中小企業の知的資産経営と災害対策・BCP

中小企業の知的資産経営と災害対策・BCP

強みを見える化して活かす「知的資産経営」と、災害対策やBCP策定をご支援しています。

経営資源に限りがある中小企業は、自社の強みを認識・見える化して、それを活かした経営が大切です。これを「知的資産経営」といいます。
しかし、いくら順調な経営を進めていても、突然シャットダウンに追い込まれることがあります。それが大地震や風水害、新型ウィルスなどの災害です。ここを乗り切るには「事業継続力」が大切になります。

【小規模事業者でもできる災害対策BCPセミナー】

 

3月13日に、東京商工会議所荒川支部でBCPセミナーを行いました。今回は特に小規模事業者でもできることにスポットをあてました。

 

小規模事業者とは法律では、従業員5人以下の商業・サービス業、20人以下の製造業・その他の事業者と定められています。株式会社などの法人よりも個人事業者が圧倒的に多いです。特徴としては、家族経営、職住近接(職場と自宅が近いまたは同じ)があげられます。

最近では程度の差こそあれ、備蓄等の家庭の災害対策の関心が高まってきていますよね。そこで小規模事業者では、まず家庭の災害対策を見直した上で、タイムライン型で見える化することをお勧めします。

そこに、事業の要素を加えれば事業者としての計画になります。事業の要素は次の4つで考えます。

  • 従業員とお客様を守る (ヒト)
  • 設備や商品を守る(モノ)
  • 情報を守る(情報)
  • 資金繰りに注意(カネ)
「うちは個人経営だから」とあきらめずに、できることをやることで、被害を少しでも小さくし、早期の事業再開ができるようにしましょう。
 

【千葉県商工会議所連合会主催  経営指導員向けBCP講習】

 

2月26日に、千葉県商工会議所連合会主催の、県内各商工会議所の経営指導員の方向けに、「BCP研修」を行いました。

 

千葉県内では「千葉は災害が少ない」と思っている人が多いそうで、中小企業者の災害対策意識は低いそうです。確かに地形的には大地が多く東京東部に比べて水害リスクは低くまた地盤は比較的揺れにくく、かといって山地でもないため土砂災害リスクもそれほど高くないと言えそうです。しかし、2019年の台風15号による房総半島の強風被害は甚大なものでしたし、太平洋側の地震による津波リスクなどもあり、決して安心していい地域とは言えません。何よりも日本列島のどこでも大災害が発生する可能性があることは、能登半島地震が示しています。珠洲市の30年以内の震度6強以上地震の発生確率は0.1%とみられていました。災害は自然現象であり、決して確率等の数値だけで判断してはいけないものです。

 

講習の最後には、僭越ながら、県内中小企業の支援者である各商工会議所及びそこの経営指導員の方々にどういう支援をしていただきたいかを提案させていただきました。基本的には次の4ステップを段階的に進めるというものです。

ステップ1:災害を認識

ステップ2:防災対策を実行

ステップ3:計画に見える化

ステップ4:PDCA

 

ステップ3がBCP策定等にあたりますが、BCPを作りましょうといってもハードルが高いと考える事業者に対しては、「災害対策TO DOリスト」を作ることをお勧めすると良いと思います。ステップ2まででやるべきことを洗い出し、それらをいつ誰がやるかをTO DOリストという形で見える化する。これもりっぱな事業継続のための計画と言えますね。

 

 

元旦に発生した「令和6年能登半島地震」について、1月4日時点での災害の概要をまとめて論評したいと思います。

 

【発生時刻】

1月1日16時10分が本震ですが、この4分前に中程度の地震が発生しています。2回目の地震が本震だったのは、熊本地震と同じパターンですね。

 

【マグニチュード】

地震の大きさを示す指標ですが、M7.6でした。これは阪神淡路大震災、熊本地震のM7.3を上回る強さです。

 

【震度】

震度はマグニチュードと震源からの距離、土地の揺れやすさ等によりますが、石川県で最大震度7を記録しました。そのほか、本州のほぼ全てと四国、九州まで震度2以上を記録し、非常に広域に揺れたことがわかります。私の住む神奈川県は2〜3でした。

 

【地震活動】

1月3日10時54分時点で、震度1以上を観測した地震が499回発生しました。

震度7:1回 震度5強:6回 震度5弱:6回 震度4:24回 震度3:80回 です。

余震が非常に多い地震です。

 

【その他関連災害】

津波、土砂災害、液状化、火災が全て発生。

津波は北海道から九州まで広い範囲で発生しました。一時は能登半島に大津波警報も発出されました。大津波警報とは、津波の最大波の高さが高いところで3mを超える場合に発出される、最も危険な警報です。液状化や、木造地域の広域火災も発生しました。

 

令和6年能登半島地震は、規模も範囲もたいへん大きな地震になりました。また、沿岸部、山間部、都市部でおこりうる関連災害が全ておきてしまいました。

このような歴史的な災害が2024年元旦におきたことには、偶然とはいえ驚きを隠し得ません。

 

首都圏の私たちとしては、一人ひとりができる範囲の被災地支援をするとともに、引き続き、首都直下地震、南海トラフ地震に、家庭、職場ともに準備をしていきましょう。

【防災さんぽ】

 

(一社)東京都中小企業診断士協会城東支部の研究会「ビジネスリスク研究会」で、2023年11月26日に、「防災さんぽ」というイベントを行いました。

これは、地域の町会を対象にして、首都直下地震などの大災害があったときに、避難所に向かうなど地域内を移動する際の危険箇所などを探すさんぽです。町会の地域内と、避難所から具合の悪い人を病院に連れて行く道を歩きました。

町会は渋谷区代々木2丁目南町会です。小田急線南新宿駅の西側の東西約250m、南北約310mの比較的小さな町会です。

普段はなにげなく歩いている道でも、地震で被害が出ていて、またいつ余震があるかわからない状況では、またお年寄りや具合の悪い人と歩くには、危険かもしれない箇所がたくさん見つかりました。
それらを1枚の地図上に記した「防災さんぽマップ」にまとめました。

このイベントは、東京都の「地域の底力発展事業助成」という助成金を申請することによって、町会側の自己負担なく行うことができます。

さんぽの様子と「防災さんぽマップ」は以下からご覧いただけます。

 

渋谷区代々木2丁目南町会防災さんぽ

 

 

物流2024年問題セミナー

 

全日本紙製品工業組合、協同組合東京紙製品工業連盟にお招きいただき、「物流2024年問題セミナー」をさせていただきました。

2024年問題は、トラック運送業の問題だけでなく、運送を委託している荷主企業側の物流問題です。

トラック運送業と荷主企業は、当然ながら利益が相反する部分があり、荷主となっている企業の方々に何をお話しすべきか最初は悩みましたが、結局トラック運送業の経営実態や長時間労働になる理由を荷主企業に正しくご理解いただき、トラック運送業の経営者とコミュニケーションをとっていただくことが、両者協力して解決に向かう第一歩と考え、そのような内容で90分間お話しさせていただきました。