数学のテストで良い点数を取る方法 | naganomathblog

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永野数学塾塾長日記は
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私は学生時代、テストを受けている最中から「お、これはきっと良い点数だろうな」と確信できる時がありました。それはどういう時かと言いますと、解きながら出題者の意図が分かった時でした。
「あ~、◯◯のことを聞いてるな」
「ここの対称性に気づいて欲しかったのね」
「なかなかニクイでないの」
などとほくそ笑みながら(←感じ悪い…)解いている時は、ほぼ間違いなく良い点数になりました。あ、のっけから自慢ぽくなってごめんなさいm(_ _)mでも、ここにテストで良い点数を取る秘訣が隠されています。
はっきり申し上げましょう!(`・ω・´)ゞ。
テストで良い点数を取るコツは出題者の気持に寄り添うことです。

【「胸を借りる」つもりで】

話は飛びますが、相撲用語(なのかな)で「胸を借りる」という言葉がありますね。「前頭が横綱の胸を借りる」などの表現で使われています。これは下位の力士は上位の力士に稽古を付けてもらって成長することからできた諺のような表現ですが、一般には「実力の下の者が上の者に挑戦する事」を表します。

高校生にとって大学の先生は「横綱」でしょう。中学生にとっても学校の先生は「横綱」です(そういう感じがしない先生もいるかもしれませんが…)。つまり、先生が作ったテストを解くことは横綱に挑戦しているのと同じなのです。

よく、横綱相撲と言いますね(今日は相撲ネタで押しています)。横綱相撲というのはただ単に勝つだけではなく、横綱が万全の形で(自分の型で)勝つ勝ち方のことを言います。横綱は勝って当たり前なのでその勝ち方にも美学が必要であり、「いなし」などのこズルい勝ち方は横綱に相応しくないとされています。

しかし、前頭や小結が横綱に挑戦する場合、横綱相撲で勝とうとする必要は全くありません。どんな形であろうとも勝てればそれで大金星です。逆に言えば、下位の者が横綱に挑戦するときには、自分の型にこだわっているとその「型」において百戦錬磨の横綱にはかないません。自分の型で勝てるというのは実力が相手よりも相当上の場合だけだと思って下さい。


[動画は平成の大横綱貴乃花の最後の優勝。武蔵丸との優勝決定戦は後世に残る大一番となった。表彰式での小泉首相(当時)の「痛みに耐えてよく頑張った!感動した!!」は流行語になった。]


大分、脱線しました…m(_ _)m
話を数学に戻しますね。

生徒さんを見ていると、できない生徒さんに限って自分の型にはめて解こうとします。出題者の意図に寄り添うこと無く、かつて自分がやったことのある問題の解法に無理矢理はめこもうとしてしまうのです。皆さんも経験があると思いますが(もちろん私にもあります)、そういう場合は十中八九うまくいきません。つまり…敗けます。
これに対してよくできる生徒さんは、決して自分の型にこだわりません。出題者の意図を汲んで、問題に書かれている通りにそのまま立式をして解いていきます。

【センター試験数学必勝法】

もうすぐセンター試験がありますが、センター試験の数学は大問が4問程度で、その1つ1つは上の画像のような小問に分かれているのが通常です。そして、この小問は大抵1つの結論に向けての誘導問題になっています。つまり、出題者の意図はこの小問による誘導を素直に追いかければ自ずと明らかになるのです。

センター試験を解いたことのある人はお分かりだと思いますが、センター試験では一見
「なにこれ?」というような新しい感じがする問題がよく出題されます。そんな時、自分の型で解こうとする学生は「こんなの見たことない!」と狼狽します。それもそのはず、自分の型で解けるのは解いたことのある問題の類題だけだからです。見たことのない問題は解いたことがないのでどの「型」を使えば解けるかが分からずに動揺するわけです。

でも、「胸を借りる」という気持を持っていれば「何だかよく分からないけれど、言われた通りやってみよう」と思えるはずですから、新しい感じがしたとしても、ひるむことなく解き進むことができるでしょう。

センター試験の場合は、一見すると新しい感じがしても一皮むけば基本問題であることがほとんどです。素直な気持で出題者の気持に寄り添って解いていけば必ず解けます。

【賢さとは素直さ】

今朝、Web Sportiva斎藤佑樹投手のインタビュー記事(「野球が嫌いになりそうな時期もあった」)を読みました。私が今日このブログを書こうと思い立ったのはこの記事にとても感銘を受けたからです(相撲から野球に突然変わってすいません)。

斎藤投手は、高校時代は甲子園優勝投手として「ハンカチ王子」のニックネームで一世を風靡し、大学でも史上初めて4年連続大学日本代表に選ばれるなど大活躍。鳴り物入りでプロに入った後は1年目に6勝をマーク、2年目の今年は開幕投手に選ばれて見事完投勝利を飾りました…とここまでは誰の目にも順風満帆の印象だったと思います。しかし、そんな「持ってる」斎藤投手も今年は夏前から調子を崩し7月以降はほぼ2軍ぐらしでした。

インタビューの中で
「投げていて、筋肉がいなくなっちゃう」
「自分の持っているものが本物ではなかったんだと思ってしまった」
「考えない力が欲しいと思うようになりました」
と今シーズンを振り返って真っ直ぐに心情を吐露する言葉の端々に私は大変好感を覚えました。と、同時に
「やはり、賢さとは素直さだなあ」
とつくづく思いました。

斎藤投手は「王子」というニックネームが付くほど育ちが良さそうで、このインタビューからもその性格が素直であることはよく分かります。そして、その素直さが彼の賢さであり、また最大の武器なのではないでしょうか。

【変化を怖れない素直さが大事】
生徒さんに新しい考え方や解き方を教えていると、私の言うとおりに素直に取り組んでくれる生徒さんと、頑固に自分のやり方に固執する生徒さんに分かれます。

誤解のないように先に言っておきますが、頑固であることは決してマイナスばかりではありません。自分のやり方にこだわり抜くことで何かを達成する人は少なくないはずです。
しかし、こと教わるという立場にある人はまずは素直に吸収することがやはり大事だろうと思います。実際、素直な生徒さんは例外なく伸びます。反対に伸び悩む生徒さんの多くは頑固です。

私が大好きなチャーチルの言葉に
「向上とは変化することである。完璧とは変化し続けることである 
 To improve is to change; to be perfect is to change often.」
というのがあります。
これは自戒をこめて書くのですが、変化することを怖れず素直に吸収しつづける人間が結局は伸びていくのだろうと思います。

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