしたくない、こんな体験を中学時代にしてしまった以上、トラウマになるのは必然だと思う・・・

 

 

山を下りて港に着くころになると、既に太陽は鹿児島の街へと沈む直前だった。

乗船料金を払い、僅か15分だが旅気分を増大させてくれる「船旅」で鹿児島市内へ出発だ。

一瞬だったが、2年ぶりの桜島を堪能できた。

 

 

フェリーを降り鹿児島市内へと入ると、鬼のような渋滞が待っており、もう風景なんてどうでもよくなってしまった(笑)

国道3号線から産業道路へ。

そして片道1車線のほんとなら鹿児島湾を眺めながら進むであろう国道226号線をひたすら南下。喜入基地の灯りだけが遠くに見えた。

次回リベンジすることを心に誓う。

 

最後のコンビニ休憩。

既にお尻も限界だ(笑)

郷土料理にビール、あ~チェックイン・・・

そして極めつけは温泉だぁー。

色々なことを考えながら宿に向かった。

 

 

旅は続く・・

 「今週末は秋晴れが期待できるでしょう!!」

ある日の朝、いつものようにいつものテレビを見ていると、タイミングよく週間天気予報が放送されていた。

「週末秋晴れ!?」

その一言で、いったいどれだけのツーリングライダーの魂に火が灯ることだろうか、考えただけでもおそろしかった(笑)

そう言う自分も点火するのにさほど時間は掛からなかったが。

 

数分後には前々から行きたかった「かごしま」の4文字が過り、ルートの詮索も頭の中では既に始まっていた。

鹿児島へ行くのは約2年ぶりである。

嫁さんが仕事に出かけた後、バタバタと自分の仕事を終え、週末のツーリングコースを練りはじめた。

 

どこまで行こうか、

どこに泊まろうか、

どこを通ろうか・・

 

そして、どうせ泊まるなら、前回大失態を冒してしているので、今回こそは失敗がないようにと予算を少し高めの設定で検索開始だ。

天草から行こうか、それとも人吉経由で行こうか。

いやいや、コースはどっちからでもいい。

宿の多い鹿児島市周辺を目的地にすれば、当日でもコースを変更できるではないか。

と、迷いに迷った挙句、欲も出て来て開聞岳を拝むついでにと、独断と偏見で宿泊地は温泉で有名な「指宿」に決定した。

 

さっそく仕事中の嫁さんにメールで報告し、泊まる宿をさっそく予約した。

残念ながら豪華絢爛風光明媚な高級温泉宿ではなかったものの、今回はアットホームな郷土料理が美味いであろうこじんまりとした民宿を確保。

さて、肝心なのはここへ至るまでのコース設定である。

以前より温めていたコースを再度練り直し、考えに考え抜いた2パターンを準備。

どっちにしても片道400㎞弱、過去にこれだけ走ったことは日帰りツーリングしかない。

2日で800㎞か・・・行く前から腰が重い(笑)

 

仕事帰りで夕飯準備中に忙しそうな嫁さんにコースの選択を迫った。

「Aコースor Bコース?!」

「じゃ、大隅横川駅が見たい」と嫁さん。

Bコースで鹿児島入りすることにその場で決定した。

 

木曜日の出来事だった。

 

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 立冬を目前にして、すでに布団から出る事すら苦痛に感じてしまうほどに寒い朝を迎えた2016年11月5日土曜日。前夜になかなか寝付けず、結果かなりの寝不足で翌朝を迎えてしまった。何度も目覚ましを切ってはなってを繰り返し、やっとの思いで起床した。

カメラの詰まった重い荷物をバイクに積み込み、なんとか目標の5時・・いや、5時半出発に間に合うよう準備を進める。

東の空がうっすらと明るくなっていく中、KLX250とSR400のライト光が周辺を照らしていた。

 

福岡の自宅を出るときは少し寒いかなと思う程度だったが、久留米・八女と南下すればするほど、大げさではあるが、まるで氷点下の中を走っているような寒さだった。

高速?いや、「した道」の話である(笑)

お陰で、コンビニ休憩のたびにコーヒーやおやつを買い、休憩が一つの楽しみとなってしまったのは言うまでもない(笑)

 

しかし、11月とは言ってもまだまだ太陽の力は偉大で、時間の経過とともにぐんぐんと気温が上がっていくのが身に染みてわかった。

夏の太陽は嫌いだが、冬の太陽は大好きだ。

さ、もう少し走ったら今回メインのツーリングBコース入口の八代市だ。

 

国道501号線から国道3号線へ入りそのまま南下、八代市内で国道219号線の萩原町交差点を左折し人吉方面へ向かうと、約20分ほどで「道の駅坂本」に到着だ。

敷地内には桜の木が多く植えられており、春がめちゃくちゃ楽しみである。

休憩もそこそこに、広がっては狭くなり、そして時には荒々しく流れる球磨川を眺めながら、次の目的地へと駒を進めた。

 

この日は秋晴れのしかも土曜日ということで、一勝地駅ではSLを見に来る観光客に備え、駐車場の準備を粛々と進めていた。SL人吉号は乗る方も撮る方も大盛況になるだろうと簡単に想像できたが、今日は残念ながらSLは見れないのだ。

なぜなら、今回のツーリングは超多忙なのだ(笑)

 

 

ここ道の駅坂本には「ダムカレー」なるものがあるらしいが、上流にあった荒瀬ダムは、日本で初めて解体されることとなった。

 

 

信号の少ない国道をひたすら東へと進む。とにかくどのクルマも走る速度が早い(笑)

 

 

 

人吉市内から国道221号線の分岐を右折し、小林方面へと向かった。

最近はあまり「した道」で南九州へ行くことが少なくなり、寂しいことだが、人吉市とえびの市を結ぶループ橋を通過する機会も極端に減ってしまった。

しかし、久し振りに見たえびの市内の絶景は感動だった。

加久藤トンネルを出るといよいよ宮崎県側に突入だ。

 

 

えびの市内から県道30号線に入り「えびの高原」方面を目指す。

標高が上がると共に気温は下がり続け、先日買ったばかりの冬用のグローブからカメラマン手袋に変えていたせいか、指先から凍る様に冷たくなっていくのが分かった。

沿道にはススキの穂が垂れこめており秋らしさを感じたが、メインの秋の紅葉にはちょっと早かったのか、余り紅葉してなかったのが少しだけ心残りだった。

しかし、コーナーはやはりどこに行っても楽しい。

 

 

次々と迫り来るコーナーを一つ一つクリアしながら高原を目指すと、赤い屋根の「足湯の駅えびの高原」に到着だ。そこには多くの人やクルマ・バイクがひしめき合っており、風評被害などは一切感じられなかった。

観光客用に足湯も準備されてはあったが、誘惑こそあれど、このあと桜島も行かなくてはいけないということで、泣く泣く諦めた。

とにかく忙しいのだ(涙)

 

えびの高原の交差点よりから右折し、あの県道1号線を霧島温泉へと下りていく。

途中には有名どころのホテルが軒を連ね、所どころで湯気?噴煙が噴出しており硫黄の匂いがそこら中に漂っていた。

 

 

旅は続く。

 

 

「阿蘇中岳が爆発的噴火!」

 

でかでかと新聞の一面トップに写真付きで掲載された阿蘇山噴火のニュース。

真っ赤なマグマが周囲に飛び散る、阿蘇中岳噴火の写真、そして火山灰被害の記事が立て続けに新聞に掲載された。

せっかく阿蘇東登山道(坊中線)が9月16日に開通、阿蘇草千里や中岳山上の施設が再開しようやく観光客が戻って来たっていうのに…

 

 

県道12号線沿いにあるオートポリス付近まで来ると、毎度おなじみの「霧」がよく発生するが、この日も案の定「霧」が発生し、誰が悪いとまでは言わないが、大事な視界を妨げらてしまった。

そのせいか気温も一気に急降下し、Gパンを履いただけの太ももが突然震えだしてしまった。

(オーバーパンツはまだ早いしな・・・)

 

 

「霧!?まさか!?」

寒さでガタガタ震えているにもかかわらず、思考能力までは衰えてなかったようだ。

子供の様にはやる気持ちを抑えつつ、県道12号の先で合流するミルクロードへと急いだが、結果から言うと、全く雲海は発生していなかったのだ。

 

「なんだよ…」

 

一瞬だけ気合が抜けたが、うすい霧に覆われたミルクロードをただひたすらに走り続けた。

しばらくすると、カーテンを開ける様に「サー」と霧が晴れはじめ、ススキの穂の垂れた「秋のミルクロード」へと一変した。

つい一ヶ月前に走ったときは青々としていただけに、忙しかったのを少しだけ恨んでしまった。その後、国道212号線を走り、阿蘇東登山道(坊中線)方面へと向かった。

 

山肌が露わとなった坊中線沿いの小山              

 

つい先月中旬まで閉鎖していた阿蘇東登山道だが、今現在は通行止めも解除になり、ゲートは路肩に寄せられていた。しかし、大雨や噴火の時は再びゲートを閉じられる様にはなっていたが。

杉林を抜け「いつもの」草原が見えるころになると、絶景の中、赤牛が草をほおばるほのぼのとした光景が眼下に広がった。

その「いつもの」光景に時間をたっぷりと掛け、じっくりと噛みしめるように草千里方面へとのぼっていったのは言うまでもない。

 

 

そういえば地震発生の約一週間前、偶然にも阿蘇東登山道で草千里へ行ったことがあるが、まさかこんな事になろうとは。

 

2016.04.08 撮影

 

当たり前だった“いつもの”ことが突然目の前から消え去るとはこういうものか。

 

 

途中、お椀をひっくり返したような小山がある。

「米塚」だ。

阿蘇を表現するのに必ずと言っていいほど、ポスターや旅雑誌に登場する「米塚」だが、これほどまでに「見たい」と思ったのは、ひょっとして中学の修学旅行以来かもしれない。

いつでも当たり前のように見ることのできた風景だけに、いつしか興味すらなくなり、そのままチラ見するだけで通過する事が過去にあったのかもしれない。

 

 

そんな自分がちょっと恥ずかしいような気さえした。

 

北登山道(赤水線)は未だ開通の見込みはないうえ、現在も通行止め

 

以前、地震直後にグーグルマップの衛星写真を見た事がある。

草千里周辺の路肩は場所によって崩れ落ち、ありとあらゆる場所で亀裂が発生し、道も所々寸断されていた。復旧なんていったいいつになるのか、工事関係者でさえ見当がつかなかっただろう。

そんな場所にこれから実際に行くのである。

 

5枚の写真は全て草千里展望台

 

自然の破壊力も凄まじいが(感心している場合じゃない)、人間のパワーもすごいものである。僅か5ヶ月で仮復旧ではあるが、観光地「阿蘇」に再び明るい光を届けてくれたのだ。

とは言っても、観光客が大量に押し寄せたら恐ろしい渋滞が発生することは目に見えてはいるが、それでも「うれしい」の一言に尽きる。

 

 

復興と言う名の階段を、また一段あがった。

 

旅は続く。

 

 

 

早いもんで、前回の撮影ツーから8ヶ月も経ってしまいましたが、決して忘れてしまったわけではあーりません。

2月・3月は天候に見放され、4月は熊本地震とそれこそ撮影ツーリングどこではなくなり・・中止。

5月は熊本地震の取材などもたてこみ、ついつい開催が先延ばしに・・・というか、正直そんな雰囲気ではなかったです。

6月・7月に入ると、新聞やニュースでやまなみハイウェイの開通や南阿蘇村で迂回路が完成、仮設住宅の整備など、復興に関する情報を連日のように耳にするようになりましたが、まだまだその気になれず。結局、休止状態のままずるずる

そして8月、宮崎・鹿児島への帰省旅を終え、今がベストタイミングと考え、9月の撮影ツーリングの復活を決意したのです!

 

「阿蘇大橋跡」

 

そして今回の撮影ツーのテーマは・・

 

「震災の爪痕と復興」です

 

 

「真田●」のテーマで始まったらきっと合うだろうなぁ・・

なんて書いてる場合じゃありません(笑)

 

大自然の脅威と復興の軌跡を、愛車と共に後世に残すというのが今回の目標となります。

倒壊した家屋だけでなく、今回ご参加の皆様方には、「大自然の脅威」も同時に切り撮ってほしいなぁなんて思いながら、数ある撮影ポイントから厳選しました。

 

今回は、陥没してしまった農道や、間もなくその生涯を終える「赤水駅」、1971年の完成から約45年間にわたり大活躍した「阿蘇大橋」の崩落現場など、普段なかなか立ち寄らないような場所へも行かせて頂きました。

色々な非現実的なものを目の当たりにし、気分も正直よくなかったかもしれません。

しかし、現実をしっかりと受け止め、今後の撮影活動に繋がる様、現場で学んだことを今後に生かして頂ければと開催を決意しました。

 

「第6回撮影ツーリング IN 阿蘇」編

 

大観峰にて photo by IKEBE 

 

今回の撮影ツーで一番悩んだのがスタート地点。

結果、コース全体と照らし合わせながら選んだのが、阿蘇外輪山にある「大観峰」でした。

ここは、震災直後に数多くのライダーと出会い、語り、そして多くを学んだ場所です。

この日の阿蘇涅槃像は、全体的に霧がかかったような状況で、山の稜線や山肌がはっきりとは見えずかなり残念でしたが、秋の爽やかな風が吹きとても快適な空間です。

 

9:00AM

 

受付や挨拶を一通り済ませ、当日のコース説明を・・・

あ、久しぶりで忘れてました(汗)

皆さん、とってもとってもトークしたいのはよーくわかるのですが、スケジュールの都合上のんびり談笑している場合ではございません(笑)

 

「今日もよろしくお願いします!」の掛け声とともに大観峰をスタートし、ミルクロード、国道212号線を経由し、阿蘇のパッチワークな絶景を眼下に見降ろしながら、外輪山をゆっくりと降りていきます。

 

屏風のように立ちはばかる外輪山と、果てしなく続く田園風景の中を走る一本の直線道路を、優しい初秋の風を受けながら西へ走ります。

北海道の様に何十キロも続く直線はないですが、それなりに快適に走れる直線道路もじつはあります。

と言いたいとこですが、熊本地震が原因で亀裂や陥没が所々起きてしまって、砂利などで応急処置はしてあるものの、くにゃくにゃと曲がり、橋は隆起して少し走りにくい道路となってしまいました。

「でもまけんばい!」

 

小さな脇道に入ると、いよいよ最初の撮影地に到着です。

 

photo by ARAKI

 

photo by ARAKI

 

photo by IKEBE

 

photo by IKEBE

 

photo by ZUZU

 

photo by ZUZU

 

photo by MATSUO

 

photo by MATSUO

 

photo by MATSUO

 

高低差が1.5m程はあると思われる地面の亀裂・段差に、誰しもが言葉を失い唖然としてしまいます。(注 立ち入り禁止区域ではございません)

今生で二度と見る事はないであろう大自然の猛威に、シャッターボタンを押す指にも力が入ります。こんな状況下でバイクと景色をどうやって撮影したらよいのか、正直わからなくなった方もいらっしゃると思います。

また、撮ったはいいけど、世間に公開できるかどうか悩んだかと思いますが、ひとまず心配ならば公開はせずに、パソコンに出来るだけ保存しておいてください。

そして、何年先になるかわかりませんが、それが貴重なデータとなる日が来るかもしれませんから。

自分自身で「しっかりとした伝えたいテーマ」をもって撮影に挑んだとき、初めて良い画を撮ることができるものと思っております。

 

何時もとは何かが違う、「撮影ツーリング IN 阿蘇」

これが阿蘇の現実です。

 

「脱線車両の今」

 

photo by ARAKI

 

photo by ZUZU

 

陥没ポイントから農道のど真ん中を走りながら、突如として現れる幾重にも及ぶ砂利の山。

決してジャンプ台ではございませんw

それは、道路を横切る深い亀裂に砂利を埋めたもので、応急処置を施した跡。

人が穴ほったら何日もかかるところを、たった数秒で破壊してしまう自然の脅威に驚かされます。

 

そしてやってきたのは、九州横断特急などが走る肥薩線の赤水駅。

この駅、昭和9年に完成後、多くの人々を送り出しては迎えてきた木造駅舎ですが、地震被害の為、間もなくその生涯を終え、解体されるという情報を地元の方より入手しました。

それと、今回の熊本地震でとんでもない脱線事故がこの付近で発生したことは、ニュースなどでもご存知な方が多いかと思います。

回送のため赤水駅を出た直後に起きた熊本地震の本震。

大きな揺れと共に列車は大きく脱線し、事もあろうに踏切のど真ん中で止まってしまい、幹線道路を塞ぐ形で停車してしまいました。

しばらく遮断機の音は絶えず鳴り響き、列車の接近案内のアナウンスが流れ続けたそうです。

「とても賑やかだったですよぉ~」

と笑顔で当時を振り返る地元の御夫婦の顔には、安堵の表情が見て取れました。

その後、クルマが通れるようにと2両の列車は踏切を中心に切り離され、その場に3ヶ月ほど置きざりになり、最近になってようやく、人力で駅まで運んだという逸話も残っています。

 

震災当時は避難などで大変だったと思いますが、それでも快くお話をしていただいた御夫婦に感謝です。

 

 

コーヒーブレイク休憩後、未だ手つかずの箇所が残る、南阿蘇の「阿蘇大橋」近辺へ最近開通したばかりの県道149号線を通り向かいます。

新たに建設した「新迂回路」は、アスファルトがまだ真新しく黒々としていますが、その横を見ると路肩ごと崩れ落ちたであろう、普段ではありえない光景が眼下に広がっています。

そしてその先を見ると、あの阿蘇大橋を飲み込んだ茶色い山肌がかなりの至近距離に迫っています。

さらに横を見ると、一階部分がつぶれたワンルームマンションなどが何も手が施されず現存しています。

今まで益城町や西原村など多くの建物の倒壊現場を見てきましたが、ここもまるで特撮映画の中のようです。

 

 

県道から一旦横道にそれ、倒壊した家屋や今にも倒れそうな外壁の前を通り過ぎ、いよいよ東海大学農学部の入口付近に到着です。

目の前にはもう働くことのない信号機と、県道57号線への案内看板が見え、阿蘇大橋の名札だけが悲しげに浮かび上がっておりました。(注 立ち入り禁止区域ではございません)

 

2016.4.29 撮影者 綿屋兼一

 

2016.4.29 撮影者 綿屋兼一

 

 

撮影ツーリングの最後は、テント村や被災者の緊急避難場所にもなった道の駅「あそ望の郷くぎの」でランチタイム&写真チェック&質問タイムを行い解散です。

 

今後も阿蘇を含め、九州・山口各地で撮影ツーリングは行う予定をしておりますが、開催希望地など「皆様の声」も同時に募集します。

ご意見、ご質問、ご提案などありましたら、遠慮なくお申し付けください!

 

詳しくは鉄馬写真家HPまで

http://tetsu-uma.com/event_01.html

 

THE END

 

「やるしかねぇ!」

そう思うようになったのは、ほんの数日前のことでした。

 

 

4月に起こったた未曽有の熊本地震。

益城町や断層付近一帯では、多くの建物が被災し、そして多くの人々が避難を余儀なくされ、生活に必要なライフラインも寸断、復旧もままならない状況が長い間続き、途方に暮れた方々もたくさんいたかと思います。

 


そんな熊本地震から約4ヵ月が経ちました。

被災地での暮らしぶりは決して楽になったとは言えませんが、仮設住宅などの建設により、地震直後よりは暮らし易くになったかと思います。

 

熊本地震の影響で通行止めとなっていたやまなみハイウェイや、日田市から阿蘇へのアクセス道路として重要な役割を果たす国道212号も、所々に片側交互通行は残りますが、先日無事に開通を果たしました。

 

また、阿蘇大橋に代わる橋の建設や、阿蘇登山道の開通工事、国道57号の別ルート建設、俵山トンネルの復旧工事など課題は山積ですが、「いつもの阿蘇」へ向け、着実に前へと進んでいっています。

 

*** *** *** ***

 

そんな折、少々危険が残るかとは正直思いましたが(書いてる最中にも熊本震度5弱の地震発生)、この機会に「撮影ツーリング」を開催したらどうかと考えるようになり、参加者自ら「熊本地震」の痕跡を、風化しないよう写真を通して少しでも発信して頂けないか?

と思うようになったんです。

(注)危険地帯には絶対立ち入りません!

 

そこで今回のお題ですが・・

「第6回撮影ツーリング 熊本地震の脅威を切り撮る!」

(注)何度も言いますが、危険地帯には絶対立ち入りません!

 

倒壊した家の写真だけではなく、「大自然の猛威」を自分の目と肌で感じながら、安全な範囲で愛車と共に廻るツーリングでにしたいと考えました。

ちなみに開催日は2016年9月10日(予約制)です!

(詳細・お申込みは鉄馬写真家HPまで)

(注)しつこいようですが、危険地帯には絶対立ち入りません!

 

それでは、「九州・山口絶景ロード~阿蘇・南阿蘇~(予習編)」をお楽しみください!

 

 

*** *** *** ***

 

8月中旬、まだ柵の開いていない大観峰の駐車場を離れ、絶景の中を走る国道212号で内牧方面へと降りた。内牧も大きな被害が出た地区だが、正確な被害状況はよく把握してはいない。

そういえば、内牧から赤水に行く途中の県道175号に、1.5m~2mほど陥没した場所があるが、雑誌「道楽」9月号でも少しだけ写真で紹介したが、地震直後はこの段差を「はしご」を使ってよじ登っていたと言うから驚きだった。

 

 

それからしばらく走ると、赤水へ走る一本の直線道路の信号交差点が現れる。

そこを右折したあとはどん突きまで突っ走るのみだ。

 

 

うねるアスファルトに大地の裂け目、砕け散った路肩や歩道、崩れ落ちた阿蘇外輪山。

ここは、地震の脅威を目の当たりにできる直線区間エリアなのだ。

(注)さらにしつこいようですが、危険地帯には絶対立ち入りません!

 

 

 

現状のまま、是非とも後世に伝えてほしいところだが、ここは畑や田んぼのど真ん中。

農家の方々にとっては生活が懸かっているのだし、そんなに簡単には保存出来ないだろう。

今後は、時間の経過と共に綺麗に整地され、軽トラやトラクターなどが通れるようになるのだろう。

航空写真で見ると単なる小さな「ヒビ割れ」だが、現地で見ると「大地の裂け目」となり、自然の恐ろしさがヒシヒシと伝わってくる。

地震の規模は数字だけでは簡単に伝わらないが、現場の状況を見たらすぐに納得だ。

 

*** *** *** ***

 

気を取り直し、現在も運休が続いている豊肥本線の「赤水駅」に立ち寄った。

自分だけだろうか。

素朴な木造駅舎が北海道を思わせる。

 

 

固く閉ざされた駅の玄関には、バス停移転のお知らせが書いてあるとともに、厳重にカギがかけられていた。ホームには止めておく場所がないのか、2両の普通列車の車輌が駐車?していたのがとても印象的だった。

レールは錆で変色してしまい草が生えまくっている。

 

*** *** *** ***

 

国道57号を西へ進み、県道298号、県道299号(迂回路)と走り、南阿蘇村へ出た。

クルマで通ったときには気が付かなかったが、今にも落ちそうな家が「崖の上」に立っていたのを発見した時は正直驚いた。

いつ落ちるかもしれない家には、当然人の気配はなく避難している様子だった。

後で知ったが、ここはペンションらしい。

 

 

*** *** *** ***

 

南阿蘇へ抜けると、いよいよ木造駅舎の長陽駅だ。

と、その前に、土砂災害で消滅したと思われる「鮎返ノ滝」があったとされる場所へ立ち寄ってみた。茶色い山肌が露わになった状態で、滝なんて物は一切見る事も感じる事も出来なかったが、地図上ではたしかに山肌が出た部分だった。

 

 

*** *** *** ***

 

長陽駅のホームから見える田園風景はいつ見ても気持ちが良い。

勿論、次回の撮影ツーリングでは休憩場所として立ち寄るつもりであるが。

 

 

昨年の撮影ツーリングで立ち寄った古民家カフェ「風の音」は、地震の影響で屋根瓦は落ち、塀は壊れ、残念ながら閉店していた。

最後は「道の駅あそ望の郷くぎの」でランチ休憩、グリーンロード経由で熊本市東区にある「ウェンズディアフタヌーン」さんでアイスコーヒーを頂き帰宅した。

 

 

おしまい