25年もの。継ぎ足し継ぎ足しの秘伝のタレみたい。ガッチリ材料を巻き留めます。
昨日お客様が見えないので販売用のシーバスフライを作っていて考えました。
タイイングを長年している間に、タイイングマテリアル(フライ作りの材料)がだんだん高価になり、手に入らなくなり、定番フライのエルクヘアーカディスすら、気軽に作れるフライではなくなりました。もうハックルなしでもいいやとなる人もいたり。
狂牛病、鳥インフル、コロナと戦争、そんなあれこれのある中、ここ最近、一気にマテリアルの値段はあがりました。
お客様にコックネックケープ1万円超えを勧めると、えっ?と驚かれます。それはそうだなと思います。昭和の釣り人は、昔は当たり前だと言うけれど、好景気のそれと今ではあまりにも違う。
けれどもハックルが必要な渓流フライフィッシング、という日本のフライフィッシングという感じで今まで時間が流れてきました。
エルクヘアーカディス、ソラックスダン、パラシュート。日本の渓流フライフィッシング愛好家の好むフライの代表格には、みんなコックハックルが使われています。
安い時代にマイクロバーブサドルを買い込んだ人は一生使えますが、これから始める人には10色のコックハックルを揃えるのに15万円かと。
毎年一枚買うとしても、初心者さんにはなかなか厳しいなあと普通に感じます。25年前の価値観では今はなく、モノやサービスの値段は上がるのが普通で、そういう価値観になっていかないと趣味が理解できないなと、昨日感じました。
渓流のフライに、はたしてハックルは必須なのか?否、必ずしも必須ではない。ハックルの代わりにヘアーを使ったりダビングを使うパターンが世の中には沢山あります。アメリカブランドが主と感じる品種改良されたコックハックルは、やっぱりアメリカのフライではよく使われてるなと。
ヨーロッパの新しいフライには実はあんまり使われていないなと。
CDCというスーパーマテリアルがあったり、現代の素晴らしいフロータントがあったり、それらで充分にフライフィッシングができます。
いろんな見方をすると、いろんなフライの形が見えてきます。
コックネックハックルケープは今や憧れの存在になったと言っても良いかもしれません。
それはセージ社やルーミス社やループ社のハイエンドフライロッドのような憧れに近いものだなと、小さい店にいながら思います。
メイフライ、カゲロウの繊細さをキッチリ表現してくれる、美しいコックネックハックル。
生命感を力強いハリで表すコックネックハックル。
水捌けピカイチ。スッキリドライになる。
でも高いなぁ。
ハックルなしでもいいや、だと、まあいいんですが、どんどん趣味じゃなくて漁具に近くなっちゃうと思います。主観ですが。漁具の美しさはとっても分かります。無駄の無い洗練された美しさが漁具にはあります。
それを考えれば、我々のフライフィッシングは、無理して、意地を張って、わざわざ難しいフライフィッシングでやっているので、使っているフライに妥協するのは、趣味が小さくなっちゃう。
ピンとハリのあるコックハックルが巻かれた美しいフライは、やっぱりいいな。趣味です。
ハックルなしをどう工夫しよう。それも趣味。
って、取り止めのないことを、ハックルを全然使わないシーバスのゾンカーを作っていて思いました。
格安!コスパ高し!白いゾンカー。
いろんな考え方があるけれど、ほんとお客様にはフライタイイング(フライ作り)もフライフィッシングも楽しんでいただきたいなあと思います。