革が紙のように強度が無くなっているので、
糸で引っ張る力どころか糸に合わせた太針を通す事すら怖い状態。
ただ開けたからにはやはり同じように閉じなくてはならない。
考え抜いた方法としては、縫い目を約1mm内側に新たに開けてグローブステッチで閉じる。
針すら通せずかなり悩んでいた時を考えるとようやくここまできたか…と若干思う。
載せてない、書いてない問題も色々あった、、、
が一応クリア。
針を引き抜く角度をつけすぎると、それだけで縫い目が裂けてしまうので
ガードとして彫刻刀を当ててその上を滑らせ引き抜く事を思い付く…
玉留めは色付けして目立たないように。
ベルトに使ったエイジング糸では太過ぎたので替えています。
縫い上げてから雰囲気を見ながら、薄く溶いた黒でエイジング。
工夫とかなり慎重に縫っても、
正直縫い目は裂けた部分があります。
途中途中針を通しては革用接着剤で補強しながら。
それでも取っ手は一番触れる(摩擦が起きる)部分なので、
最後に接着剤で薄くコーティングしています。(縫い目のみ)
全体的にはベルトの艶に合わせて少しだけ艶コーティングしています。
★この取っ手というパーツだけで、
「建材リペアにて培った技術と知識、感覚」
「革細工を趣味でやっていた技術と知識、感覚」
「革リペアをやり始めて習得した技術」
全てありました。
見ている方の中には
「糸に色をつける?そこまでやる?」
など
思う方もいらっしゃるのかもしれません。
縫い目周辺の革が裂け、千切れた部分には欠片を繋いで接着剤とパテと着色をしてリペアも実は施しています。
たかがパーツ1つでも、
「直した」違和感がなるべく出ないよう
「全体に溶け込んだ、馴染むリペア」
を目指しています。
全てはその物自体の存在の為に。
リペアは主張するものではなく、
ただ甦らせるための過程だと思いました。
そして取っ手が仕上がったら続いてタブ取り付け。