『妊娠中の葉酸補充と赤ちゃんの脳の発達』
についての論文を紹介致します。
妊娠中の葉酸補充は出生児の脳の良好な発育に関連するというハーバード大学のグループによる研究結果が医学誌「JAMA Psychiatry」に掲載されました(1)。
葉酸と言えば、妊娠、出産に際して最も重要なビタミンで有名です。
葉酸は、ビタミンB群に属し、補酵素として、アミノ酸やたんぱく質など、私たちの身体にとって重要な物質の合成に関与していて、DNAの合成や細胞の増殖に必須です。
妊娠期は、胎児にとっても、母親になる女性にとっても、細胞分裂が最も活発に行われるので、とりわけ大切になります。
そのため、妊娠前から妊娠初期(3ヶ月)迄、サプリメントで葉酸補充することで胎児の二分脊椎症や無脳症などの先天異常の発症リスクが約70%も低下することがわかっていますが、葉酸が不足すれば、胎児の先天異常だけでなく、さまざまなリスクが高くなります。
その中で、出生児の自閉症スペクトラムなどの精神疾患のリスクとの関連について、多くの疫学研究による報告がなされています(2)が、明確な結論は出ていませんでした。
◎どんな研究だったのか
アメリカでは1996年に1998年までに全ての食品メーカーは穀物への葉酸添加を法律で義務づけることを決定しました。
妊娠前の女性が葉酸を不足しないように主食に葉酸を添加し、全国民に強制的に葉酸を摂取させているのですが、このような国は現時点で世界で81か国あります。
既に20年になりますが二分脊椎症などの神経管閉鎖障害の発症数がこの法律の施行後に劇的に減少したことが検証されています。
因みに、日本では厚労省が妊娠前の女性に葉酸補充を推奨していますが補充するかどうかは個人のまかせているために穀物に添加しているような国と比べると先天異常の発症率は高くなっています。
さて、今回の研究論文では、妊娠中の葉酸摂取が出生児の脳の発育に影響するのかどうかを調べるべく、3つのグループの子どもを対象に研究を実施しています。
ハーバード大学医学部の関連病院であるマサチューセッツ総合病院で、生まれた子ども292名。
そして、フィラデルフィア神経発達コホート研究(PNC)に参加した子ども861名、もう1つ、脳の発達のためのNIH(アメリカ国立衛生研究所)MRI画像研究(NIH)に参加した子ども217名です。
共通しているのは、全員、なんらかの理由で脳のMRI検査を受けていることです。
そして、子どもを出生時期で3つのグループにわけ
◎葉酸添加の法律が公布される前(1996年以前)の葉酸非摂取群
◎法律の公布と施行の間(1996年から1998年)の葉酸部分的摂取群
◎法律の施行後(1998年以後)の葉酸摂取群
にわけ、同年齢の子どもの脳の発育状況をグループ間で比較しました。
その結果は驚くべきものです。
マサチューセッツ総合病院出生児では両側前頭葉、側頭葉の大脳皮質の厚みが葉酸摂取群で厚く、脳の成熟度が高かったことがわかりました。
また、PNCやNIHの子どもでも葉酸摂取群のほうが脳の成熟度が高く、精神疾患の発症リスクが低かったというのです。
このことから、妊娠前から妊娠中に葉酸が添加された穀物を食べることで出生児の脳の発育や成熟が良好になり、精神疾患の発症リスクが低くなることが示唆されました。
◎妊娠3ヶ月以降の葉酸補充について
厚労省は先天異常の発症リスク低減を目的とした葉酸の補充は、妊娠の1ヶ月以上前から妊娠3ヶ月迄、通常の食事摂取に加え葉酸480µg をサプリメントから毎日摂取することを推奨しています。
妊娠1ヶ月以上前から妊娠3ヶ月迄としているのは、先天異常の発症が妊娠の極初期に発生するためです。
今回の研究結果から妊娠3ヶ月以降も出生児の健康を目的に葉酸のサプリメントを出産まで継続して摂取して方が良いでしょう。
ただし、その一方で、妊娠後期の人工葉酸サプリメント過剰摂取は出生児のアレルギーの発症リスク上昇に関連するという研究報告(3)がいくつかなされています。
そのため、継続する場合、厚労省が設定している食事以外のサプリメント摂取の上限量である1000μgを超えないように注意する必要があります。
文献)
1)JAMA Psychiatry. 2018 Jul 3. [Epub ahead of print]
2)JAMA Psychiatry. 2018; 75: 176.
3)Am J Epidemiol. 2009; 170: 1486.
棗参宝には
天然の黒棗から抽出した生体活性型の天然葉酸塩【6(S)メチルフォレート】を1カプセル当たり38.9μg配合しています。
妊娠を希望する女性、妊娠中の女性は
棗参宝1日6カプセル(6×38.9μg)=233.4μg
を摂取する事により
食事性葉酸平均1日280μg
+
棗参宝233.4μg=513.4μg
葉酸の厚生労働省1日推奨摂取量480μgを
生体活性のある天然葉酸塩6(S)メチルフォレートで満たせます。