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暗黒の闇に包まれた清水山
小さな行灯が 参道の両側に並び
ほのかな光で 行く手を照らしてくれる
灯りを頼りに 人々は
神仏の前へと 歩を運ぶ
静寂が支配している
人々の話し声さえも
大いなる闇が 吸い取ってしまう
1日の半分を 司っていた光は
闇に支配権を渡して
優しく 美しい脇役に徹している
思わぬ散歩に大喜びで
石段を上がっていた愛犬が
突然 立ち止まり 歩行拒否の体勢を取る
愛犬は巨大な闇の神域に 何ものかの気配を感じ
畏敬の念が生じたのだろうか
ライトアップされた 荘厳な三重塔が
眼前に 姿を現す
その石段の下 般若の池では
願い事を書いた灯篭が 浮んでいた
風が吹くたびに 灯篭は池を滑った
刻々と時は刻まれ
私たちが降りる先の光が
ひとつ またひとつと消えていく
闇はいよいよ深くなる
小さな光たちが 私たちを
案内してくれたのだ
光と闇の織り成す 妙なる世界へと
注 ここに書いた「清水寺」は京都のお寺ではなく、島根県安来市のお寺です。