無から有 有から無
舞台にファンタジックに雪を降らす
水の色を変え 水の中から乾いた砂を取り出す
信じられない奇跡の連続
目の前で繰り広げられる数々の魔法
それは 弱冠21歳の青年による
すばらしいマジックだった
原大樹（ひろき）
彼が 世界マジックコンテストで
最優秀賞に輝いたのは19歳
5歳の時に 井の頭公園で見た
ピエロのマジックが 彼の未来を決めた
「マジシャンになる」
それから 彼のたった１人での
努力の日々が始まった
そこは 日本の秘境地奥熊野だった
大樹君は 私がかつて2年続けてお邪魔した
奥熊野の十津川に住むヒデさん よりちゃんの三男である
大自然の山ふところで
大樹君は母のサポートを受けながら
独学でマジックを研究し
１日に10時間近くも 練習する毎日
その道のりには 苦しい事もどかしい事が
どんなにか たくさんあったことだろう
だが その努力が実ったことを
目の前で実証してくれた
感動にあふれたマジックショーだった
観衆を楽しませ 惹き付けた
終わった後 ホールでは彼の回りに
大勢の人が集まっていた
あっと言う間に たくさんのファンが生まれていた
ご両親と撮った写真を 渡そうと見計らっていたら
突然 目の前に大樹君がやって来て
「ありがとうございました」と握手をしてくれた
驚いて 写真を手渡すだけで精一杯だった
彼はあっと言う間に 扉の向こうに消えた
立ち去らない客から 逃げ出す途中の出来事だった
私達には楽しい時間だったのと裏腹に
彼にとっては 失敗の許されない
緊迫で張り詰めた時間だったのだ
マジシャンは 絶対に失敗が許されない仕事なのだ
大樹君は 心身ともにクタクタだったに違いない
会場からの帰路 目の前に
大きな赤い満月が 浮かんでいた
ありがとう 大樹君
あなたから たくさんのメッセージを
しっかりと受け取りました
これからも 一ファンとして応援します
これは原大樹君のマジックショーを観に行った5年前の思い出です。