自然界は今 どこもかしこも忙しい
冬に封印されていた 命の営みを
急テンポで 展開し始めた
春の扉は 全開に開け放たれた


花々も咲かずには いられない
長い冬を耐えながら それだけを
夢見て来たのだから
裸木となって 寒風にさらされていた桜
かたい蕾が膨らんで 花びらを見せ始めている
ひとつ またひとつと
花が満ちていく

もうすぐ 咲き揃ったチューリップの
祭りが行われ 人々は
春の喜びを 分かち合う

川辺には菜の花
春風と 波光と
戯れている

遠く大山だけが 幾筋かの雪の帯を残し
冬をむなしく 死守している