事務所創立50周年特別企画『事務所の歴史を学ぶ大学習会』第1回学習会のご報告 | 名古屋第一法律事務所 お知らせ・ニュース

事務所創立50周年特別企画『事務所の歴史を学ぶ大学習会』第1回学習会のご報告

 2018年6月、当事務所は創立50周年を迎えます。この記念すべき年に、所内でも何か特別な事ができないか、という話をきっかけに議論を進める中で、「そういえば、所員の中でも昔の事件を知らない人が増えたんじゃない?」という事に気付きました。

次の50年に向かう為にも、ここで一度、事務所の過去を学ぶ事も大切なのではないか、という事で、“事務所の歴史を学ぶ大学習会”と称し、5・6・7月に毎月1回、3テーマずつ、過去の大きな事件に携わった先輩陣に、若手陣が質問をする、という形式で発表をして頂く機会を設けました。

以下、5月14日(月)に行われた各発表のご報告です。

 

【ブラックバイト弁護団】

(講師:久野弁護士、聞き手:中川弁護士)

 ワークルールを知ることは大切です。

そして権利を行使する方法を学ぶことも重要です。

 

ブラックバイト対策弁護団あいちは、2014年7月に若手の弁護士を中心に設立されました。

学生からの相談、学校への出張授業やSNSなどを通し啓蒙活動を行っています。

 

例えば、塾講師のアルバイトは時給が高く好条件に見えます。しかしコマ給(授業時間に対する賃金)なので、授業の準備や後片付けは時給付与の対象外となり、実質的な労働時間は最低賃金を下回る、ということになりかねません。

 

設立から関わった久野弁護士、インタビュアーを務めた中川弁護士による学習会は大変分かりやすく、学生のうちからワークルールを知る大切さを学びました。

▲ アルバイトの実態を報告する久野弁護士(写真右側)

 

 

【中電人権裁判】

(講師:加藤弁護士、聞き手:兼村弁護士)

 中電裁判は、中部電力の職場で、思想・信条を理由に賃金・昇進などの差別を受け、それを問題にしようともしない組合に頼らず、自力で裁判所に自らの人権の確認を求めて90名の社員が訴訟を提起し、22年余に及ぶ裁判闘争の末、遂に完全勝利を掴んだ裁判闘争です。

 

 この22年にわたる裁判闘争は、今日の名古屋第一法律事務所の目的理念とも深く関わっています。争議への取り組みを通じて築かれた弁護団づくりの理念を事務所経営の理念へ昇華し、それに基づく事務所運営によって、当事務所は50周年を迎えることができたのです。

 

 私はこの50周年を迎えるまで、中電裁判について「中部電力と労働者の闘い」程度の理解しかありませんでした。こうして加藤洪太郎弁護士から、この裁判をどう捉えて行動し、勝利を得ることができたのか、今にどう繋がっているのかを聞くことで、事務所を構成する歴史を知ることができました。

 

 今回のインタビューを通じて、名古屋第一法律事務所を構成する事務局として、これからも研鑽を積まねばならないと感じました。

 

▲ 事務所の目的・理念と照らし合わせて報告する加藤弁護士(写真左側)

 

 

【名古屋南部大気汚染訴訟】

(講師:森田弁護士、聞き手:堀居弁護士)

 この裁判は、1989年3月より12年4ヶ月掛けて和解解決となった、国と関連企業を相手に名古屋港周辺の名古屋市南部、東海市の大気汚染公害に損害賠償を求めたものです。

 

 原告は1次訴訟から3次訴訟まであわせて293人にのぼり、裁判中に亡くなる方もおり、遺族に引き継がれながら12年間訴訟が続きました。長い戦いでしたが、当時大気汚染で晴れでも曇っていた空は、現在のように青空が見られる様になりました。

 

 遺族が引き継ぐ場合では、それぞれの立場があり、その調整に大変苦労が多かったそうです。

 

 この裁判のように、環境は自分たちの手で守る事が出来る、あきらめてはならないのだと実感しました。

 

 

▲ 身振り手振りで報告をする森田弁護士(写真右側)

 

 

6月は、「労働戦線再編の問題」「名張事件」「原発訴訟」を学ぶ予定です。次のご報告をお楽しみに!