フェイス管理(5)欧米型テークバックと日本型テークバック | ゴルフを科学する★理系のための理論的ゴルフの勧め!

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私はかねてから、欧米人プロの一般的なテークバックと、日本人プロのそれとは大きく違うところがあると感じていました。

イングランドのルーク・ドナルド選手↓
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アメリカのハンター・メイハン選手↓
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日本の宮里藍選手↓
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谷口徹選手↓

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4人とも、体が右に45度程度回った時の画像ですが、外人選手2人と日本人選手2人で違うところは何処でしょうか?
静止画像よりも動画の方が分かり易いのですが、注意深く観察すれば分かります。

外人2選手は
1グリップよりも前にヘッドがある。

2肩よりもグリップが後ろにある(赤線)。

3従って、左脇が閉まっている。

4グリップを体に引きつけながら、ヘッドは外に引くようにしている(飛球線に沿って上げる)。

5手でヘッドを上げようとはしていない、体の回転主体のテークバック。

6左手甲とフェイス(青線)を下向きに使っている(シャットフェイス)

7「テークバック初期には腕は何もしないぞ」という気持ちが伝わって来る。

8これ以降、ヒンジング、親指縦コックによりシャフトは縦に上がり、トップ間際で腕の右回旋が入る。

9正面から見ると、おそらく腕の三角形は保たれている。

この2人以外にも、アダム・スコット、ジェイソン・デイ、マキロイら、欧米の選手は、全員が同じレッスンを受けているのではないかと思われるくらい、殆どがこのようになっています。

日本人2人は全て反対です。
1グリップよりも後ろにヘッドがある。

これは宮里選手に著しく、腕とシャフトが逆「く」の字になっている(赤線)。

2肩よりもグリップが前にある。

3従って、左脇が大きく空いている。

4グリップを体から離しながら、逆にヘッドをインに引き込もうとしている。

5手を使ってクラブを上げようとしていて、体の回転よりも腕の動きが主体。

6ヒンジング(左手首凸コック)をすることでなんとかフェイスを下向きを保っているが(青線)、ヒンジングをしなければ、フェイスは上を向くだろう。

7「テークバック初期から腕や手首を使って飛ばすぞ」という気持ちが伝わって来る。

8これ以降シャフトは寝て上がるため、高く上がることはなく、極端にフラットなトップになる。

9正面から見ると、おそらく腕の三角形は早期に崩れている。

こんなところでしょう。

さてこれからが問題です。

このような違いが出る根本的な原因は何でしょうか?
これだけ多くの違いが出る根本的な原因は、実はたったひとつです。

それは、外人プロ2人はテークバックで左腕を何もしないか、あるいはわずかに左回旋させているのに対し、日本人プロの2人はグリップを右回旋させながら左手甲を正面に向けるようにテークバックしているからです。

この動き(グリップの右回旋)が極端な日本人プロ2人を選びましたが、実は多くの日本人ゴルファーはプロ、アマを問わず、大なり小なりこのような傾向にあります。

このようなテークバックになるのは、インパクトで手首を返すようにしてボールを捕らえたいという気持ちの表れだと思います。

しかし、テークバックで腕の右回旋で開いたフェイスを、ダウンスイングで腕を左回旋させながら丁度インパクトでスクエアに戻すのは至難の技です。

フェイスを開くのはテークバック初期ではなくトップ間際で、フェイスを閉じるのもダウンスイング初期に行うべきです。

ダウンスイングでは、コックした場所に仮想ボール(ダウンスイングの項参照)があるつもりで、そこに向かってフェイスを閉じながら落とし、一度スクエアにしたら以後は体の回転に任せます。

インパクトでスクエアにしようとしても、間に合わないのです。

正面から見て9時の位置で早くもスクエアに戻し、フォローの3時の位置まで(ビジネスゾーン)は、腕は単なる棒のようにして何もしないことが大切です。

何もしなくても9時以降はフェイスは既にスクエアに保たれているので、インパクトでは自動的にボールにスクエアに当たります。

ビジネスゾーンでは、テークバックでもダウンスイングでも、フェイスの開閉はしないことが大切です。

良く言われる「厚いインパクト」は、そのようにして生まれると思います。

インパクトに合わせて手首を返すようにしたインパクトでは、力が球に伝わらず、躍動感がある割には飛びません。

肘が引けるスイングはいけませんが、手首を意識的に返すようなスイングもいけません。

テークバックの始動では、どうしても体の右回転に合わせて腕が右回旋しフェイスが開きやすいので、腕を少しだけ左回旋させるとルークのような欧米型の綺麗で機能的なテークバックになります。

手袋のロゴはアドレスで目標を向いていますが、それを正面ではなく、地面に向けるように、グリップを左に回しながらテークバックします。

それ位で丁度、自分に対してスクエアになります(飛球線に対しては開閉するが、自分に対しては開閉しない)

外人プロと日本人プロでテークバックの違いが出るのは、レッスンの違いもあると思いますが、体格の違いも関係しているのかも知れません。

体格に恵まれる欧米人はインパクトで手を返したりせず、体の回転主体で飛ばすことが出来ますが、体格に恵まれない日本人は、体の回転だけでなく腕も使って飛ばそうという意識が強いのかも知れません。

実際には腕を使わない方が、方向性も良く飛距離も出ます。

外人プロでもスティーブ・ストリッカーやブラント・スネデカーらは日本人型ですし、日本人プロの中でも岩田寛、丸山茂樹、片山慎吾プロらは欧米型スイングです。

宮里藍選手のスイングは「素晴らしいスイング」と賞賛されていますが、私はテークバックを直さない限り、どんどん飛距離が落ちていくと考えています。