2017年11月01日

「保育と憲法」(大月書店)が出版されました

テーマ:お知らせ

 

当事務所の川口創弁護士が執筆した書籍が、出版されました。

 

 大月書店のホームページはこちら

 

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-* (以下、川口創弁護士のコメント)

 

 最近「保育と憲法」(大月書店)という本を出させていただきました。

 この本は、名古屋の民間保育園の園長として、子どもたち、親たち、保育者たちに全力で向き合い、愛情いっぱいの保育を実践している平松知子さんと、弁護士であり、保育園に通う子どもを持つ親でもある川口との対談をまとめたものです。

 

 僕は、これまで、憲法の講演などで、「憲法で一番大事なのは、『一人一人をかけがえのない存在として大事にしていこう』という『個人の尊厳』の思想です」と話してきました。憲法は13条で個人の尊重をうたい、これが憲法の一番の柱だと考えられています。

 

 しかし、「個人の尊厳」と言葉で言うのは簡単ですが、実際にどれだけ自分のものとしてこれたか、あやしいものでした。

 そんな僕が、我が子がお世話になっている保育園をはじめ、様々な場面で、子どもたちや保育士さん達から学んでいく中で、ある時気がついたのです。

 

  「これが個人の尊厳、ということなんじゃないか。優れた保育の実践は、憲法実践なのではないか」ということに。「保育ってすごいな」そう実感した瞬間でした。

 

 たとえば、保育園では、0歳児であっても、その子の気持ちに寄り添い、その気持ちを探っていきます。0歳児から個性があり、気持ちがあり、その背景もある。その子どものことを丸ごと受け止めながら、保育を実践しています。

 

 僕の子どもの保育園では「子どもを見る目を豊かにする」をテーマにしていて、子どもの姿について「こんな見方もできるんじゃない?」とみんなで日常的に話しているそうです。決して正解がないからこそ、複数のまなざしで見つめ、子どもをより理解しようとする。子どもから学ぼうとする。目の前の子どもたちをたった一人のかけがえのない存在として尊重していることが伝わってきました。「個人の尊厳」を大切にする、まなざしを感じました。

 

 ありのままの自分を受け止めてもらいながら育った子どもたちは、自己肯定観が育ち、自分も、友達も大事にできるようになります。同時に人の許可や判断を待つのではなく、自分の頭で考え、行動する力も培っていくことでしょう。こうした子どもたちが育っていくことが、人に優しい社会を作っていくこと、そしてこの社会に民主主義が育っていくことにもつながっていると思います。

 

 しかし、現実には大人の用意した「枠」に当てはめる保育をしている保育園も少なくありません。また、現実の社会も、格差と貧困が拡大し、長時間労働の末に命を落とす人も後を絶ちません。「個人の尊厳」が根こそぎ奪われる時代です。

 

 一人ひとりがかけがえのない存在として大切にされる社会を選ぶのか、人が社会の駒として扱われる社会に進むのか。 待機児童解消の名の下に、保育の量ばかりが追求され、保育の質が後回しにされています。また、来年には憲法改正の発議がなされる可能性も高いと思います。

 

 今、保育も憲法も岐路に立っています。

 

 こんな時代だからこそ、一人ひとりを大事にする保育園を守り、広げていくこと、そして保育実践から私たち大人も、人間観、「個人の尊厳」観を学んでいくことが、『個人の尊厳』をはぐくむ源流となるのではないか、と思っています。

 

 超仕事人間だった私が、保育園を通じて大きく変わりました。

 とりわけ男性から保育園は遠い存在かもしれませんが、ぜひ、保育園に関心を持っていただけたら、と思っています。

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