今日はひたすら「地方議員の年金復活に“反対”」する為の議案や資料などを作成していました。


9月定例議会は委員会審議も終わり、通常ならば、後は閉会日の採決を待つのみとなるところですが、今議会はその閉会日に議会や世論を二分するような「地方議員の年金復活(厚生年金への加入)」に関しての議論が、正確には国に意見書(議会としての意思表明)を提出することについて、審議や採決が行われる可能性が高くなってきました。


私は議員年金復活なんて、断固「反対」に決まってますが、各議員の議員年金復活に対する「賛否」がわかることになります。


現在、国では与党を中心に かつて議員特権だと批判が強く2011 年に廃止された地方議員年金制度に代わる措置として、地方議員が厚生年金に加入できるようにする、地方議員年金を事実上復活させることが与党議員を中心に議論されています。


今年の統一地方選挙や参議院選挙などの影響を懸念し、昨年度は先送りしてきましたが、この秋の臨時国会からその成立に向けての審議等がいよいよ本格化すると言われています。


そんな中で、全国市議会議長会では 3 年前の平成 28 年から全国の各市議会に、「厚生年金への地方議会議員の加入を求める意見書」(議員年金復活に「賛成」)の提出の要請を行い、平成 31 4 月現在全国815 市区議会中、344 市区議会(全体の 42.2%)が賛成の意見書を提出しています。

一方で 471 市区議会(全体の 57.8%)と半数以下の議会が賛成の意見書の提出を見送っています。


こうした中で、安城市議会において最大会派(与党系議員)から「議員年金(厚生年金への加入)復活に“賛成”」の意見書を提出する方針がほぼ決まったとのこと。


まず、本音で言えば、議員年金復活の賛否の前に、「なぜ、今、わざわざ、敢えてこの議員年金復活を求める意見書を安城市議会として提出する必要があるのか⋯」

安城市議会にこの決定権があるわけでもなく、つまりは提出する意味や効果がほぼない中で、しかも多くの市民、世論が望んでいないことを、更には全国の半分以下の議会もこの問題に慎重になっている中で、なぜに、わざわざ、敢えて、議会や世論を二分してまで議員年金復活を賛成する意見書を提出するのか、その必要性、必然性を全く感じません。


私たちは議員年金復活に“反対”ではありますが、まずは反対の意見書を提出することより、賛成の意見書を提出するのをせめてやめないかと、何度も協議しましたが、どうやら意思が固いみたいで、提出の方向で調整されています。


こうした状況に対して、私たち議員年金復活に反対する議員としては、この議員年金復活賛成の意見書に断固反対しますが、ただ、単に出してきた案に反対するのではなく、積極的に私たちの議員年金復活を断固反対する理由や意思、姿勢を明確に示し、また市民の皆様にもこの問題を考えていただきご理解を得るためにも、


私たちとしても対案として、「新たな国民負担(税負担)が伴う厚生年金への地方議会議員の加入に反対する意見書」

つまり、議員年金復活に「反対」する意見書を提出することとしました。


9 20 日の議会運営委員会を経て、9 26 日定例議会最終日の本会議で議員復活の「賛成・反対」の相反するふたつ議案が議員提出議案として議案上程、審議、採決されることとなります。


正直、最善、最良だと思ってはいませんが、ただ、この議員年金復活に関する議論は国を中心に与野党間でも、また与党内でも賛否様々な意見や論議がなされ報道等もされていますが、


しかしながら、当事者でもある私たち地方議会議員の主張や賛否、意思や姿勢などはあまり報じられたことはなく、また公で開かれた正式な場である市議会おいて当事者である議員による議論はあまりされたこともなく、またこうした議員間の議論・賛否等などについて、市民に向けて発信されたことも報道されたこともあまりありません。


こうした中で、この議員年金復活に“賛否”相反する意見書が提出され、その中で賛否それぞれの立場で正当性など議論、審議されることで、市民の皆さまや社会にも改めてこの議員年金復活の問題を投げかけ、考えて頂く機会にはなるかと思っています。


同時に反対する私たちからすれば、市民からの「反対」の声があがることを期待しています。


そうした意味では、本意ではありませんが、必要なことかもしれませんし、こうなった以上は私としては、しっかりと議員年金復活反対を市民の皆さまにご理解頂けるように、筋や通り、論理的に訴えていきたいと思います。


是非、議員年金復活に反対のご理解頂ける方は世論形成のお力添えを頂きますと共に、自分が支持や応援してきた議員にも反対すべし、おかしいと強く働きかけて頂けたらと思います。

これが民主主義のひとつの姿です。


私が議員年金復活を反対する理由は大きくは4つあります。


1.新たな公費負担(市民・国民負担、税負担)が生じる 


厚生年金に加入させるということは、新たに事業主負担が生じることになり、事業主とは市であり、新たに公費負担(市民・国民負担、税金負担)が生じることになる。

安城市の場合、新たに年間約 2000 万円の公費負担が生じることになる。(元議員等の既存支給者の為に、すでに毎年約 6200 万円を議員共済会負担金として支出しており、その上に新たな公費負担約 2000 万円が生じることになる。)

厳しい財政状況にある地方自治体に事業主負担という、地方議会議員の為の新たな公費負担を生じるべきではない。(議員のために新たに税金を使うより市民福祉や市民サービスを優先すべき)


2.議員だけを特別扱い及び優遇することは許されない 


年金制度は、地方議員も国民と同じ制度のもとにあるべきであり、個人事業主・自営業者などは全て国民年金に加入し将来に備えている中、「非常勤」の地方議会議員だけを「特別扱い及び優遇」して、税金で半額負担される、厚生年金に加入させるべきではない。

そもそもこの問題は議員年金だけの問題ではなく、国民年金全体の問題であり、議員年金のあり方を検討する前に、国民が年金制度によって、より安心して暮らしていける制度設計を行うなど、年金制度の根本的・抜本的な改革を最優先し、そのあり方を検討・議論していくべきである。

3 3000 人の地方議会議員の事より、約 1500 万人いるとされる国民年金加入者のこと、国民のことをまず考えるべきであり、議員年金だけを特別扱いして優先するべきではない。


3.地方議会の人材の確保・なり手不足対策にならない 


地方議会議員の人材の確保やなり手不足対策は重要な課題ではあるが、居住要件や兼業禁止・制限の緩和など公職選挙法の改正や全国一律主義の見直しや地方議会においても休日夜間議会開催など議会制度や議会運営の見直しなど、地方議会に多様な人材が立候補や参加促進を図れるよう、各地方の実情や主体性に合わせた制度や議会運営に改めていくことなど、まず地方議会や議員の「自己改革」が重要である。

少なくとも地方議会議員を厚生年金に加入させることで根本的・抜本的に解決できるものでも、また優先されるものではない。


4.市民(国民)の理解が得られない 

今年 10 月から消費税が 10%に増税され国民負担が増える中で、既に廃止された議員年金が、上記のように、形を変えて復活させるようなことは、到底、市民(国民)の理解を得られるものではない。

私たち議員は本来、税金の使途や身分については率先して厳しい立場に立つべきである。


以上が議員年金復活に反対する大きな理由です。


他にも

・安城市議会はかつて議員特権と批判された旧議員年金制度について、旧制度が廃止された平成23 6 月の 1 年以上前の平成 22 3 月に「地方議会議員年金制度の廃止を求める意見書」を全会一致で可決しており、安城市議会としては本来、こうした復活反対の立場で扇動していくべき。


・全国市議会議長会の要請に対しても全国 815 市区議会の中で 42.2%と半分以下しか復活賛成(厚生年金への加入)の意見書を提出しておらず、また提出議会数も H28 年度 204 議会、H29 年度 123 議会、H30 年度 16 議会と減少するなど、各地方議会もこの議員年金復活に慎重になりつつある中で、安城市議会として今、敢えて復活賛成の意見書を提出する必要は全くない。


など、とにかくこうした反対する理由はいくつかありますが、どう考えても、公費負担が増え、議員だけを特別扱い、優遇する、この議員年金復活を賛成できるだけの説明や必要性は全くないかと思います。


926日閉会日はインターネットによる議会のLIVE中継がされます。


是非、賛否両方の主張や議論をお聞き頂けたらと思います。


一方で、明後日の議会運営委員会までには時間がまだありますので、こんな馬鹿げた、市民も誰も喜ばない議員年金復活賛成の意見書を提出しないことを願っています。


さて、どうなることやら。