真っ白な華が咲いた
雪なのか 花なのか
とまどわせるくらい冬らしい華だ
寒さの中で潔いほど白く咲く
親しい友から
もうすぐ遠くに引っ越して行くと告げられた
１５年間 わかり合い
信頼し合って来たかけがえのない親友だった
哀しみに似た寂しさに包まれた
大きな存在を失う気がした
ヤツデの華にその哀しみを打ち明けた
ヤツデは黙って聞いてくれた
そして雪のように白い華は 一言
「耐えなさい」と言ってくれたように思えた
雪が華の上に舞い降りても
華はじっとその冷たさ 重さに耐えている
人生にも 耐えるべき時はあるのだと
ヤツデの華は教えてくれた