日本の領土はどこからどこまで? | 永築當果のブログ

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ブログを8本も立て、“物書き”が本業にならないかと夢見ている還暦過ぎの青年。本業は薬屋稼業で、そのブログが2本、片手間に百姓をやり、そのブログが2本、論文で1本、その他アメブロなど3本。お読みいただければ幸いです。

 日本の領土については、つい最近、北方領土問題で騒がれ、その前は竹島問題そして尖閣諸島問題でもめにもめました。そして、これらに勝るとも劣らないのが排他的経済水域問題で、日本のその水域に北朝鮮がロケットをぶち込むという暴挙に出ています。

 日本国政府の主張は、「北方4島、竹島、尖閣諸島は日本国固有の領土」であり、その理由はかくかくしかじかであると主張しています。

 「ここは俺たちのものだ」と隣国にはっきり物を言うのは大いに結構なことで、もっと強烈にやってもらいたいくらいです。

 しかし、単に正論を吐く、これに留まっていては決して自らの領土にはならないでしょう。

 名実ともに領土にするには何と言っても実効支配しかないでしょうからね。そして、実効支配してしまえば、あとから理屈はどんなふうにでも付けられます。ロシアが北方4島を実効支配し、韓国が竹島を実効支配したのですが、悲しいかな日本がいくら正論を吐いても、もうどうにもなりません。もう一つの尖閣諸島だって、今のままではやがて中国が実効支配してしまいかねません。そうなれば、もうどうしようもないのです。

 無人島だからたいした不利益にならない、というものではありません。漁業権、採掘権を有する排他的経済水域が絡んでくるからです。

 領土問題は、その帰属がA国かB国のどちらになるかという、1か0かの選択となってしまうのですが、排他的経済水域となると少々異なってきましょう。場合によっては、妥協して折半で権利を認める、という形を取り得る性質のものです。

 排他的経済水域に関して、今、問題にしたいのは、北朝鮮が日本の排他的経済水域にロケットをぶち込むという暴挙に出たことです。排他的経済水域も領土(陸地)と同様に実効支配が及ぶ場所です。領土にロケットをぶち込まれたら、それは侵略であり、戦争を仕掛けてきたことになるのと同様に、排他的経済水域にロケットをぶち込まれたら、それも侵略であり、戦争を仕掛けてきたことになるのではないでしょうか。こんなことをされたら、危なくって魚も捕れない、となります。ロケットが落ちそうな水域では操業がままならず、その水域は日本の排他的経済水域ではなくなってしまうのですからね。そして、その水域は北朝鮮が実効支配することになってしまいます。

 

 そもそも正論でもって領土問題は片付くでしょうか。

 領土問題が正論で片付いたためしは過去にない、そう言い切れるでしょうね。

 ここで、反論がありましょう。

 第2次世界大戦前は列強が覇権争いするのは当たり前であったし植民地支配時代でもあったから、領土問題は全て力でもって決していたが、今は世界中どこもかもが独立国となって平等な主権を持っている時代であり、もはや他国への侵略は国際世論が許さなくなった。

 たしかに、そうした歯止めはどれだけかありましょうが、現実には屁理屈であったり捏造であったり、とにかく何でもいいから説明が付く理由が立てられればそれでよしとばかり、強い者が力ずくで侵略し、実効支配しています。

 このやり方は、戦前そして遠い昔のやりようと実質的には同じことで、イチャモンをつけて殴り込むことに何ら変わりはないのではないでしょうか。

 これに対して、国際世論は侵略に対して声高に非難することがありますが、それは第三国がその侵略が自国の不利益になったり、侵略国の利益独占を面白く思わないところから発せられているものでしょう。また、第三国のなかには侵略国を非難しない国もあり、これは逆にその侵略が自国の利益になるからでしょう。

 最近のことでは、ロシアのクリミア半島併合がそのいい例です。ロシアの南下政策は古来からのもの。これは至極当然です。寒い地域に住む者にとって南はうらやましい限りです。南が欲しい。何としても取ってやろう。そう思うのを誰も非難できないでしょう。

 北方4島だって、そもそもは誰の物でもなかったです。日本が実効支配し始めたのも幕末になってからで、それまでは国なき原住民がいただけで、ほんのわずかロシア人が入植していただけです。北海道だって、明治政府ができてから大量の開拓団を送り込んでアイヌ民族の土地を取り上げ、日本が「ここは俺たちのものだ」と実効支配しただけのことです。
 ロシアとの北方4島、それ以外の千島列島や樺太の領有については、日露和親条約、樺太・千島交換条約、日露戦争後の日露講和条約で国境の取り決め直しを何度か行い、その後は一時的に安定していました。でも、第2次世界大戦の末期にロシアはここぞとばかりに南下政策を開始し、樺太・千島にも攻め入ったのです。
 ロシアの立場で物を言うと、「取られたものを取り返してどこが悪い」ですし、さらに「戦争に勝ったんだから、つい最近まで日本の領土でなかった北海道も割譲せよ」が正論となります。戦争に負けたんだから、ここは、北海道が取られなかっただけで十分ではないでしょうか。よって、北方4島は永久にあきらめるしかないです。
 もし、これを手に入れようとするならば、昔、ロシアが支配していたアラスカを米国に売却したように、ロシアが北方4島を日本に売ってくれる機会を待つしかないのでしょう。でも、ロシアにとって軍事上の不利益がないこと・ロシア国民が皆喜ぶほどに大金が入ること、この2つが満たされないことには話になりませんから、これも有り得ないことでしょうけどね。

 

 近い将来の難題は尖閣諸島に止まらず沖縄全体に及ぶ中国の脅威でしょうね。
 漢民族にどどまらず中国大陸を支配してきた歴代皇帝や政権は、太古の昔から、自分たちの影響力が及ぶ範囲は全部を「ここは俺たちのものだ」と言ってきたのですから、何も尖閣諸島に止まらず琉球王国の地域も「ここは俺たちのものだ」と言いだしかねません。現に中国政府機関の名だたる者たちがそうしたことをたびたび言っています。

 琉球王国は江戸時代の初めに島津藩の属国となるとともに、その以前と同様に清にも朝貢を続け、薩摩藩と清への両属という形をとりながら、一応独立を保っていました。それが明治になって、日本の領土にされてしまい、完全な支配下に置かれたわけです。その後、米国の占領下に置かれ、沖縄返還という形で日本の支配に戻っただけのことです。
 日本が、米国が、といった強い者が実効支配を繰り返してきたわけですから、中国の立場になれば、昔強かった清が属国としていた琉球であるからして、今、強くなった中国が支配してどこが悪い、ということになってしまいます。

 もっとも、今日の国際世論からして、軍事侵略でもってロシアのクリミア半島併合のようにはまいらないでしょうが、中国政府はチベットやウイグルに漢民族をどんどん入れ込んで経済まで実効支配しようとしている例があるように、まずは日中の政治的駆け引きでもって沖縄を特区にし、漢民族を大量に移民させて経済面で実効支配に乗り出すってことも決して有り得ない話ではないでしょう。

 

 さて、そうしたことを踏まえて、日本人は、尖閣諸島並びに琉球王国であった地域をどう守るか、これを真剣に考えねばなりません。
 専守防衛の自衛隊です。これを強固なものとし、南方に重点配備する、これしかないでしょうね。今のところ、日米安保条約で米国に守ってもらっているような姿にしか見えない南方配備です。これでは、米国の自国の利害でどのようにでもされてしまう危うさがあります。ここは、日本単独であっても中国軍に対峙できる戦闘力を身につけることでしょう。
 理想論を言えば、米軍は沖縄から撤収してグアムに下がってもらい、沖縄の基地は自衛隊のみとする、ということになります。こうしないことには、日米対等の相互安保条約にはなりませんからね。なお、当然にして日本本土の米軍基地も自衛隊を配備するだけにします。これでもって、真の日本の独立が達成されます。そのためには、だいぶ軍事費を増額せねばなりませんけどね。
  北朝鮮に言わせれば、日本は米国の傀儡政権どころか米国の51番目の州なのだから、日本と交渉したって始まらない、米国と交渉するのだ、ですからね。国際的に見て、第三国からすれば、北朝鮮の言うことは当たっている、となりましょう。

 

 日本には平和憲法があるのだから戦争はしないのだ、だからどこも侵略してこない、なんて空想を抱いている輩が多いのですが、平和ボケもいいとこです。国際社会はまるで違います。

 平和ボケした日本人は車同士の交通事故を起こした場合、どちらにも非があったであろうと互いに謝るのが一般的ですが、世界において、こんな立ち振る舞いをするのは日本人だけです。また、レストランで誤って皿を落として割ってしまっても、安物の皿だから割れたのだの、割れる運命にあったのだのと言って自分の非を認めないのが当たり前で、皿を弁償します、なんて言うのも日本人だけです。

 自分が間違っていても、自分は正しいと言い張って相手に噛み付く、これは一個人でも国でも同じスタンスですから、日本人はおたおたしてしまうのですが、これからの国際社会においては、日本人も、相手に少しでも非があれば鋭く反撃するという気構えで事に当たらねばいかんでしょう。

 これは、日本の歴代政権にも言えることで、あまりにも平和ボケしたスタンスで外交交渉をしているから米国、ロシア、中国そして韓国からさえもいいようにされているのです。

 (この段落は腑に落ちないと思われた方は次のブログ記事をご覧になってください。)

 理不尽・不条理のこの世をどう生きるか

 日本人に難解な「ヘーゲルの弁証法」のやさしい解説

 

 ところで、ここまで、小生は自分が日本の本土にいる立場にあるからして、かような意見を申してきたのですが、こと沖縄に関しては、侵略的立場での物言いです。つまり、琉球王国を侵略し、滅ぼし、完全に支配し、琉球人に同化政策を進め、琉球人は本土人に従っていただく、というスタンスに立っています。小生としては、これでいいのだ、という考えです。加えて、琉球を組み入れてしまった日本であるからして、琉球を南方からの侵略に対する備えをする拠点にするのは当然のことと考えます。

 

 これに対しては、琉球人から大きな反発がありそうですし、また、反発があってほしいです。

 琉球は独立したい、日本の支配から脱したい、こういう意見で琉球がまとまれば、今の英国(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)のような体制が取れ、日本本土との連合国家として互いの主張をするなかから、基地配備についても対等な交渉の道が開けるのではないでしょうか。それが決裂すれば、イギリスにおいてスコットランドが連合国家から脱退するという選択をしようとしたのと同じようなことを取り得ることができるというものです。極論すれば、琉球は日本につくより中国につくという選択も可能となるわけです。

 あまりに突飛な意見だと言われそうですが、日本はあまりに中央集権が強力になっていますから、このほうがおかしいのであって、ドイツにしたって同じドイツ人でありながらドイツとオーストリアの2カ国に分かれていますし、ドイツも正しくはドイツ連邦共和国であって単一国ではなく、共和国の連合体なのです。加えて、ルクセンブルクはドイツ系民族が過半を占めていますが、ずっと独立国として通しており、長く永世中立国(ドイツとフランスの緩衝地帯としての役割)を果たしてきた時代がつい最近まで(NATOへの加盟まで)あったのですから、琉球とてそうした生き方ができましょう。

 小生は学生時代に70年安保闘争を経験し、そのなかで我が中核派(たまたま我が校がその拠点の一つであった)は「沖縄奪還」と叫び、その他の派は「沖縄開放」と叫んでいたのですが、小生は、琉球の歴史からして、これは「沖縄開放」つまり「琉球独立」であるべしと、その当時から同じ考えでいるのですが、いかがなものでしょうか。

 

 日本国という国としての在り方は他にもあります。

 世界は随分とグローバル化され、それが様々な軋轢を生み、一部逆戻りするやに思われる動きも出ていますが、時代の流れとしては更なるグローバル化でしょう。

 そうしたことを踏まえると、日本はどう見たって米国に占領されたままの半独立国であって、とてもじゃないが米国には逆らえない、そうした状況に今後とも置かされるのは間違いないことでしょうから、北朝鮮が言っているように米国の51番目の州にしてもらって、州としての自治権を持ったほうが得策ではないでしょうか。もっとも、この場合、対中国最前線として、沖縄に止まらず本土中の米軍基地が固定化されますが、その在り様は現状と何ら変わるものではなく、自衛隊が州兵の身分となるだけのことでしょう。

 ますますトンデモナイ話に発展してしまいましたが、これに終わるものでもないです。遠い将来を考えると、米国がいつまでも繁栄し続けるものではなく、中国が世界で一番力を持った国となる可能性は大です。そうなったら、米国は日本を放棄し、日本は中国に飲み込まれ、中国の「省」に組み入れられることだって起こりえます。それを踏まえて、今からどういう行動を取っていくか、これも重要な検討事項になりましょう。

 さらには、日本が中国の「省」となる時点においては、過去にモンゴル人や満州人が中国大陸を征したように、そのときには日本人が中国大陸を征するという夢を、その昔、太閤殿下が夢想されたようですが、それを持ったって悪くはありません。

 

 世界の歴史というものは、非常にダイナミックに動いてきています。栄枯盛衰の繰り返しであり、日本も栄枯盛衰するのです。残念ながら、日本はこのままでは盛者必衰の域に入っていきそうな運命にあるやに見えますが、これは一時的な落ち込みであって、これから世界制覇するように動き出していくかもしれません。そうした望みは思いがけないところに眠っているようにも思われます。例えばそれはどこに?これについては話が長くなりますから、またの機会としましょう。

 

 随分と極端な論をあれこれ展開してきましたが、領土問題は、遠い過去から遠い将来まで俯瞰したなかから語る必要があると思いまして、自分の考えを再整理するために本稿を書き記したところです。これが、読者皆様が領土問題に関して主張なさるに際し、どれだけかの参考になれば幸いです。


(蛇足) 本稿を書くことになった切っ掛けを最後に綴っておきます。

 米国では大統領が交替し、選挙中トランプ氏は、日本は核武装せよとか、駐留米軍の費用負担をもっとせよとか、なんだったら米軍を引き上げる?とか、非常に過激な発言に明け暮れたのですが、これが彼の本音であるのかハッタリなのか分かりませんが、大統領就任後、何日もしないうちに国防長官を日本に派遣したのにはビックリさせられました。安全保障問題ではクリミアやウクライナ問題で北大西洋条約機構の方が重要じゃないかと思っていたのですが、安倍さんに真っ先に会いに来たのはどうして?です。こうした米国の素早い行動は、中国に対して“海に出るな”という、中国軍に対する牽制が目的であって、トランプ大統領の選挙前発言の訂正のためでは決してないです。国防長官が来日して従前どおりの発言によって安倍さんや日本国民が安堵したかのようですが、彼が真っ先に来日し、そう言わないことには、日本が日米安保条約を破棄してしまうから?なんてことは絶対にないのですからね。就任直後で大忙しのはずの国防長官です。これからトランプ大統領とじっくり相談し、中国の海への進出に対抗するための諸施策を構築するなかから、日本に対して日米安保体制に関する新たな要求を出してくると考えたほうがいいのではないでしょうか。その新たな要求を日本は飲まなければならない。なぜならば日本は真の独立国ではないのだから。

 

(2017.2.9補記)
 急ぎ投稿したこともあって、「沖縄の独立」という考えがどの程度あるものかをネットで情報集めしていましたら、それに関連する大事件が起きていることを知りました。
 「ニュース女子問題」問題です。これには少々驚きました。

 とりあえずは参考記事
 東京新聞「深く反省」 副主幹司会「ニュース女子」問題 
 ところが、実情は
 
ニュース女子問題を考える:外国人の反日活動/武田邦彦
 ニュース女子問題を考える:発言と同席/武田邦彦
 して、真実は
 のりこえねっと・辛淑玉のMX批判は全部ウソだと判明… ニュース女子の沖縄報道は事実だった 

 ということのようです。
 さらに、
いろいろたぐっていくと、「のりこえねっと(代表:辛淑玉)」が明確に“沖縄は独立を目指せ”と言っていますし、それを琉球新報が支持している。なんとも恐ろしい世の中ですね。

 これでは、沖縄県民の本当の意見が聞えてきませんね。