https://www.youtube.com/watch?v=BCwysQU94Y0
ハーブ園を散策中 心惹かれる花と出会った
うつむいて 遠慮がちに咲く臙脂(えんじ)色の花
茎や葉は まるで産毛のような柔らかな毛で覆われている
雨上がり 細かな水滴を全身に浴びて
キラキラと輝いていた
きっと ポピーの一種なのだと思った
園内だけでなく 沼に続く斜面にもたくさん生えていた
初めて出会ったその花は ひっそりと無言だけれど
私の心に 何かを訴えかけて来た
ハーブ園のオーナーに 何株か分けてもらいたいとお願いした
いつもはどんなに綺麗な花でも 見るだけで満足だった
でもなぜかその時 そんな気持ちが起こった
その花の名はオキナグサ(きんぽうげ科)
花の後の綿毛が 翁の白髪のようなことから
その名がついた
さらにオーナーは教えてくれた
オキナグサは 絶滅の危機に瀕している山野草で
今 増やしているところなのだと
オキナグサを スコップで掘って
牛蒡のように長いその根を 傷つけないように
土をつけたまま 託された
「命を託された」と私は感じた
「日当たりの良い砂地に植えて 水や肥料はやらないこと」
その言葉を思い出しながら 庭の粗い砂地の所に植えた
もう後は 見守るだけである
来年 こぼれ種から
たくさんの芽が出てくれるのを 楽しみに待とう
そして 少し大きくなったら
自然の中に帰してやろう
命をつないでほしい と願いながら
ネットでオキナグサを検索したら、大好きな宮沢賢治の作品にも「おきなぐさ」があるのを知りました。