ユニセフ マンスリーサポート募金の是非を考える | 永築當果のブログ

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ブログを8本も立て、“物書き”が本業にならないかと夢見ている還暦過ぎの青年。本業は薬屋稼業で、そのブログが2本、片手間に百姓をやり、そのブログが2本、論文で1本、その他アメブロなど3本。お読みいただければ幸いです。

 テレビでしょっちゅう流れている広告「ユニセフ マンスリーサポート募金」にはウンザリさせられます。餓死寸前の子どもを大写しし、食糧支援を訴えて続けています。月々3000円で、どうのこうのと。

 

 人類の歴史を振り返ってみるに、先史時代から戦争や紛争は人口爆発に伴った飢餓が原因して起きています。それがずっと今日まで続いており、将来的にも止むことは決してないでしょう。

 もし、戦争や紛争が止むとすれば、それは、世界中の民族が皆、豊かになり、その子供たちの多くが高等教育を受けるようになったときです。なぜならば、そうなったときに初めて人口増加が減少へと向かうからです。

 今日、欧米が中心となって低開発国の支援をしていますが、その内容といったら、1に医療支援、2に食糧支援です。わりと最近に支援が始まった、文明社会と非接触であったアマゾン奥地のヤノマミ族の例を紹介しましょう。

 

 ヤノマミ族の1集落にブラジル政府が彼らの支援のために保健所を作り、医療活動(といっても新生児に栄養剤を与える程度のことのようですが)を行ったところ、それ以前の新生児死亡率は30%を超えていたものが、2%を切るようになってしまったとのことです。

 こうなると、すぐに人口爆発が起きるのです。

 そこで彼らはどうしたか。
 ヤノマミ族の女性たちは、出産時には一人森に入り、「産まれでた“もの”は精霊か、それとも人間か」を自分で決め、精霊と決めた場合には首を絞めて静かにし、白アリの巣に入れて天に返す、という風習を持っています。古来より、これが行われてきていました。
 よって、新生児死亡率が急減してからは、彼女らは、産まれでた“もの”を精霊として送ることが頻発するようになり、これでもって人口調節をしているのです。

(出典:国分拓著「ヤノマミ」(2010年))

 

 日本においても、江戸時代は世相が安定し、人口増加圧力が高まりました。そこで採られた方法がヤノマミ族と同様な「間引き」であり、堕胎も行われたのです。そして、水子塚を作ったりして、その供養がなされるようになったのです。

 江戸時代に人口が安定し、長く平和が続き、庶民までもがけっこう豊かさを享受できたのは、こうした人口調節がしっかりできていたのが大きな原因となっていたことでしょう。

 ただし、一部に例外があって、一向宗が強かった地域では間引きは認められなかったですから、食い扶持を減らすために、過剰人員は江戸へと流れていったことが知られています。

 

 アフリカにキリスト教が布教されると、間引きや堕胎は神の教えに反するものとして認められなくなります。そもそもヤノマミ族や日本の江戸時代のような風習がアフリカにあったかどうかわかりませんが、そうした風習がなくても、彼の地では風土病が蔓延しており、新生児死亡率はかなり高かったことでしょうから、これでもって人口調節はなされていたのではないでしょうか。

 そこへ欧米が中心になって、医療支援を行なえばどうなるか、です。

 

 それに輪をかけて、飢えた子供たちがいっぱいいるからといって、今度は食糧支援をする。

 こんなことをしたら、人口爆発の後押しをするだけのことですから、この先すぐにとんでもないことになってしまうのは目に見えています。

 医療支援をやっちゃダメ、食糧支援もやっちゃダメ、なのです。

 医療と食糧対策は、低開発国が他国の支援を受けずして、それぞれ独自の方針・施策でもって対処すべし、なのです。

 

 では、先進国は低開発国に何も支援しないのか。そうではありません。

 教育に支援すればいいのです。まずは子どもたち全員が初等教育を受けられるように手を差しのべることです。学校建設の資金を無償提供し、教師の人件費までをも援助していいでしょう。教材の支援も同様です。こうした支援は、先進国がマニュアル的に金を出せば、いとも簡単に実現可能です。

 残った課題は、低開発国では子どもが家計を支える労働力となっていて、学校に行きたくても行かせてもらえない家庭が随分と多いことです。この課題に、どう対処したらいいのか。

 これは低開発国その国その国で事情が違うでしょうし、同じ国でも地域地域で異なることでしょう。ここのところは、小回りが利くNPO法人などが現地に入り込んで、その地域地域に最も効果的な方法で手を差し伸べるしかないのではないでしょうか。

 具体的にどういう方法があるのか、小生にはわかりかねますが、小さな支援にしかならないと思うも、小生は井戸掘り支援に力を入れているNPO法人に毎年寄付をしています。というのは、井戸がないばかりに遠くの川や池まで水くみに行かねばならない地区が低開発国にはけっこうあって、そうした所では水汲み仕事は子どもたちの仕事になっており、ために学校に行けないという話を聞いたからです。

 

 小さな子どもたちが風土病でバタバタ死んでいく、小さな子どもたちが食べ物がなくて栄養失調で死んでいく。これに何も手を差しのべないというのは、非人道的であることは百も承知しています。

 が、しかし、ヒトという種は、古来より異常増殖し続け、今日に至っては人口増加圧力がさらに強まり、その人口調節を大量虐殺で行っているのが現実です。

 ですから、平和を手にするには、当面は「間引き」がいいのか「虐殺」がいいのか、選択肢はこの2つしかなく、今の人道支援方法では後者しか取りようがないのではないでしょうか。

 

 ここまで、ざっと昨日書いて、夜、テレビを見ていたら、「ユニセフ マンスリーサポート募金」の広告が変わったのを知りました。少女が水汲みに毎日往復8時間もかけているというもの。これは極端すぎますが、この少女に水汲み仕事から解放してやり、学校に通わせてあげたいものですね。