PIECE OF MY SOUL ~S's side~ 第1話
バンっ
勢いよく、神(しん)は家のドアを閉めそのまま自室に急いだ。
階段を掛け上がっている時に母親に何か言われたが振りかえらず部屋に入り、そのままベッドに倒れこんだ。
全力疾走したからだけではない胸の動悸と対照に、体が冷えていくのが分かった。
胸は苦しく、頭はボーっとする。
なのに、先刻、朋通(ともみち)に言われた言葉だけが、はっきり、重く頭の中に残っている。
「俺さ、有一(ゆういち)とつき合ってる」
放課後の保健室で、朋通ははっきりそう言った。
神と朋通は高校の入学式当日からすぐに仲良くなった。
式の席がたまたま隣同士だったからだ。
目鼻だちのバランスが整っていて見た目が大人っぽく、周りから一目置かれているが、中身はかなり子どもっぽい神と、派手なタイプではないが、自分の意思をしっかり持っていて、いつもどっしり構えている朋通は気が合い、いつしか神は朋通に友達以上の感情を抱いていた。
2人の会話には色のある話は一切出てこなかったので、朋通はそういうことには全く興味がないのだと伸は思っていた。
自分の気持ちを伝えたら、きっと朋通とは一緒にいられなくなる。
男が男を好き、だなんてきっと朋通は嫌がる。
そう神は思っていた。
神も朋通を好きになる前は男と恋愛だなんてちっとも考えたことなどなかったのだから。
今のままで良い。
一番仲が良くて
一番朋通の笑顔を見ているのは俺だから。
そう思っていたのに。