母が入院している間に 少しでも
実家の庭を きれいにしておこうと
昨日も 今日も草取りをしに行く
いつも 草が 草が・・・と気にしていた母
退院して 帰った時
伸び放題の草に
ガッカリさせたくなかった
草を抜きながら 考えるともなく
頭の中に 最近よく聞く
不穏な言葉が 浮かんで来る
「有事」「偶発的暴発」「不測の事態」・・・
賑やかなセミの声が
Jアラートの音に
変わるかもしれない不安に
脅えながら ひたすらに草を抜く
思えばこの頃 空は青くても
明日の事を 明るく考えられない毎日だ
じわじわと 不安と恐怖が
押し寄せる日々
1年先 1か月先さえも
予測がつかない
私は草を 1本1本
手で抜いていたが
今日は 弟が草刈り機を
ブンブン言わせて あっと言う間に
大量の草を きれいに刈り取った
それを見て 心に「民草(たみくさ)」という言葉が浮かぶ
私たち人間は 時代の巨大な潮流の中では
何の力も持たない 無力な
この草のようなものではないのか
流れは為政者の手に ゆだねられ
しかも それぞれの言い分は
複雑な事情を含み 到底一致は難しい
もしかすると もしかしたら・・・
覚悟をしておかなくてはならない時が
来ているのかもしれない
けれど 奇跡も起こるかもしれない
最後まで あきらめずに祈らなければ
為すすべもない「民草」に
出来ることは 祈ることのみなのだから
その祈りは 未来を生きる
子供たちのために 捧げよう
必ず 平和な世界が訪れますように
祈りながら 黙々と草を抜いた
帰路の夕焼け