https://www.youtube.com/watch?v=yAopLJ5_sdQ
「え! 何でこうなるんだ・・・」
農協(JA)からの通知に
夫は思わず 絶句する
毎年 がんばって1等米を作って来た夫
それが 今年の米は
信じられない結果だったのだ
まさか 3等米とは
原因は籾の混入があったためと
書かれている
それには 思い当たる事があった
夫が仕事の日
義弟と長男が 籾摺りをしてくれたのだ
きっとその際の機械の設定が
微妙に 適切さを欠いていたのかもしれないと
けれども 精米した新米は
いつもと同じ味だった
味に 問題はない
そして 籾だって混じってはいない
2等米ならまだしも
3等米とは あんまりだ
値段も ぐんと下がる
2年前に胃癌の手術をした夫は
体力も万全ではないのに 精一杯
米作りに励んで来た
米作りに関わる畦草刈りや
諸々の仕事を ふらふらする体で
がんばって来たのだ
それが 最後の籾摺りの段階で
水の泡に帰すとは
ショックに打ちひしがれている夫に
私は言った
「あの時 お父さん(夫)がいたら こんなことにはならなかった」
夫は「そんなことは言うな 弟たちもがんばってやってくれたんだから」と言う
けれど 私は口惜しかった
そんな私に「検査員も若かったかもしれんな。これは検査員の考えひとつだから」
と言うのだ
今度は こんな成績をつけた検査員が憎くなる私
昨年の農業収入は 農協に苗代やら
肥料代など必要経費を落とされて
残金は わずか5000円になっていた
1等米となってもである
その上 高額な機械代のローンもある
何のための米作りなのか
泣くにも 泣けない気持ちである
私は夫が 田で働くのを
遠くから 見守るしか出来ないのだが
こんなに 収入の見込めない農業など
もう見切りをつけて
夫にはもっと体を休めてほしい
けれど 夫はきっと
来年も 田で汗して働くに違いない
日本の米作は
もっと 夢を持てるものであってほしい
せめて 労苦が報われるように
私たちは まだ
農業収入を 財布に入れたこともない