なぞなぞの著作権インデックス


基本的に、
なぞなぞには著作権はないのですが、
それでも、
定番なぞなぞや、
偶然似てしまった単純ななぞなぞについて
「自分の著作物だ」
「著作権侵害だ」
と強固に主張して、
不当な要求が突きつけてくる、
KYなぞなぞ作家のような悪質かつ異常な人間が、
ごく少数ですが、この世界には存在します。

いざその時になっても
決して慌てることのないように、
「著作権侵害」についても、
完璧に理論武装しておきましょう。

それに、
「著作物」として認められ、
「著作権」で保護される可能性のあるなぞなぞも、
非常に稀少ですが、
決して無い訳ではありません。

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【著作権が認められる可能性があるなぞなぞ】

a) 長文なぞなぞ(最低でも40文字以上)

  長ければ長いほど、
  それだけで著作権が認められる可能性が高くなり、
  短いければ短いほど、
  創作的表現が含まれることが求められる。

b) 「創作的に表現された」なぞなぞ

  定番なぞなぞや、
  誰でも思いつけるようななぞなぞ
  ではなく、
  高度な創作性が認められるようななぞなぞ。
  通常は、結果的に長文になる。

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自分がせっかく作成した、
「著作権が認められる稀少ななぞなぞ」が、
他人によって、
いつ著作権侵害されるか分かりません。
「著作権侵害」について、
知識を持っていて損はないでしょう。


なお、
「要件」とは、簡単に言えば、
「必要な条件」(=必要条件)のことです。

著作権侵害だと認められるには、
1)著作物であること
2)主張する人が著作権者であること
3)「類似性」が認められこと
4)「依拠性」が認められること
少なくとも、
これら4つの要件をすべて満たす必要があります。

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1)著作物であること

  「著作物」であるかどうかを判断する基準については、

  「1.なぞなぞに著作権はあるか?
  
  を参照してください。

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2)主張する人が著作権者であること

  かりにそれが著作物であっても、
  著作権を有しない人が、
  「自分の著作物」だとして、
  著作権侵害を主張することはできません。

  著作権を侵害されたと主張される著作物が、
  著作権を侵害されたと主張する人物の著作物である
  ことが必要です。

  著作権侵害を主張する人は、
  「自分が著作権者であること」、
  つまり、
  ・自分の著作物である(自分が著作権を持つ)
  ・自分の創ったものが最初(オリジナル)である
  と証明する義務があります。

  ※TPPによって、近い将来
   本人以外でも著作権侵害を訴えられるようになる
   =非親告罪化する
   とのことですが、
   ここでは、
   著作者を侵害されたと主張する本人が
   訴えている場合
   を論点にしています。


  著作権法 第二節 適用範囲 第六条において、
  「保護を受ける著作物」の適用範囲について
  次のように定められています。

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第六条
 著作物は、次の各号のいずれかに該当するものに限り、
 この法律による保護を受ける。
一  日本国民
  (わが国の法令に基づいて設立された法人及び
   国内に主たる事務所を有する法人を含む。以下同じ。)
  の著作物

二  最初に国内において発行された著作物
  (最初に国外において発行されたが、
   その発行の日から三十日以内に国内において発行されたものを含む。)

三  前二号に掲げるもののほか、
   条約によりわが国が保護の義務を負う著作物

http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S45/S45HO048.html

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  本来、著作権とは、
  著作した時点で発生するものです。

  しかし、
  著作権侵害が争点となる場合は、
  いつ著作されたものであるかが重要となり、
  いつ著作したものであるかを証明できない場合は、
  いつ発行(=公開)されたものであるかが
  重要になります。

  発行日が明らかであるという点において、
  書籍・雑誌や放送によって発行(公開)された場合が、
  最も正確性と効力を持ちます。  
  いわゆる、
  「タイムスタンプを保持している」
  ということです。

  いくら先に作った著作物であっても、
  それを発行(公開)しないでいるうちに、
  類似の著作物が発行(公開)された場合、
  それが「窃盗」「コピー」「模倣」であることが証明されない限り、
  著作権侵害を訴えることはできません。

  一方、WEBサイトやブログの場合は、
  後でいくらでも修正が利くので、
  たとえ発行日が記述されていたとしても、
  証拠にはなり得ません。

  WEBサイトにアップした時点で、
  当日の新聞と並べて写真を撮る
  というような物理的証拠が必要です。

  パソコン内に作ったファイルに日付がついていたとしても、
  それをネットにアップロードした証拠がなければ、
  意味がありません。

  パソコン内のファイルの場合、
  ファイルの日付が改変・改ざんされていない
  という証明も必要です。

  また、
  仮にその日付が改変・改ざんされていないとしても、
  「発行日(公開日)が不明」
  というのは不利となるでしょう。

  また、
  仮にその日付が改変・改ざんされていないとしても、
  「ネットへの発行日(公開日)が不明」
  ということは、
  自分の作品がオリジナルであることや、
  他人からの著作権侵害を主張する上で、
  不利となるでしょう。

  一方、ネットにおいても、
  ツイッターのように、
  自動的にタイムスタンプを取得し、
  発行日を修正できないような仕組みがある場合は、
  その媒体に投稿した文面や画像に関する限りは、
  発行(公開)の証拠になり得ます。

  それでも、
  WEBサイトやブログの更新の告知とリンクだけでは、
  具体的な内容を記述できていないので、
  発行日の証拠としてはあまりにも弱すぎます。
  WEBサイトやブログ側の記述は、
  いくらでも修正がききますから。

  たとえば、KYなぞなぞ作家は、
  「問題をWEBサイトに掲載する際に、
   事前にネットで検索して、
   類似問題が見つからない時だけアップしている」
  ということを、
  自分のWEBサイトのなぞなぞがオリジナルである根拠
  だとしていますが、

  既存に出版されてる本や雑誌については、
  チェックしていないのだから、
  それだけで「オリジナル」だと主張するのは、
  根拠として非常に無理があります。

  また、
  ネット検索の方法に不備があって、
  検索結果に表示されなかった可能性や、
  単なる見落としの可能性があることも
  決して否定できません。

  文面が微妙に違うだけで、
  検索エンジンにヒットしないことがあることは、
  多くの人が経験していることでしょう。

  ファイルをアップロードしても、
  検索エンジンによって検索されるまでに、
  十日から二週間もかかることもあります。
  つまり、発行(公開)してから、
  タイムラグがあるのです。

  しかも、HTMLファイルのメタタグに
  「noindex」という指定をすることで、
  Google等の検索エンジンで、
  ネット検索できないようにすることも可能です。

  実際に私は、
  簡単にコピーされたくないなぞなぞについては、
  このような設定にしています。

  つまり、
  「ネット検索で類似のものが見つからなかった」
  というのは、
  オリジナルである証明にはまったくならないのです。


  以上から言えることは、
  もし、オリジナルであることを担保しておきたければ、
  創作したらすぐに、
  タイプスタンプが取得できる形で、
  公開しておくことが不可欠だということです。

  同人誌や自主出版でいいから、
  とにかく発行(公開)しておく。

  あるいは、
  修正の利かないWEB媒体(ツイッター等)に投稿しておく。

  ツイッターの場合、
  140文字を超える文章でも、
  画像やpdfファイルとして投稿することも可能です。
  (ツイッターの文字数制限は、
   2016年中に大幅に緩和される予定です)

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3)「類似性」(=高い類似性)が認められこと

  そもそも、
  類似性が低ければ、
  つまり、
  あまり似ていないのであれば、
  著作権侵害にはあたりません。

  ところが、
  類似性の判断自体が、結構難しいのです。
  なぜなら、人によって、
  「似ている」「似ていない」の判断結果は、
  だいぶ異なってくるからです。

  何かのパクリ疑惑問題が起きると、
  かならずと言っていいほど、
  テレビの報道番組で
  「似ている」「似ていない」の街頭アンケートをしますが、
  たいてい意見が分かれることが多いのも、
  そのためです。

  類似性が多少あるもの同士を比較した際、
  「似ている」という先入観が少しでもあれば、
  似ているように見えてくるし、
  「似ている」という先入観があまりなければ、
  それほど似ているようには見えないものです。  

  従って、
  類似性のチェックを行う際は、
  主観をなるべく無くし、
  客観的に判断することが不可欠です。

  そのためには、
  「意味」や「意図」という主観的要素
  の類似性ではなく、
  「外見」「見た目」という客観的要素
  の類似性のみに、
  着目します。

  つまり、
  同じ言葉や表現が、
  どれだけの頻度で含まれているか
  という観点で類似性のチェックを行うのです。

  これならば、
  「個数」という客観的な指標
  で表示することが可能になります。

  また、文章の場合、
  なぞなぞのような短文であればあるほど、
  表現の範囲が狭まるので、
  「偶然の類似」が発生する可能性が高くなります。
  
  特に、なぞなぞのように、
  同じアイデアを元に作れば、
  似たような問題文が出来上がってしまう場合は、
  類似性が高くなるのは当然です。

  ですから、
  通常の短いなぞなぞの場合、
  類似性のチェックは、
  本来はあまり意味がありません。
  (だからこそ、
   なぞなぞは「著作物」とは認められないのです)

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4)「依拠性」が認められること

  「依拠性」とは、
  それを作成するに当たり、
  元となるものを模倣したかどうか、
  ということです。


  たとえば、
  書籍やWEBサイトの場合ならば、
  次の3つの観点から、
  依拠性の有無が判断されます。

  ① 元となる書籍を所有しているか?
    元となるWEBサイトのファイルを所有しているか?
   (※所有している事実の証明が必要)

  ② 元となる書籍やWEBサイトを閲覧したことがあるか?
   (※閲覧したことがある事実の証明が必要)
  
    a) 同じ学校、職場、サークル等に所属している
     というように、
     閲覧の可能性が高い場合。

    b) twitter、Facebook、InstagramなどのSNSにおいて、
     「いいね」をしたり、共有したりしている場合。

    ※なお、単に
     「ネット上に掲載しているから、
      目にした可能性がある」
     というのでは、
     根拠が薄いので、依拠性の証明にはなりません。

  ③ 元となるものを模倣をしなければ、
    作成することは不可能であろう、
    と確信できるだけのオリジナリティ(独創性)が、
    元のものにあるか?
   (※所有・閲覧の事実有無に関係なく)

  しかし、
  ①の証明は、
  内部関係者の協力がない限り、難しいでしょう。  
  ②は、ある程度客観的に判断がつくでしょう。
  ③は、人によって評価が分かれるでしょう。

  「依拠性があること」を証明するのは、
  ②の場合を除けば、案外難しそうです。


  なお、
  意外に思われるかもしれませんが、
  著作権法では、
  「偶然、類似したものができてしまった」
  という場合については、
  著作権侵害とは見なしていません。

  著作権法の目的は、あくまでも、
  創作活動の進歩発展を推進すること
  にあります。

  「意図的な模倣」という不正行為は、
  著作者の権利と利益を奪い、
  創作活動を妨げてしまう。
  だから、法律で規制しているのです。

  創造活動においては、
  たまたま同じアイデアを思いつけば、
  結果として類似した作品ができてしまう
  ことがよくあります。

  もし、「偶然の類似」を禁止してしまうと、
  自由な創造活動をかえって妨げる
  可能性が高くなります。

  著作権法の考え方としては、
  「意図的な模倣」が証明できない場合は、
  「偶然の類似」については、
  「著作権侵害ではない」と見なします。

  また同時に、
  この「偶然の類似作品」も「著作物」として扱われ、
  「著作権」も発生することになります。

  なお、特許権法においては、
  単純に特許申請日の早い方にだけ、
  特許権の独占が認められています。

  特許権法と異なり、
  「偶然の類似」を認め、
  権利侵害として扱わず、
  双方に使用する権利を認めるのが、
  著作権法なのです。

  著作権法の目的は、
  創作活動の進歩発展を支援することです。
  過剰な権利独占を認めないのは、
  それが自由な創作活動を妨げるからです。


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 【備考】

  特になぞなぞのように、

  同じアイデアを元にすれば、
  ほとんど似た作品(問題文)ができてしまい、
  そのアイデアにしても、
  偶然似たアイデアを思いつく可能性が高い分野
  については、

  「偶然の類似」の可能性を否定すること、
  つまり、
  依拠性を主張し証明すること
  は非常に困難です。

  すなわち、
  著作権侵害を主張すること困難だ
  ということです。


なぞなぞの著作権インデックス