流動資産:前払費用
1 内容と範囲
前払費用とは、一定の契約に従い継続して役務の提供を受ける場合、いまだ提供されない役務に対して支払われた対価をいいます。たとえば、前払の家賃や地代、借入金利息、火災保険料などの未経過分です。
前払費用は、企業会計原則では継続的な役務の提供にかかるものに限られていますが、実務上は時期移行の費用の前払分と考えて差し支えありません。
2 会計処理
前払費用の処理方法には大きく分けて次の2つがあります。
①支出時に資産計上し、月末に経過分を徐々に費用化する。
②支出時に費用処理し、期末に見計過分を資産計上する。
前払費用は、重要性のない場合は継続適用を条件に資産計上しないことが認められています。そこで、実務では支出時に費用処理するのが普通です。なお、決算日から1年を超えて費用となるものは、固定資産である長期前払費用として処理します。
3 前払費用のイメージと会計処理
保険期間が1月1日から12月31日までの火災保険料1,200,000円を12月末日に当座預金から支払った。当社の決算日は3月31日である。
①費用の支出時
保険料 1,200,000/当座預金 1,200,000
②決算日
前払費用 900,000/費用科目 900,000
③決算日の翌日
費用科目 900,000/前払費用 900,000
-かっぱ-
流動資産:短期貸付金
1 内容と範囲
短期貸付金とは、仕入先、得意先関係会社、株主、役員、従業員などに対する貸付金のうち、決算日から起算して1年以内に返済される予定のものをいいます。
具定例では、従業員に対する福利厚生の一環として、マイホーム購入資金の貸付、埋葬・傷病の際の資金の貸付などがあります。また、資金繰りに窮した下請け業者に対して、一時的に運転資金を貸し付ける場合もコレに含まれます。
なお、貸付金は金銭債権にあるので貸し倒れ引当金の設定対象となります。
2 取引の種類と会計処理
短期貸付金の取引は、債券の発生取引及び消滅取引からなります。債券の発生取引には次の様なものがあります。
・現金や小切手記による貸し付け
・約束手形による貸付
・売掛金からの振り替え
・長期貸付金からの振り替え
なお、約束手形による貸付とは、借用書などに代えて借主を振出人、貸主を受取人とする約束手形を受領するもので、この場合は手形貸付金勘定で処理することもあります。
一方、債券の消滅取引には次のようなものがあります。
・現金や小切手による回収
・債務との相殺
・代物弁済による回収
・貸し倒れによる債権の消滅
また、貸付金には利息が伴いますが、利息の支払を受けた場合は、受け取り利息勘定で処理します。
3 表示
貸付金の短期・長期の区分は、返済期限が決算日の翌日から1年以内か否かによって判定します。前者は「短期貸付金」として流動資産の部に、後者は「長期貸付金」として固定資産の「投資その他の資産」の部に表示します。
したがって、貸付当初は長期貸付金としていたものが、時の経過に伴って、返済期限が決算日翌日から1年以内に到来するようになった場合は、短期貸付金に振替えた上で表示することになります。ただし、その金額が小さいときは長期貸付金のままでも差し支えありません。
なお、役員、従業員、親会社、子会社、支払株主などに対する貸付金については、役員短期貸付金、従業員短期貸付金、子会社短期貸付金といった別の勘定を用いて区分表示するか、注記することになっています。
-かっぱ-
流動資産:前渡金
1 内容と範囲
前渡金(まえわたしきん)とは、商品や原材料などの仕入や外注加工などの依頼に際し、代金の一部又は全部を納品前に支払った場合に、その金額を一時的に処理する勘定です。前払金の科目を用いることもあります。
前渡金は債券の一種ですが、売掛金などの債券とは性質が異なります。つまり、売掛金が販売した商品など代金を請求する権利であるのに対して、前渡金は代金を支払った商品やサービスの給付を請求する権利であり、この点で両者は対照的です。
このように、前渡金は会計理論上は金銭債権以外の債券(外貨給付付請求権)と考えられているため、通常は貸し倒れ引当金の設定対象とはなりません。そして、相手先から商品などの引渡しがなされなかった場合には金銭債権に変化すると考えられ、この場合は未収入金勘定に振替えることになります。
2 隣接科目との区分
自社で使用する機械や建物を購入し、その代金の前渡を行った場合は、前渡金ではなく、固定資産である建設仮勘定で処理します。
また、継続的な取引先に前渡金を支払うとkは、前渡金という形をとりながら、その実質は資金の前貸しや援助の意味合いを持つものも少なくありません。こういう場合は、前渡金との区別を明確にして、貸付金として処理するほうが適切です。
3 会計処理
前渡金の会計処理には、次の2つがあります。
【第一法】 前払時及び仕入時に前渡金勘定で処理する方法
原則的な処理方法で、実務では前渡金の発生や消滅回数が少ない場合に用いられます。
・代金を前渡したとき
前渡金/現金
・商品を受け入れたとき
仕入/前渡金
/買掛金
【第二法】 前払時および仕入時に買掛金勘定で処理する方法
実務上、前渡金の発生や消滅回数が多い場合に便宜的に用いられます。この場合、会計期間中に前渡金の発生、消滅を買掛金勘定で処理しておき、期末に買掛金勘定の借方残高を前渡金勘定に振替えます。さらに、振り返られた前渡金勘定は、翌期首に買掛金勘定に振り戻します。
・代金を前渡したとき
買掛金/現金
・商品を受け入れたとき
仕入/買掛金
4 表示
前渡金は、1年以上の長期にわたることを予定していないため、貸借対照表の流動資産の部に「前渡金」として表示します。
5 勘定処理の事例
問1①700,000円の商品を注文し、代金の一部200,000円を現金で前払いした(第一法)。
②上記①の商品を受け入れ、代金の残額は掛とした。
① 前渡金 200,000/現金 200.000
② 仕入 700,000/前渡金 200,000
/買掛金 500,000
問2①2,000,000円の商品を注文し、代金の一部100,000円を小切手を振り出して支払った(第二法)。
②上記①の商品を受け入れ、代金は掛とした。
① 買掛金100,000/当座預金 100,000
② 仕入2,000,000/買掛金 2,000,000
問3期末における買掛金の借方残高500,000円は前渡金である。
前渡金500,000/買掛金 500,000
-かっぱ-