人口ビジョンについて …  町長に伺いました



人口減少、少子高齢化が進行していくなか、長瀞町でも国の方針に基づきながら、平成28年3月に人口ビジョンが策定されました。

 当町では、1985年の8963人をピークに人口は減少傾向となり、その減少幅は年々増加しております。 

 将来、消滅都市にならないように、早急な対策が必要であり、現状分析や課題を把握する為に今回のビジョンを策定したと思います。

 そこで、このビジョンの中の3点について伺います。


・自然減と社会減の原因と課題について


就業人口の減少及び自町内の就業率の低下に関する今後の展望について


・合計特殊出生率の目標と今後の課題について


【町長答弁】




【再質問】

ただいま○○のお考えについて、答弁を頂きました。

 長瀞町の人口は1985年がピークだったわけですが、私は当時6歳だったので、まだニュースや国、町の状勢に関して意識しておりませんでしたが、その頃にはまだ長瀞の人口は増えていくと考えていた時代だったのでしょうか、それとも減っていくことは分かっていたのでしょうか。もしもある程度予測できていたのであれば、なぜ今までに人口減少対策についての施策を、もっと本気で進めてこなかったのでしょうか。

 まぁ今となっては、それはさておき、今回は特に重要な問題ですので、質問の根拠についても理解していただいた上で、答弁をしていただきたいと思いますので、再質問が少し長くなる事はあらかじめご了承下さい。

 人口や、資料の作成などについては、住民基本台帳と国勢調査などの違いもありますので、資料により多少誤差が生じることは、はじめに述べさせていただきます。


 今回策定された人口ビジョンの3ページ、人口推移から試算すると、1985年から1990年の5年間では、減少率0.6%でしたが、その後、5年毎に、1.1、2.8、2.6、2010年には5.2%と、減少率は増加傾向となっております。


 今回は数字が多く出てくるので、資料が手元に無いと分かりづらいと思いますが、先ずは自然減について、 5ページの年齢階級毎の2000年、2010年の人口構造を見ますと、ちょうど、団塊の世代が山の山頂となり、下り斜面のように減少傾向へ向かい、裾の方の若い世代ほど少なくなり、少子化傾向であるのがよく分かります。

 そして、その人口が多い世代の方々が、後期高齢者の方へと向かっているわけですので、高齢者の全数も多くなり、高齢化が進行しているというわけです。

株価も人生も、山もあり、谷もありますので、今がその谷間の時代なのかと思いますが、現代では、雇用や給与、待機児童の問題等々で、結婚や子育てに不安がある声も多いようです。

迷信と言われている1966年の丙午の年には、前年度180万人から136万人と、25%も出生率が下がったことなどから考えても、その時代の状勢や環境、雰囲気により、それらも大きく影響を受けるものと思います。


 ビジョンにはありませんが、長瀞町の年間死亡者数から、平均死亡者数を算出してみますと、横ばいだった1993年から2005年までは、年間平均死亡者数86人程度でしたが、2010年から2014年までは、1年間に平均113人と、年々増加傾向となっております。ここ10年から20年で、24%程度増えいることと、人口の多い団塊の世代である方々が、67歳以上になり、死亡率が高くなる世代に入ってきたことから考えますと、今後20年~30年後位までの死亡者数は、さらに増加傾向になると予測できると思います。

 次に出生者数につきましては、2000年から5年毎の平均値を出しますと、2004年まで61人。2005年から2009年までが43人で30%減。2010年から2014年までが36人でさらに16%減となっております。

私の同級生は127人だったことからも、30数年前から考えると出生者は、3分の1以下となっているようです。


 私は学者ではありませんので、分析等についてはこの位にしまして、なにが言いたいのかと申しますと、10年後、30年度、50年後の将来の見通しはもちろんですが、これは人によっては遠い未来とも思えます。

しかしながら、ここ数年の実際の、出生と死亡の自然増減では、毎年113人前後の方が亡くなり、生まれてくる方は、36人程度であり、それだけの差し引きでも、1年間で77人が減り、今後十数年は、さらにこの数値は増えていくことは間違いないであろうということです。


 次に、転入転出による、社会増減につきまして6ページのグラフを見ますと(先ほどの答弁にもありましたが)2001年頃から2012年にかけて減少傾向となっております。また、(答弁にもありましたが)8ページの社会動態の状況をみますと30歳前後で転出される方がかなり増えているようです。

 この理由は、結婚を機に引っ越したり、嫁に行ってしまうことが1つと、10代から24才までの年齢の方が、転出される1つの理由に、大学の進学率が関係することも考えらます。

文部科学省の「学校基本調査」の資料を見ますと、大学進学率は、1990年頃には男女の平均で23%でしたが、徐々に上がっていき、2010年には、50.8%となっております。大学に進学する方は年々増えている状況だと思いますし、やはり大学や専門学校等で一度都内の方へ出てしまうと、向こうの友達も出来たり、出会いもあったり、仕事を見つけてしまったりと、こちらに戻って来づらい状況になるのかもしれません。

住民基調台帳では、6/1現在の人口は7430人ですが、ビジョンの国勢調査からの試算では平成27年7421人となっておりますが、今年の4月に公表された調査結果の人口は7326人となっております。先ほどの自然減で毎年77人と、社会減で毎年44人を足すと、年間に121人ずつ減り、5年で605人減少。人口の将来展望の平成32年に7533人を維持するには、(7742‐7533人=209)今すぐに対策を始められても残り4年間、1年52人づつ増加させなければ達成できません。このままではビジョンより早く減少していくのは目に見えておりませんでしょうか。 こういったことからも本当に迅速な対応が求められております。


次に、就業人口の減少及び自町内の就業率の低下に関する今後の展望といったことで質問ましたが、このビジョンの15ページで、就業者数や、自町内就業率も同様に減少していることが、書かれておりますが、就業者数全体の減少は、少子高齢化による生産年齢人口減少が原因だと思います。また、自町内就業率では、町内の企業が、町外や、海外に進出することで、会社自体の数が減っていることが要因の1つであろうと考えます。さらに、秩父、深谷、熊谷、本庄、寄居方面に工業団地などもあり、仕事も選べ、それらの地域に30分程度という通勤しやすい環境から、町外就業率が高まっているのではないかとも考えられます

 また、流入出の関係で、就業・通学地の流出人口が、流入人口を上回っており、秩父郡市からは流入が上回り、本庄、寄居、方面への流出人口が上回っているとありますが、当町の、就業先は、元々多くない上に、減少傾向。通学先である高校などは昔からないことや、長瀞町より周りの地域の方が人口も多いことから、この関係になるのも当然の結果ではないでしょうか。


 また、18ページでは、町内雇用の受け皿が少なく、就職を機に町に戻りづらいことが推測されます、とありますが、例えこの町に新たな企業を1つや2つ誘致できたとしても、現在勤めている会社を辞めてまで、移りたくなるような会社や、移住させたい対象者である若者が就職したいような会社がくる可能性は、かなり少ないのではないでしょうか。それであれば、町内の雇用の受け皿を心配するのではなく、通勤時間は長すぎるより、短い方が楽だとは思いますので、地元長瀞から通える会社は30分圏内にこれだけあるんですといった情報を提供し、定住や移住を促した方がよいのではないでしょうか。


そして、長瀞町内の就業率が低下していることが、よくない事のように感じられますが、確かに地元の会社に勤めているメリットはあります。例えば、本人からすると通勤時間が短くて済む。通勤の車が傷まない。あとは何があるでしょうか。勤務先の会社では、近い方は交通費が少なくて済むというメリットはあります。町や商店の立場から考えるとなんでしょう。所得税や住民税等は、長瀞町内に住所があれば良いわけですし、商店としても消費してくれる方が増えれば、それが地元であれ、地元外の方であれ、良いのではないでしょうか。

長瀞の場合は定住人口の減少による地域の消費額の低下を、観光メインで交流人口を増やしているわけですし、そうに考えると、こちらについてそれほど深刻に考える必要はないと思います。

もちろん人口を増やす為のビジョンではなく、税収の問題や産業の活性化であれば、優良企業の誘致や、地元にある企業を元気にする為の施策が必要だと思いますが、今回は人口問題です。


 再質問いたしますが、人口ビジョンでは課題をみつけ、総合戦略では目標や施策が上げられておりますが、関連した町内就労者割合について、42.8%から45.0%を目標にしておりますが、町内就労者を増やすことのメリットと、効果はなんでしょうか。また、若者等の雇用の受け皿拡大方法と、就労の場を増やす施策について、具体的な考えがあればご意見を伺いたいと思います。


【答弁】

【再々質問】

 就労関係について伺ったわけですが、雇用の受け皿につきましては、ただでさえ工業用地の少ない長瀞町に企業を誘致することは、かなり難しいのはお分かりだと思います。しかしながら長瀞町は細長い地形であり、町内から30分で通える工業団地やお店等は沢山あります。こういった情報を定住・移住促進向けにPRした方がいのではないでしょうか。

 私が考えるには、ここの問題より、町内でも町外でも働いていただいて、高齢者を支えるためにも、今後の長瀞町を支えるためにも、長瀞町に働く世代の住民を増やすことが最優先の課題だと思います。

 

【合計特殊出生率】

 次に合計特殊出生率について、長瀞のような人口構成で、合計特殊出生率が1.02から1.40に上がることで、1年間にはどの位の数の子供が生まれるようになるのかと思い質問しました。確かにおっしゃる通りで、合計特殊出生率は、女性が出産 可能な年齢を15歳から49歳までと規定し、それぞれの出生率 を出し、足し合わせることで、人口構成の偏りを排除し、一人の女性が一生に産む子供の数の平均を求めるものであります。ですので、長瀞のその世代の人口構成にもより、出生率は変わってきます。

 そういった中で、この計画の期間は平成27年から31年の5年間であり、もう残りは4年を切っております。5年後に向けて徐々に1.40にした場合と、4年間現状の1.02のまま、5年後にいきなり1.40になった場合とでは、5年間に生まれる子供の数も、もちろん違います。特にこの出生者や出生率の問題については、出会いや結婚、子供が生みやすい環境など、様々な事が関係してくると思います。

 また、人口ビジョンの6ページ、出生率に出生者数を入れてみますと、2004年の1.43の時の出生者数は、61人で、2005年の1.26では49人 2006年0.93で45人、昨年2015年1.02の時に38人となっております。

 出生率の対象になる15歳から49歳の女性の人口推移で試算しますと、2010年の5年後、2015年には、44歳~49歳257人が50歳以上になり対象外となります。そして10歳から14歳の、176人が合計特殊出生率の対象に入ってきます。ここだけみても、5年で81人、年間16人づつ減少しております。

このように、人口の多い世代が50歳以上に向かい、減少傾向の世代が対象の方となっていくわけですので、合計特殊出生率を上げることも必要ですが、対象となる特に20代から30代の世代の方々に住み続けていただくこと、移り住んでいただくことが重要な事だと思います。


なにはともあれ、合計特殊出生率は、2.08%を超えると人口は増加も減少もしない数値のようですが、1.02から1.40%を目標になどといった、それでどうなるのかといった数値目標より、1年間に5人づつ出生者を増やしていき、5年後には、現在の年間出生者36人から61人を目指します。といった分かりやすい目標を立てた方がいいのではないでしょうか。

やはり明確で分かりやすい数字でないと危機感も薄いように思えますし、例えこの数値目標が達成されても、その時には出生率を算出するための対象者自体の人口が減っているのではないでしょうか。

長瀞町のやるべきことは、人口の増加は難しくても、社人研の出した将来推計にならないように、改善や転出抑制の為の施策を進めることであります。

少子高齢化に伴う人口減少については、ここ数年でも何回も一般質問でも指摘されている事項でもあります。

これらの具体的施策について、実行が1年遅れれば、2年後には1年目の分も取り返さなければなりません。

 21ページ以降のアンケート結果からも新たに気づいた事も多々あると思いますし、対策を立てる為により深く意見を聞いた方がいいものもあると思います。ぜひ、調査結果を十分に生かして、この状況を打開すべく、一刻も早い対応をし、今後の将来展望を達成して下さい。

 

今回の質問の人口ビジョンは、現状分析と課題の把握であり、もっと危機感を持たなければという質問でしたので、今のお話について何かご意見が無ければ、これらの課題をどうするかについては、次の質問で行いたいと思います。


※上記は原稿ですので、実際のやり取りは議事録をご覧下さい。