まえがき

タナゴ釣りに関していうと、昨年と、二年目の今年と、二期にわたって取り組んでみた結果を、初心者なりにレポートにまとめて掲載しようと計画していたが、ゴールデンウィーク前くらいから新型コロナウイルスの感染拡大によって県境を跨ぐ不要不急の移動がしづらくなったため、この計画については断念ぜざるを得なくなった。
だから、二期目の今年は香川県内の小渓流、小河川、小貯水池に出かけて行き、オイカワ、アブラハヤ、タカハヤ、ヨシノボリ、カダヤシ、コブナ、ブルーギル、エビ類などを釣って日々の慰みとしている。
こう書くと、「タナゴは釣らないの?」という声がすぐさま聞こえてきそうだが、香川でタナゴを釣ると県条例違反になるらしい。べつに調べもしないが、そうだというなら、釣ったり捕ったりしてわざわざ揉めることもあるまい。
こういう経緯から本編には、去年、タナゴ釣りの聖地として名高い徳島の農業用水路や野池で釣りをして得た体験談のみをレポートにして掲載することにした。

 

タナゴ釣り

私がタナゴ釣りをはじめたのは令和2年の四月からである。
釣り仲間の男爵こと三木一正が、あるとき和竿を手作業で仕上げていく職人のその丁寧な仕事ぶりと仕上がりの美しさに感銘をうけ、その後も似たような映像をインターネットで検索して観ていたところ、次のようなことが明らかになった。
「伝統的竹製の継ぎ竿には用途別に長さや強さのちがったものが用意されており、そのなかでも繊細の極致ともいうべきは水郷でタナゴを釣るための小継ぎ竿である。釣りに用いる仕掛けも独特かつ繊細精緻で、名工の手になる作品だと、竿、仕掛け等一式で数十万円はくだらない。むろん、上は天井知らずで、一桁上の価格帯の特注品もある」
このタナゴ釣り。古くは武士、あるいは富貴な商家の旦那衆のたしなみの一つであったそうだが、そう聞かされても、なお、「なんだかなぁ」と私は気乗りがしなかった。
極彩色のタナゴといっても雑魚に変わりはない。だから、「あんな小さい川魚を短い竹の竿と仕掛けで釣って何がおもしろいというのか。酔狂がすぎる」そんな気持ちでいたが、男爵のタナゴ熱は相当なもので、途中で話の腰を折るわけにもいかなかった。
すでに男爵は竿や仕掛けや餌まで購入していた。
その竿は五尺くらいの長さで二万円ほど。何を揃えていいかわからないので、仕掛けと餌も適当なものをみつくろってもらい送ってもらったのだという。「その竿は趣味家の手に成る新品で、何本かがネット通販に出品してあった。値段が決まっていて、即買いできるのも気に入った」と男爵は満更でもなさそうだった。
まぁ、そのくらいの値段ならと購入を即座に決めたそうだが、届いた商品の出来映えの素晴らしさに驚いて、私に連絡して来たというのが真相であった。
「それで届いたのがこれか」と私は男爵が袋から出して渡してくれた竿を手に取って眺めた。
「ちょっと継いでみるかい」と男爵がうながした。
「そうだな」
返事はしたものの私が継がずにいると、男爵が慣れた手つきで継いでくれ、軽く振って撓りぐあいを愛でたあと、「どう思う」と言ってふたたび私に竿を持たせた。
細身で短い竿は見慣れぬ私にはおもちゃのように映らなくもないが、張りが強いのには驚いた。それでも竹独特の粘りある調子が気に入ったので、「タナゴって、のんびりと川に向かって糸を垂れているイメージが強いけど、あんがい積極的に掛けにいく釣りのようだな」と素人ながらに感想を述べると、「その積極的に掛けていく釣りだが、そいつを楽しもうにもどこへ出かけて行けばいいか皆目見当もつかん。誰か詳しい者を知らんか、できれば手引きしてほしい」と男爵は私に骨を折ってくれよと言わんばかりの懇願ぶりであった。

タイリクバラタナゴはオカメと呼ばれ関東で人気が高い

 

デーブ鎌田も竹竿を愛用している

 

ワクワク感を胸に仕掛けの準備にとりかかる

 

竿と仕掛けなどを入れたバッグ

 

四月初旬。樹の芽がみずみずしい

 

数釣りのできるタイリクバラタナゴはビギナーにもってこい

 

男爵はお気に入りの竹竿で初挑戦

 

尾崎もタナゴ釣りをはじめた

 

筆者はカーボンの振り出し竿で釣ることが多い

 

筆者は自作の竹竿も愛用している

それで、いろいろ手を尽くして探ってみたところ、全国的に有名なタナゴの釣り場が徳島県にあるとわかった。とくに鳴門市、板野郡の農業用水路は人気が高く、六種類のタナゴが棲息しており、魚影も濃いとのこと。初心者からベテランまで楽しめる、まさに全国屈指のタナゴ釣り場であると知れた。
そこで、人づてに地元の名人数名を紹介してもらい、そのうちの一人であるKさんにまずは話を聞くべく徳島入りした。

やや水深のある水路なら春先も期待できる

 

何でもない小水路にもタナゴは居る

 

名人に選んでもらった竿が活躍した

 

護岸されてない水路は趣があって釣り心をそそる

 

春は野花の季節でもある

 

春先のタナゴはやや水深のある止水域に多い

 

青葉が影を投げかける下にタナゴが群れていた

 

浅い水路は藻が底になびいて、タナゴが多くひそんでいた

 

蓮畑のなかを水路が縦横に走る


まだ夕方早い時刻だったが、その名人は店に居た。
事情を話すと、「もちろんいいですよ」と気さくな感じで応じてくれた。
ひととおりご教授いいただいたのちに、道具から餌まで一式買い揃えた私は、「素人でも釣れますかね」とKさんに訊いてみた。
すると、もう午後三時を過ぎていたが、「今からでも寄ってみてはいかがですか」と釣り場へ向かう道順を教えてくれた。
四月の日暮れは早く、行くまでの道中を考えると釣りに充てられる時間はたいして多くない。
「今からでも間に合いますか」と私は訊ね返したが、素直な気持ちだった。
すると、Kさんは軽い調子で、「今お教えしたとおりにやってもらえさえすれば釣るのはなんでもありません」と言うので、私は俄然ヤル気になった。

タナゴのほかクチボソもよく釣れる

 

魚体はミニでも、タナゴ釣りは楽しい

 

手返しよく投入しつづけるのが肝

 

水際にアシやガマが、底に藻が生えていると、タナゴが隠れやすい


淀みを好むタイリクバラタナゴは初心者向き

 

釣り場は、いわゆる灌漑用の水を溜めている池で、果樹園のひろがるわりと民家の多いなかにポツンと落ちていた。近くを一級河川が流れ、そこから水路に潤沢な用水が計画的に供給されていることを思うと、このちっぽけな溜め池はまさにとってつけたような存在でしかなく、まことに心細かった。
なにより、まさか話を聞きに来て釣りをするとは思ってもみなかったので、羽織るものを持ち合わせていなかった。夕暮れの池のほとりで仕掛けを上げ下げしていると寒さが身に沁みてくる。辛抱出来ぬほどではないが、やはり釣り座を決めてじっとしていると寒かった。
結果から書くと、この日は初の釣行にもかかわらず十ほどのタナゴを手中に収めることができた。これにはKさんの力添えが大きかったが、三十分から一時間以内の釣りでこの釣果なら上出来である。なにより驚いたのは、釣れたこともさることながら第一投目から〆の一投まで仕掛けを振り込むたびにウキに必ずアタリが来たこと。これについて、のちにKさんに訊ねると、「あそこなら誰でも釣り名人です。でも舞いあがらずに今後も真摯に向き合うなら、いずれは正真正銘、釣り名人になれます」と意味深な答えが返って来た。

オカメのばあい足元を釣るので短竿を多用する

 

タナゴ釣りの伝道師・男爵。こいつのせいで皆ハマってしまった

 

デーブ鎌田愛用の竹竿。主にタイリクバラタナゴを狙う

 

雌のタナゴは種類を問わず地味である

 

長い竿は主にカネヒラ用

 

尾崎に来たタイリクバラタナゴの雄


徳島県鳴門市と板野郡辺りで主にタイリクバラタナゴを釣りたいなら竿は三尺から五尺の長さがあれば事足りる。比較的短い竿の出番が多いのにはわけがあって、池も水路も足元近くを丹念に釣り探ることで釣果を得られるからだが、浅い水路にタナゴが出てくるゴールデンウィーク過ぎからは、多くはないがイチモンジタナゴ、シロヒレタビラ、ヤリタナゴが混じって釣れてくる。これに小型のカネヒラが梅雨ころから混じるので小さめの水路での釣りであっても楽しい展開が期待できる。
ただし、種類別に釣り分けようと思うなら、種類ごとにその習性をよく知る必要がある。たとえば、日本産ではないタイリクバラタナゴは止水や流れの淀んだエリアの底に石が散在するような浅場に多く、足元に仕掛けを振り込むことで数釣りが可能である。関東では同じサイズのタイリクバラタナゴを手のひらに整然と並べ、その数を競うとか聞く。また婚姻色の出た雄の、その発色ぐあいの良し悪しを競うこともするそうだ。関東ではタイリクバラタナゴのことをオカメと呼んで親しんでいる。
関東の人は阿波へと旅客機で飛んで来て、近隣の水路へまっしぐら。釣り座を構えると思い思いの仕掛けと練り餌で夢中になってタナゴをねらう。関東以外の全国からも熱心な釣り師がやって来る。玄人肌の釣り師の多くは寄せ餌をしてタナゴを足元付近にしこたま集めて数を狙うという腹積もりでやっているようだが、まだ始めて間のない私は餌の付いた鈎を手返しよく打ち返すことで寄ったタナゴを散らさないようにするという一手のほか知らないので、寄せ餌については一行も書く資格がない。
そうは言っても、寄せ餌をしないでも、手返しよく仕掛けを休まず振り込むことで、駆け出しは駆け出しながら納得のいく釣果をあげているので、今しばらくは出来るだけ多くの水路に足を運ぶことで繊細の極致ともいうべきタナゴ釣りを楽しんでいけたらと思っている。
なお、日本産のタナゴの多くはやや流れのある場所を好む傾向にあり、その流れ方や微妙な流速、それに地形を加味した釣り場の見極めが出来さえすればおのずと釣り分けができるようになる(むろん、タナゴは群れる習性があり、しかも規模的に大きくない水路のことなので、ある程度の混在は避けられないから、完全に釣り分け出来るかというとそうではないが)。
しかし、素人同然の私には、いろいろな種類が釣れてくれることが、今はまた楽しくて仕方ない。
何タナゴでも釣れたら嬉しくて仕方ないのである。

アブラボテ。徳島では非常に珍しい

 

オールマイティーに使えるタナゴグルテン

 

シロヒレタビラの雄

 


タイリクバラタナゴの雌。卵管が出ている

 


タナゴが水路に出るのはゴールデンウィーク後くらいから

 


ヤリタナゴの雌

 


餌を探すコウノトリ

 


減少傾向にあるイチモンジタナゴの雄

 


池より水路の釣りが好きである

 

底に石の入った浅い淀みをタイリクバラタナゴは好む

 

湧水河川にもタナゴは少なくない

 

仕掛けは竿の長さに合ったものを釣具店で買っている(最近は自作の仕掛けも使うようになった)。餌も釣具店で練り餌の素を購入して使っている。釣り歴の長い人ほど自家製の練り餌に凝るようだが、素人の私は練り餌のよしあし自体がわからないため市販品に頼るほか手がない。
調べたことがないのでどれくらいのタナゴ餌が出まわっているのかを私はよく知らないが、「初心者にはこれがお勧め!」とKさんが店頭で手に握らせてくれた製品をずっと使っている。
このインスタントの練り餌には多くの場面で助けられてきた。
右も左もわからぬままに道具を買い揃え、独りで教えられた釣り場へ向かい、聞いたとおりに仕掛けを組んで餌を練って、「さて、やってみるか」となる。目と鼻の先の浅場に練り餌の付いた仕掛けを振り込むと最初からウキに明確なアタリが出て、多くのスカを食らいながらも十ほどの本命を手にすることができたのは、やはり最初の練り餌が想像以上に扱いやすく効果的だったからに他ならない。
この練り餌には三つのタイプがあって、状況や目的によって使い分けるのが望ましいとのことだが、初心者が段階を踏んで釣り上手になっていく上で欠かせないのが、『タナゴグルテン』だとKさんは説く。
このシリーズには、『タナゴグルテン競技用』、『黄身練り』があるのだが、私がこれを使うようになるのはまだ少し先の梅雨以降であり、それまではタナゴ餌といえば『タナゴグルテン』ということで釣行のたびに使用してきた。
さて、『タナゴグルテン』だが、容器の封を切って蓋をあけるとなかにパウダー状の餌の素と計量スプーンが入っている。餌の素をスプーン一杯に水をスプーン一杯加えて、さっと混ぜ合せると、もう練り餌の出来上がりである。出来上がった餌はなるべく出来上がったときと同じ状態に保っておきたいので、そのための工夫も怠れない。私は練り餌の入った盃を、さらに蕎麦つゆの容器に収め、乾いて硬くならないよう付属の蓋をするようにしている。そこから釣りに必要な分量だけ取り出して、竿を持たない方の手のなかに丸めて持つようにしている。手の練り餌が少なくなると容器の蓋を取って必要分だけ取り出す。

「どうだぁ、小さいだろう」と尾崎

 


のんびり釣るのもいいものだ!

 


ハリスに結んである交換用の鈎は便利

 


ヘラ用の糸で仕掛けを自作することが多い

 


餌を打ち返して素早く寄せる。速攻に適した優れ物

 


計量スプーン付きで、失敗なく練り餌を作れる

 


市販のタナゴ仕掛けを多用

 


小物も種類が多い

 


盃に練り餌を入れ、さらに蕎麦つゆの容器に入れて乾燥を防ぐ

 


練り餌のぐあいをチェックする男爵


『タナゴグルテン競技用』は『タナゴグルテン』よりもバラケやすく、餌を打ち返す回数が多くなるので、集魚効果を期待できる。じっさい、嗅いでみると独特のにおいがして、そのこともタナゴを大いに集めそうに思える。バラケの効果はアワセの早さにつながるぶん、荒食いするタナゴを効率よく掛けていくスタイルの釣法には向くだろう。言い回しが弱いと感じるかもしれないが、私はまだこの『タナゴグルテン競技用』を使いはじめて間がない。それでも、ほぼ流れのない水域を好むタイリクバラタナゴを足元近くに寄せに寄せてガンガンかけていこうとするなら、そしてその技量が備わった釣り師なら迷わずこの競技用をスプーンに掬い出して水を加えて練り餌を作るにちがいない。ただ、私は駆け出しなので技量が伴わない。なので、今は特化型というよりはオールマイティーに使える『タナゴグルテン』を頼りに釣りをしている。

タナゴはフライでも釣れる

 


トラウト用の極小フライをタナゴに転用

 


雨降りに大きいヤリタナゴが連発。以前にもあったが傾向的にそうなのかは不明

 


止水にはタイリクバラタナゴが多い

 


池は餌で寄せると連続ヒットがつづいたりもする

 


沈むタイプのフライを多用

 


日暮まで釣れつづいた

 


陽ざしを避けて橋の下に。すると


流れのある場所には日本産のタナゴが多く、淀んだ場所にタイリクバラタナゴが多いという見方には賛成だが、日本産のタナゴは淀みにも餌を食いに入って来る。おおよそタナゴは群れで行動するので、たとえば大型のカネヒラや大型のヤリタナゴの群遊があるとそればかりが仕掛けに食いついて来て大釣りすることが何度かあった。パターン的には広めの水路の流れの当たらない脇でタイリクバラタナゴばかり釣れていたのに、食いが止まったと思ったらカネヒラが、あるいはヤリタナゴが入れ食いになった。どちらも体格がいいからタイリクバラタナゴが遠慮したのだろう。きっと、端に追いやられてしまったのだと考えられた。
池でも似たような経験をしたが、不思議なことに体の大きさからするとタイリクバラタナゴも日本産のタナゴも変わらないものが多いのに、たとえばタイリクバラタナゴが食わなくなったと思ったらシロヒレタビラが、あるいはイチモンジタナゴが、ある一定の時間よく釣れた。これについては今年から私と一緒にタナゴ釣りをはじめた仲間からも同様の意見を得た。また、紹介してもらった名人級の釣り師や釣り場で知り合った釣り師にそのことを話すと、「たしかにその傾向はある」との同意が得られた。



カネヒラは迫力満点。11cmクラスの雄

 


コブナもよく釣れる

 


マルキューのタナゴ餌シリーズは初心者にも扱いやすい

 


仕掛けはウキ釣りと脈釣りの二種類

 


雌のカネヒラ

 


振り出しのカーボンロッドは機能的で手入れも簡単

 


雄のヤリタナゴ。戦国武将の風格すら感じさせる


しかし、普段のタナゴの生活ぶりはというと、やはり種類別にだいたい棲み分けがなされており、水路のよどみにはタイリクバラタナゴが多い。また、流れのあるところには日本産のタナゴが群れているのがふつうである。地形や底の状態にもよるが、最も流れを好む習性にあるのがカネヒラで、とくに大型は流れの効いた時間帯に流れのなかや流れの脇で活発に餌を食う。しかも、底の方に餌持ちの良い黄身練りを少し大きめの鈎にくるくるっと巻きつけて小型のタナゴが食いつきにくくしておいてから無駄のない動きで手返しよく集中して釣るのが肝だとされているが数少ない経験しかない私にもうなずけるところが少なくない。
大型のカネヒラは、さっと来て、さっと去るのがふつうで、わりと長居する中型小型と同じやり方だと折角のチャンスを逃してしまう。
そうは言っても、マルキューが商品化しているにもかかわらず、その特効薬ともいうべき練り餌の『黄身練り』は手元にあるもののまだ使いはじめたばかりで、残念ながら大型の入れ食いなど体験したことはないというのが本当の話だ。
だが、先達からのアドバイスどおりに練り餌を入れる専用の容器から『黄身練り』を絞り出して鈎に巻きつけ、長めの竿とウキ仕掛けを用いて流し釣りをしてみると、感覚的にではあるが名人らの言わんとしていることがそれとなく理解できた。
じつはマルキューの『黄身練り』をアレンジして、さらに粘り気を出すやり方も先達らから伝授してもらったので、いずれ試してみなくてはと今から楽しみにしている。

カネヒラ、ヤリタナゴともにいいサイズが釣れた

 


カネヒラは黄身練りで底を狙うとよい

 


カネヒラ狙いにはこれ。黄身練りがいちばん!

 


ふり返ってみると雨の日にいいサイズのカネヒラがよく釣れた

 


愛用の六尺と七尺はカネヒラ狙いに用いる

 


大きいオイカワは広い水路に多い

 


釣ったタナゴを泳がせておくための長びく


大型のカネヒラ釣りは夏から秋がシーズンで、婚姻色の出た雄はとくに迫力があって美しい。それは、晩春から初夏にかけて大型のヤリタナゴが渋味のある得も言われぬ優雅な色彩を帯びるのと同じくらい私の釣り心をそそる。
私が大型のカネヒラを手にした梅雨のころは、たとえば雄の発色は背鰭と尻鰭がほんのり紅を引いているという程度だった。よく見くらべると、それで地味な雌と雄の区別がようやくついた。
しかも、入れ食いは一回きり、単発で釣れた大型を合わせても手にできた雄は二尾だけだった。

さらなる高みを目指し、今後も通うつもりだ!

 


もっとも贔屓にしている大型のヤリタナゴの雄。居場所を変える曲者だ

 


婚姻色の出た雄は種類を問わず美しい

 


水路の釣りはいいもんだ!

 


釣るばかりでなくタナゴは飼うのもおもしろい


その後、八月の声を聞いてからは雨の降らない炎天下での釣りに閉口して椅子に取り付けるパラソルを購入し、その陰で身を守りながらカネヒラを狙ったが、入れ食いを体験することはついになかった。それでも最大11.5cmの雄を筆頭に9cm以上が五つ六つ釣れたことは何度かあった。それは、先達の言うとおり突然釣れ出して短く終わったというのが真相で、そうするとあの雨の日の入れ食いは何だったのだろうと首をかしげないわけにはいかない。
なんとも不思議なカネヒラであるが、じつをいうと大型も中小型も『タナゴグルテン』でしかまだ釣ったことがない。カネヒラの餌は黄身練りが定番だとの定評があるにもかかわらず『黄身練り』にやっと手を出したというだけで、なんと釣果はゼロである。
本心を言うと、「餌など関係ない、釣ったが勝ち!」なのだが、それでも定番だとか伝統だとか聞くと、弱い。
ぜひ、次回は『黄身練り』で大釣りをして自慢したいものだ。
なお、『黄身練り』は餌の素3に対して水1の比率でつくると、ほどよく仕上がる。

 

 


釣行期間 令和2年4月~8月中旬
釣行場所 徳島県鳴門市、吉野川市、阿波市、板野郡の水路、野池

[竿] 日新・小鮒丹 陣 6尺
日新・精魂 別誂 小鮒丹 7尺
ダイワ・ひなた 4尺
ダイワ・ひなた 5尺
*(その他、カーボン振り出し竿各種、市販の竹竿各種、自作の竹竿各種)

振り出しのタナゴ竿

[仕掛け]  自家製のタナゴ仕掛け、市販のタナゴ仕掛け、

スタンダードな市販のタナゴ仕掛け

 

ハリス付きの交換鈎は便利

 

自作の仕掛けにはヘラブナ用や渓流用のラインを多用した


[餌] マルキュー・タナゴグルテン、他

マルキューのタナゴグルテンは初心者にも使いやすい

 

 

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