8月の防災カフェは、福島ひまわり里親プロジェクト 長野支部事務局代表の山田雅彦さんにお越しいただきました。ひまわりが人をつなぎ、子どもにつながり、防災につながっていく。ボランティアは何のためにやるのか、考えさせられるお話でした。

 

福島ひまわり里親プロジェクト 山田雅彦さん

 

山田さんは長野県小谷村出身。2011年秋頃、山田さんは福島が抱える原発関連の諸問題に関わりたいと思っていました。当時山田さんが福島の問題について持っていたイメージはマイナスイメージのみ。しかし、山田さんが訪れた講演で福島出身の方と知り合ったことをきっかけに、ひまわりプロジェクトの広報担当 半田真仁さんと出会い、そのイメージは一変します。半田さんの話は、福島の問題がいかに困難かといった内容は一切なく、この状況の中で日本のために自分たちは何をすべきか、それのみだったそう。未来の福島、未来の日本を見据えた考え方に山田さんは感動。半田さんの考えと活動を長野にも広めようと決意します。

 

 福島ひまわり里親プロジェクトは、もともと、原発の風評被害で仕事を失った農業関係者の方の雇用創出のために始まったものです。その概要は、福島で採れたひまわりの種を梱包して全国各地に送り、その種を受け取った人が各地でひまわりを育てて種を収穫し、福島に送り返して、どんどんひまわりが増えていくというもの。福島での種の収穫および梱包作業が、地元の方の仕事となります。ひまわりは当時除染効果があるとされており、このプロジェクト以外にもたくさんの団体がひまわりを植える取り組みに着手しました。しかし、まもなくひまわりは除染に効果がないことが報道され、ひまわり関連の活動は一気に下火となりました。

 

しかし、ここで福島ひまわり里親プロジェクトのメンバーの方々は、このプロジェクトが除染以外で何のためになっているのかを再考しました。そして、活動が子どもたちに大きな影響を与えることに気づきます。種を送ってくれた子どもたちの手紙の中は「人の役に立ちたい」という言葉にあふれていたのです。ひまわりを育てながら、困っている人のために何かしたいという気持ちをも大きく育てた子どもたちは、10年後、未来の日本を作ってくれるはず。活動の教育的意義を見いだしたプロジェクトメンバーの方々は、今にいたるまで全国各地の学校を中心に活動を続け、現在は、全国で約20万人の人が参加するビックプロジェクトとなっています。

 

 

山田さんは、長野県の小中学校、高等学校に出向き、活動を紹介。先生方に学校でひまわりプロジェクトに取り組んでもらえないか交渉しました。その地道な活動が実り、今では県内で約50校がプロジェクトに参加し、ひまわりを育てています。今年の11月4日(日)には、県内のひまわりプロジェクトに参加している学校の生徒たちが自分たちの取り組みを発表する、『ひまわり甲子園 信州・北陸大会』が行われる予定です。

 

ひまわりを育て、福島をはじめ全国各地の人に笑顔を咲かせながら、こどもたちの防災意識が育っていく。このつながりが生まれたのは、「この活動は何のためになるのか?」を常に考え続けたプロジェクトメンバーの方の尽力あってこそです。私たちも、自分たちの活動の意義をじっくり考え、10年後、20年後を見据えて行動したいなと強く感じました。

 

 

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