風力世界第3位のドイツは、10年末で設置発電容量は2700万kWにのぼり、前述したように総発電量の8%程度を占める。
ドイツは、太陽光発電でも05年に日本を抜いて以来、トップの座を維持している。10年にはなんと約700万kWも増強。その結果、設置容量は09年末からの1年間で実に70%も増え、1700万kWに達した。太陽光発電の総発電量に占める比率は2%を超える。
ドイツのような経済大国で、風力と太陽光を合わせた発電量が全体の10%にも達するというのは注目に値する。
ドイツの太陽光発電が09年に390万kW増加した時には、その後もこのペースを維持するのは不可能と見られたが、10年の新規導入量はその2倍近くに上った。
太陽光発電の伸びを支えている電力の固定価格買い取り制度(フィード・イン・タリフ)では、普及に伴って買い取り価格を下げていくことになっている。しかし、ドイツの業界団体のトップは今後も年間300万~500万kWの増加は可能と強気な見立てだ。このペースが続くとすると、総発電量に占める比率は太陽光だけで2020年までに10%近くになる。風力を合わせると20%を超えることになる。
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日本の太陽光発電の導入量は、09年末時点の累積でドイツ、スペインに次ぐ世界第3位だったが、風力発電は遅れていて、09年末時点で約200万kWと世界13位でしかない。
08年までは、風力と太陽光は発電容量でほぼ同程度で推移してきた。しかし、09年には太陽光発電に対する政府補助金が復活し、余剰電力の固定価格買い取り制度が新たに始まったことで、ここにきて太陽光が急増した。
一方、風力は伸び悩んでいる。09年末には、発電容量では太陽光が風力を25%程度上回る結果となった(ただ、風力の方が設備利用率が高いため、実際の発電量では依然、風力が上回っている)。
風力と比較すれば健闘している日本の太陽光発電であるが、発電容量は09年末で約250万kW。10年に100万kW程度増加したと仮定しても、ドイツの5分の1にしかならない。風力と太陽光を合わせても依然として総発電量の1%にも満たない。
日本では太陽光発電の注目度が高いが、世界では風力の方がはるかに先行している。世界との違いは、日照や風況などの自然条件の違いが大きいが、技術動向にも大きく左右される。前述したように自然エネルギーの中ではコストに優れる風力の活用は日本でも重要なテーマだ。日本の気候、風土に適した風力発電の開発を積極的に進めるべきだ。
特に、太陽光発電と風力発電の併用による相乗効果の追求は有望と思われる。同じ自然エネルギーでも太陽光発電は風況に左右されず、風力発電は風さえ吹いていれば雨天だろうが夜間だろうが関係ない。太陽と風力は相互補完的であり、2つを組み合わせた活用方法は有力な検討課題である。
低炭素社会の実現は自然エネルギーと電気自動車(EV)が2本柱だ。EVでは三菱自動車や日産自動車などの健闘で世界をリードする日本だが、自然エネルギーの活用では中国や米国、欧州に大きく後れをとっている。とりわけ後れが目立つ風力は、技術開発と導入政策の両面で力を入れないと、世界の動きから取り残されかねない。
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