『新たな国民負担(税負担)が伴う厚生年金への地方議会議員の加入に反対する意見書』

 

を「議員年金の復活に反対」する有志3名の議員提案で提出しました。

今日の議運を経て、9月26日9月定例議会最終日で、上程、審議、採決されることになります。

 


かつて公費負担割合が高いことから「議員特権」との批判をされていた地方議会議員の「議員年金」は、市町村合併に伴う議員数の大幅な減少により、年金財政が悪化し、制度の維持が困難になったことから、平成23年に「廃止」されました。

 

ところ近年、国会では与党を中心に、この廃止された地方議員年金制度に代わる措置として地方議員が厚生年金に加入できるようにするという、地方議員年金を事実上復活させることが検討され、当初は今年度の通常国会で法案を提出、成立を目指すところまできていました。

 

議員年金を復活させる主たる理由は地方議員の「人材の確保」「なり手不足解消」とされています。

 

私はこの地方議員の議員年金復活には断固として「反対」です!!

自分の政治信条、政治信念として断固として「反対」、認めるわけにはいきません。

 

反対理由も明快、明確です。

 

主な反対理由は3点そしてプラス1点です。

 



まず1点目は、地方議員を市の職員のように厚生年金に加入させるということは、事業主負担が生じることになります。事業主負担とは、市役所の負担。

即ち、新たに公費負担を生じることになります。

もちろん、公費負担とは、税金による負担であり、新たな国民負担(市民負担)が伴うことになります。

具体的に安城市の場合では、新たに年間約2000万円の負担が生じます。

厳しい財政状況にある地方自治体に事業主負担という新たな公費負担を生じさせることやもとより議員の為に新たに税金を支出するのではなく、市民福祉やサービスの向上等の為に優先して新たな税金の支出を充てるべきです。

 

 

更に言えば、議員特権と言われた以前の議員年金制度は廃止されましたが、元議員等の既存支給者への給付はこの先約50年続き、その公的負担累計総額は約1兆1,400億円にものぼる巨大な額となると言われています。


安城市でもこの元議員等の既存支給者の為の議員共済会負担金として、今年度でも約6200万円も支出しています。

この先も累計金額で単純な試算では約15億円程度必要とされる見込みです。


こうした状況の中で、新たに厚生年金に地方議会議員を加入させるとなると、更なる公費負担が必要となり、その原資はすべて税金であり、各地方自治体の財政運営に少なからず影響を与えていくことは明らかです。

こうした理由から、まず新たな国民負担、税金負担が生じることから反対です。

 



2点目は、そもそも年金制度は国民全体の課題であり、地方議員も国民年金や厚生年金という多くの国民と同じ制度のもとにあるべきで、会社勤めや公務員以外の個人事業主・自営業者などは全て国民年金に加入し将来に備えています。


そうした中で、「非常勤」の地方議会議員だけが税金で半額負担される厚生年金に加入するという、この地方議会議員だけを特別扱い及び優遇するようなことは断じて認めるわけにはいきません。

こんな議員特権、議員を優遇厚遇することを復活させてはなりません。


そもそも国民年金だけは議員が老後の生活が大変だと言われるならば、それは議員がどうこうの議論ではなく、国民年金全体の問題です。


国民の日常生活は依然として厳しい環境に置かれ、国民の多くが年金制度を始め将来への不安を抱える中で、議員年金のあり方を検討する前に、国民が年金制度によって、より安心して暮らしていける制度設計を行うなど、年金制度の根本的・抜本的な改革を優先しそのあり方を検討・議論していくべきです。


約3万3000人の地方議員の事より、1575万人いるとされる国民年金加入者のこと、国民のことをまず考えるべきであり、議員年金だけを優先し特別扱いするべきではありません。

  




3点目は、地方議員の人材確保、なり手不足について。

地方議会における多様で有為な人材の確保かとは思いますが、それは厚生年金に地方議員を加入させることで根本的・抜本的に解決できるものではありません。


そうした小手先にもならない姑息な手段ではなく、議員の人材確保の根本的・抜本的な解決策のひとつとしては、議員の住所要件の緩和、議員の兼業禁止規定の緩和など公職選挙法の改正や数千人の村議会のような議会と何百万人もの政令指定都市などの議会を全国一律主義で議論することを見直したり、また地方議会においても夜間休日議会を開催したり、全体の税金の支出が上がらない前提で、議員定数と議員報酬を再検討するなど議会運営を見直し、地方議会議員に立候補や活動しやすくなるよう地方の実情に合わせた制度や議会運営を改めていくことがまず求められていると思います。


少なくとも厚生年金に地方議会議員を加入させることで根本的・抜本的に解決できるものでも、また優先されるものではありません。

 



以上3点が議員年金復活に断固反対する大きな理由です。

 



そしてプラスワンが、こうした理由からも、すでに廃止された議員年金が形を変えて、地方議会議員を特別扱い及び優遇した厚生年金へ地方議会議員が加入するという議員年金を復活させるようなことは、到底「市民の理解を得られない」と思うからです。


税金の使途について率先して厳しい立場で臨まなければならない私たち地方議員が、こうした地方議員を特別扱い及び優遇した、そして市民から理解を得られない議員年金復活は断固認めるわけにはいかないと思っています。

 



今回、この意見書を提出した背景の一つとしては、安城市議会として私たちのこの想いとは逆に「厚生年金への地方議会議員の加入を求める」意見書が最大会派をはじめ主要会派から提出される動きがありました。


こんな民意とはかけ離れた意見書を安城市議会として提出させてはならないと抑止の意味や単にこの加入を求める(加入に賛成)意見書に反対だけをするのではなく、積極的姿勢として、明快、明確に議員年金復活の反対理由を示し、自分たちの議員年金復活を断固反対する意思や姿勢を示す意味でもこの議員年金復活に「反対」を提出することとしました。


ただ結果として、加入に賛成の側の様々な動きや考えの中で、結果、(加入に賛成)の意見書の提出は見送られました。

それだけでも、今回の私たちのこの意見書提出の意義はあったかと思っています。

 


そして提出したもう一つの理由としては、この議員年金復活に関する議論は国を中心に与野党でも、また与党内でも賛否様々な議論がなされ報道等もされていますが、


しかしながら、当事者でもある地方議員の主張や意見、また実情などはあまり論じなれたことも、また報道されたこともありませんし、公で開かれた正式な場である市議会でも議論されたことはあまりありません。


国においても賛否を二分するこの地方議員年金問題について、当事者でもある地方議員の賛否それぞれの主張や声、市議会での議論を行うことにより、改めて、国民・市民がこの議員年金復活の問題を考えるきっかけ、多くの国民・市民をはじめ社会に投げかけ、今後の議論に一石を投じることができればと意見書を提出することにしました。

 



この議員年金復活については国では、当初は、今年度の通常国会で提出、成立を目指していましたが、野党からの反発に加え、与党内においても小泉進次郎筆頭副幹事長ら若手が反対するなど賛否が分かれ、また国民の理解が得られていないなどの懸念で、通常国会への提出を見送りました。

 

国でも与党内でも二分している議論です。



安城市議会においても、誰が提出したとか、誰に従うとか、人の顔色を見るのではなく、また反対ありきの揚げ足を取りの議論ではなく、会派拘束などせずに、議員各自の政治信条、政治信念に基づいた、良識や見識を持った、そして子どもたちにも誇れるような、そして真に市民の代表者としてふさわしく誇れる議決行動をすることを切に望んでいます。

 


議会最終日の模様はライブでネット中継も、そして録画中継もされる予定です。

どんな議論となり、それぞれの議員がどんな行動、議決をするのか。

是非、ご覧頂ければと思います。