https://www.youtube.com/watch?time_continue=29&v=WFHyLYGqgtk
その日 いつもと変りなく
一日は始まるはずだった
そして 平凡な一日が
終わると 当然のごとく信じていた
しかし 早朝
夫の体調異変で その日常は
打ち破られた
一刻も早く 大学病院へ
救命救急センターに行かなければ
点滴 検査
夫は入院となった
なぜ・・・と言う思いが駆け巡る
あまりにも 突然だった
胃癌の手術後 少しずつ
やっと ここまで元気になったのに
夫よりも 私の方が落胆したかもしれない
病院に 飾られている
クリスマスツリーを
虚ろな気持ちで 眺める私
そんな私の耳に
飛び込んで来た 言葉があった
「今 亡くなりました。家内です。
49歳です・・・。」
それは 葬儀社に依頼するために
妻を亡くした男性が 電話をしていたのだった
そばには すすり泣く
娘さんらしい 若い女性
深い悲しみが 伝わって来た
夫の病室に戻ると カーテンで仕切られた
向かいのベッドから 医師の声がする
「さっきも言いましたが あなたは肝臓癌で
手術は出来ないので 抗癌剤治療を行います」
こんな重い宣告を ひとりで受けている患者さん
どんな心境で聞いているのだろうか
他人事とは 思えなかった
その時 1人の患者さんが
点滴スタンドを押して
トイレに行こうとしていた
フラフラと 危ない足取りだった
思わず 一緒に行きましょうと
その方の体を支えながら
トイレの行き帰りを 付き添った
もう 私は夫の入院に
落胆など してはいられなかった
もっともっと 大変な状況の人々が
ここには たくさんおられると
わかったから
クリスマスを前に
わかったこと
それは 平凡な毎日を
送れることの すばらしさ
それこそが幸せなのだと言うこと
そして 夫の存在のありがたさを
今 心から感じている
仕事が終わって 夫のもとに急ぐ私の心を
医大玄関前のクリスマスイルミネーションが
温めてくれる
でもその光は せつなくて
見つめていると 胸が震えて来る
ここは たくさんの命が
懸命に 生きようとし
そして 先進医療で命を救おうと
24時間 力を尽くしている所なのだから